引き続きリスクは円高に(週報2月第1週)

FOMC前には株価上昇のリスクオンによるドル買いが入っていたこともあって、FOMCのハト派な結果を受けやや売りが強まり過ぎた面もあったかもしれません。

引き続きリスクは円高に(週報2月第1週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、FOMC直前まで動きは見られなかったものの、FOMC前には株価上昇のリスクオンによるドル買いが入っていたこともあって、FOMCのハト派な結果を受けやや売りが強まり過ぎた面もあったかもしれません。週末の雇用統計ではその反動もあり、FOMC後の下げを全て取り戻しての週末クローズとなりました。

ドル円は中期的にも年初の反動で1月前半の動きとしてはドル買いとなっていましたが、後半は横方向へと動きを変え108円台の買いと110円の売りを意識してのもみあい相場が続いています。しかし、材料的には懸念材料も多く積極的にリスクオンとはなりにくい中で株価がじり高となっていることがドル円での底堅い動きの背景にあると考えられます。

この株価の底堅さは、ハト派なFOMC結果を受け更に勢いづいた感もありますが、逆に株価にとって好材料は当面出尽くした感があることも事実です。最大の懸念は貿易摩擦に端を発する中国の景気鈍化が米国にも影響している点ですが、米中間の通商協議も果たして制裁猶予期間である2月末までに米国が望む形で決着するのかはいまだ不透明です。協議が進行しているとのヘッドラインがあるいっぽうで合意には至っていないとの発言も出ていますので、最終的な詰めの部分でまだ双方の妥協点が見つからないというところです。

それでも昨年12月まで続いた貿易摩擦の影響は着実に米国企業の業績にも影響を及ぼしていますし、昨年第4四半期では日本を含めアジア諸国の企業業績への影響も大きいという記事が本日の日経新聞にも出たばかりです。さらに、連邦機関は再開したものの1か月以上にも渡って閉鎖された影響は今後出てくると考えられ、昨年の貿易摩擦と年末からの連邦機関閉鎖のダブルパンチが今年第1四半期に発表される経済指標等に出てくることは間違いありません。

つまり、米国の金融引き締め停止思惑による株高も一時的な好材料に過ぎず、それ以上の悪材料が今後徐々に出てくるであろうこと、そうなるとリスクオンの巻き返しで株安につながるであろうことは容易に想像できます。また引き締め停止思惑は金利差拡大が無くなることも意味しますので為替市場のおいては株式市場の下げリスクと単純なドル売りリスクとの2つを常に今後の可能性として意識しなくてはならない展開が続くと考えています。

テクニカルにもドル買いからもみあいへと方向を変えてきたこと、大台の110円の上値の重さが意識されることから、いつFOMC後の安値圏へと反落してもおかしくはありません。日足チャートをご覧ください。

先週から大きく変化していないため繰り返しになりますが、10月に見た2018年高値(114.55)と12月下旬の戻り高値(111.40)との2点から今年1月3日安値(このチャートでは104.90)との戻しターゲットを計算すると、前者の半値戻しが109.73(赤のターゲット)、後者の78.6%(61.8%の平方根)戻しが110.00(黄緑のターゲット)となっていて、110円の大台手前は一度は上値を抑えられやすいチャートであることがわかります。

また、110円を戻し高値と考えると、1月安値104.90と110.00との23.6%押しが108.80、38.2%押しが108.05となっていて、前者はFOMC後に既に示現し今後の動き次第で108円台前半がターゲットとなりやすい水準と考えることが出来ます。

3週続けて同じレンジ予想となりますが、今週も108.50レベルをサポートに110.00レベルをレジスタンスと下方向に余裕がある週を見ておくこととします。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月4日(月)
**:** 中国市場休場(〜8日)
09:30 豪州12月住宅建設許可件数
16:00 トルコ1月CPI
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI
24:00 米国11月製造業新規受注

2月5日(火)
**:** 香港、シンガポール市場休場(〜6日)
09:30 豪州12月貿易収支、小売売上高
09:30 (クリーブランド連銀総裁講演)
12:30 豪中銀政策金利発表
17:50 フランス1月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ1月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏1月1月製造業PMI改定値
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
23:45 米国1月サービス業PMI改定値
24:00 米国1月ISM非製造業指数
**:** 一般教書演説

2月6日(水)
**:** NZ市場休場
10:30 豪中銀総裁講演
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
22:30 米国11月貿易収支
22:30 米国10〜12月期単位労働コスト速報値
24:30 週間原油在庫統計

2月7日(木)
07:45 NZ10〜12月期失業率
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
16:45 フランス12月貿易収支
21:00 英中銀MPC結果公表、四半期インフレ報告
22:30 米国新規失業保険申請件数

2月8日(金)
08:50 本邦12月国際収支(貿易収支)
09:30 豪中銀四半期金融政策報告
16:00 ドイツ12月貿易収支
16:45 フランス12月鉱工業生産

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月28日(月)
早朝こそ株式市場とともにリスクオフの動きからドル売りが先行する動きとなっていましたが、東京市場から欧州市場にかけては株安の動きをよそに、実需買いが出たこともあって底堅い値動きを続けていました。しかしNY市場に入りダウが一段安の動きとなる中でドル円も109.17レベルまで水準を下げましたが、引けにかけてはダウの反発もあって買い戻されて引けました。

1月29日(火)
ドル円は株式市場とともにリスクオフの動きからドル売りが先行する動きとなっていましたが、後場に入り日経平均が急速に買われる動きとともに円安へと方向を変えました。その後NY市場まで買いが続き109.54レベルをつけたものの、日経先物が失速し売られる動きとともに下押ししての引けとなりました。

1月30日(水)
ドル円は東京市場から欧州市場まではFOMCを前に109円台前半の狭いレンジで動意の乏しい展開が続きました。NY市場では夜間取引で日経先物が順調に買われる動きとともにドル円もリスクオンの動きが強まり、一時109.74レベルまで水準を切り上げた後に109円台半ばへとやや押してのFOMC待ち。FOMCの声明は12月以降のパウエル議長の発言に近いものとなり、今後の引き締めに対しては辛抱強く、景気の見通しはやや下方修正、そして最も注目されたバランスシートについては縮小スタンスを調整する用意と、全体的に事前の予想よりもハト派な内容となりました。この声明を受け、株式市場は大幅高となるいっぽうで、為替市場はドル売りで反応、ドル円が108.81レベルまでドルが売られ、引けにかけて若干調整が入って引けました。

1月31日(木)
ドル円は前日FOMC後の流れを続けドル売りが先行、株価も上がりきらず下げに転じたことからNY市場が始まるまではじり安の展開となり108.49レベルまで水準を下げました。NY市場では米株が上昇に転じ、トランプ大統領が米中通商協議で制裁関税猶予期間内での合意の可能性を示したことからドル買いへと転じ108円台後半へと戻しての引けとなりました。

2月1日(金)
 完全雇用に近い状況下で米国雇用統計の注目度は以前ほどでは無いものの、ハト派なFOMC後かつ2月最初の重要指標であることからNY市場までは全く動意の無い流れが続きました。雇用統計は強弱ミックスしていたものの非農業部門の数字を中心に予想よりも強い結果となり、その後発表されたISMも強い数字となったことからドル円は108円台後半から109.58レベルまで水準を切り上げ、そのまま高値圏での引けとなりました。

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