ユーロ週報 今週も上値が重く下げやすい(9月第2週)

今週は材料として、木曜に英中銀MPC、トルコ中銀政策金利発表、ECB理事会とビッグイベントが木曜に集中します。

ユーロ週報 今週も上値が重く下げやすい(9月第2週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、前半は下をトライしたものの1.15台半ばの買いにぶつかり、後半は上をトライしても1.16台半ばの売りにぶつかり、結局は米国雇用統計をきっかけとしたドル買いからユーロドルは週間の安値圏に押しての引けとなりました。

材料的には英国とEUとのブレグジット協議、イタリアの財政問題と前週までと似たような材料が懸念され、上下ともに動きにくい展開となりましたが、米国発の貿易摩擦に関しては中国への追加関税、日本との貿易戦争発言と、米欧間の通商交渉がこれからであることを考えると、ユーロが買われる可能性もあるのですが、ここ数週間の動きを見ているともみあいながらも1.17台前半を高値に着実に反転パターンを形成している値動きに見えます。

今週は材料として、木曜に英中銀MPC、トルコ中銀政策金利発表、ECB理事会とビッグイベントが木曜に集中します。英中銀は8月のMPCで0.75%へと利上げしたばかりですから今回は無風通過と考えられますが、トルコ中銀は先週初の段階で物価安定のため必要な対応を取ると、今週の会合における利上げを示唆しておりトルコリラが安定する動きとなれば、これはユーロには好材料となります。しかし、利上げ幅が少ないと悪材料となる可能性があります。しかも市場参加者の予想もまちまちのため、蓋を開けてみるまでは読みにくい材料のひとつです。

また、ECB理事会については来月から債券の買入額を半減し年内で終了することは既に決定事項です。そして利上げの時期についても来年夏以降としているため、理事会の決定内容自体については市場への影響は基本的に無いはずです。材料視されるのはその後のドラギ総裁発言ですが、総裁はもともと理事会の中でも最もハト派に属しているため、金融政策については基本的にハト派発言を行う前提で考えていてよさそうで、これも今までのスタンスからずれていない限り大きな材料とはなりません。

ドラギ総裁の発言の中でユーロの動きに影響を与え可能性があるとすると、イタリアの財政規律に触れたりイタリア国債の購入について言及したりと、最近のイタリアに関することがひとつ、あともうひとつは米国が加速させる保護主義に対して景気減速も含めて何か懸念を示すかどうか、といったところでしょうか。発言内容にもよりますが、一時的な振れにつながる可能性は十分にあります。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週は材料以上に気になっているのはチャートです。

8月安値からここまでの動きを見ると、ピンクの点線で示したようにヘッド&ショルダー型の反転パターンとなっています。ヘッドにあたる8月高値が1.1733、ネックラインが1.1530に位置していますので、仮にネックラインの高さをネックラインから引いてあげると1.13台前半となり、そこまで行くかどうかはわからないものの、ネックラインを下抜いた時にはテクニカルにユーロが下げやすい動きを演じるであろうことが予想されます。

ユーロ安・ドル高は米国にとっては望まないところですから、そうした動きが継続するとも思えませんが、木曜にイベントが集中しているだけに目先はユーロの下げに注意が必要そうに思えるチャートといえるでしょう。このテクニカルな面を前面に出して、今週は1.1625レベルをレジスタンスに1.1425レベルをサポートとする週を見ておきます

今週のコラム

ユーロドルのチャートでは明らかに下げ方向にリスクがあるチャートなのですが、ドル円の週報と合わせるとユーロ円は下げと考えざるを得ないことになります。ただ最近のユーロ円は日足チャートで見ると、大きくは125円に近づくと買い、130円を超えると売りといった値動きになっています。現状はそのレンジの中間点に近い水準での動きとなっていますので、少し長めに週足チャートを見てみることとしましょう。

今週のコラム

2017年後半にはサポートを2018年にはレジスタンスラインを引いてありますが、今年の高値137.53を挟んで2年近くかけての行って来いのような値動きになってきています。2018年に関して言えば着実に高値を切り下げると同時に、安値は5月と8月の124円台後半です。

まだ距離はあるものの、ユーロ円が下げてきた場合には124円台後半を3度目のトライで抜けられるかどうかが注目点となり、同水準を抜ける場合には2017年安値と2018年高値の61.8%押しにあたる123.50をターゲットとしやすいと言えるでしょう。123円台半ばは昨年5月の踊り場や2016年末の高値とも一致し、テクニカルにも落ち着きどころとなりやすい水準です。

今すぐの話ではありませんが、下げた場合には気にしておくとよいでしょう。

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

9月3日(月)
ユーロドルは、東京市場では膠着状態が続きましたが、欧州市場以降は前週末の下げに対する調整に加え、トルコ中銀が金融政策の調整を行うと発表したこともユーロ買いにつながりました。しかし、NY休場が休場となることもあって動きは鈍いままでした。

9月4日(火)
ユーロドルは、東京市場では全般的なドル買いの動きからじり安となりました。NY市場の昼前まで売りが強まり一時1.1529レベルの安値をつけましたが、その後はドル円とともにユーロ円に買いが広がったことで1.15台後半へと戻して引けました。

9月5日(水)
ユーロドルは東京後場に株安の動きからユーロ円の売りがユーロドルの売りに波及する場面も見られましたが下値をトライしきれず反発、その後はブレグジットに関してドイツが要求を取り下げたとの噂によるポンドの上昇とともにユーロ買いの動きが目立ちました。その後、噂の否定とともにポンドは反落したもののユーロドルは押し目買いが根強く、また米国貿易赤字拡大が貿易摩擦激化を連想させることもあってドル売り・ユーロ買いの動きが目立っての引けとなりました。

9月6日(木)
ユーロドルは、目立った材料が無い中で終日1.16台前半でのもみあいに終始しました。経済指標などで細かな動きはあったものの、弱いADPやトランプ大統領による日米貿易戦争発言からユーロ円での売りがユーロドルの上値を抑えた印象が強かったNY市場となりました。

9月7日(金)
ユーロドルは東京市場では小動きでしたが、欧州市場でも序盤には対ドル、対円で買いが出たものの上昇の動きは限定的、ユーロドルは前日高値を超えられず、ユーロ円はドル円の買いによる上昇となっていました。NY市場では強い米国雇用統計を受けてのドル買いの動きからユーロ売りとなりましたが、それまでに上げていた分のストップオーダーも加わって大幅安。引けにかけては1.15台半ばへと下押ししての週末クローズとなりました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

9月10日(月)
16:00 トルコ4〜6月期GDP
17:30 英国7月貿易収支

9月11日(火)
17:30 英国8月失業率
18:00 ドイツ9月ZEW景況感指数
18:00 ユーロ圏9月ZEW景況感指数

9月12日(水)
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
27:00 ベージュブック

9月13日(木)
15:00 ドイツ8月CPI
15:45 フランス8月CPI
20:00 英中銀MPC結果発表
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見

9月14日(金)
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
19:00 英中銀総裁講演

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