ユーロドル トランプ発言余波続きユーロ高(8月第4週)

先週のユーロドルは、多少の押しを挟みながらも週を通してユーロ買いが続き、月曜の安値圏1.13台後半から1.16台半ばまで買い戻された。

ユーロドル トランプ発言余波続きユーロ高(8月第4週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、多少の押しを挟みながらも週を通してユーロ買いが続き、月曜の安値圏1.13台後半から1.16台半ばまで買い戻されたことで、8月初めのもみあい下抜けの水準まで戻すこととなりました。ユーロに関しては月曜のトランプ大統領発言が週を通して効いていたと言えるでしょう。

またドル円は110円の大台割れ後の反騰が大きく、ユーロ円も月曜の126円台前半から金曜には129円台半ばへと大きく上昇する一週間でした。

前週こそトルコに資産を持つ欧州の銀行に対してECBが懸念を示したことでユーロ安となっていましたが、先週はトルコが週を通して休場となったこと、またトランプ大統領のユーロ安牽制、週初こそFRBの金融政策に口を挟んでいるという印象でしたが、ジャクソンホールでパウエルFRB議長がハト派寄りの発言をしたことから米金利の観点でもドルの上値が抑えられやすい流れと、随分とユーロドルの地合いは変化したと言えるでしょう。

今週は、経済指標では主要国からいくつかの指標は出て来るものの、どれも一時的なインパクトこそあれ流れを変えるようなものはありません。また金融政策面ではECB理事会は13日、FOMCは26日とまだ間はありますが、当局者発言によっては思惑が出やすい時期でもあります。

月末の実需なども含めて材料面ではどちらにも動きやすいのですが、引き続きトランプ大統領の発言が尾を引いて、ややユーロ高方向にバイアスをかけやすいでしょう。

次にチャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

ピンクのラインで示した5月以降のトライアングルの下抜けを完全に戻す動きです。またサポートラインはこれまでも重要なポイントとなっていましたが、下抜けしたサポートラインはレジスタンスとなりますので、1.16台半ばはいったん上値を抑えられやすい水準です。

仮に下押しが先行した場合に考えられる水準としてはトライアングルの安値となっている1.1510(薄紫の水平線)が考えられ、1.15の大台が現時点では下値の限界点と考えてよいでしょう。

また上値については、トランプ大統領の発言の余波が当面続きやすいとすれば、既に8月安値が中期的な底になったと見て良いため、年初来高値と8月安値を基準に38.2%戻しとなる1.1780(赤のターゲット)を考えておくとよさそうです。この水準は7月高値圏とも重なりますので、買われた場合でもいったん引っかかりやすい水準となります。

今週は上記のことも考慮しつつも、ややユーロ高方向にバイアスをかけ、1.1550レベルをサポートに1.1750レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

先週はユーロ買いが強まりましたが、先週23日のコラムではドルインデックスの95レベルがどうもドル高水準と現状は考えている節があるのではないかとのコラムを書きました。ユーロドルが買われたことで95を一時的に下回る動きとはなったものの、依然としてドルインデックスは95を若干上回る水準にいます。今後もドル高へのリバウンドを避けるためには、状況によっては更にドルインデックスを下げるような発言が出てもおかしくはないでしょう。

これまでの発言のタイミングが通貨当局の介入担当者のアドバイスがあるかもしれないと思わせる面もありましたので、今週はどの程度の水準に誘導したいのか、私が当局者だとしたらという観点で書いてみます。まずはチャートをご覧ください。

今週のコラム

ピンクの水平線90〜95は米国当局が望ましいと考えていると思わせるレンジです。

そして直近ではこのレンジを上抜け青い上昇チャンネルの中での推移となっていましたが、もう少しドルを弱右したいと考えるならば、このサポートラインを下回らせることで95以下を安定した水準にしたいと考えます。

そうすることで、年初来安値と高値の38.2%押しにあたる93.53レベル(赤のターゲット)まで下げる流れに繋がりますし、この水準は6〜7月にもみあい下限とも重なります。

現在の水準が94.98、93.53までは割合にして1.5%ほどです。ユーロドルにあてはめると1.18レベルになりますが、果たしてどうでしょうか。

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

8月20日(月)
東京市場から欧州市場まではドルが堅調な動きとなっていたことからじり安の展開を辿り一時1.1395レベルの安値をつけました。NY市場に入りトランプ大統領が中国と欧州を為替操作していると名指しで批判したことがドル高けん制と取られ、ユーロドルは1.1485レベルまで駆け上りそのまま高値圏での引けとなりました。


8月21日(火)
ユーロドルは、前日の流れを受け東京市場ではユーロの買い戻しが先行しました。しかしドル円の110円割れば短時間で終わったこともあり、その後NY市場まではドル円の動きを見ながらドル買い戻しがユーロの上値を抑えました。しかし、英国のEU離脱相がブリュッセルで協議しているブレグジット の交渉に進展が見られるとの発言からポンドとともにユーロの買い戻しも強まり1.1601の高値をつけた後にやや押して引けました。

8月22日(水)
ユーロドルは月曜のトランプ大統領発言以降、ユーロの買い戻しが安定的に続き、終日底堅い動きを続けました。NY市場の前場には1.1623レベルまで水準を切り上げ、ユーロ円も128.28レベルまで上昇しました。ユーロドルは引けにかけてやや押す動きも見られましたが、ユーロ円は高値圏での引けとなりました。


8月23日(木)
東京市場では豪首相が辞任する可能性とのニュースに豪ドル売りが全般的なドル買いを誘い、ユーロドルも上値を抑えられる展開となりました。しかし、ECB理事会の議事録発表を前にいったん元の水準へ戻したものの、議事録自体は特に材料視されず、その後は再びドル高の動きへ回帰、ユーロドル1.1530レベルの安値をつけた後にやや戻しての引けとなりました。

8月24日(金)
ユーロドルは、終日ユーロ買いが続く展開となり、東京市場前場はドル円とともにリスクオンでユーロ円が買われたことからじり高となりました。また豪ドル買いの動きが対欧州通貨でドル売りに繋がったこともユーロの下値を支え、欧州市場では前日高値を上抜け。テクニカルな買いも見られ、NY市場ではパウエルFRB議長のハト派的な講演にも反応し、1.1640レベルまで上伸後に若干押して引けました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

8月27日(月)
**:** LDN市場休場
17:00 ドイツ8月ifo企業景況感

8月28日(火)
15:45 フランス8月消費者信頼感
20:00 プラートECB理事講演

8月29日(水)
15:00 ドイツ9月GFK消費者信頼感
15:45 フランス4〜6月期GDP改定値

8月30日(木)
16:55 ドイツ8月失業率
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ8月CPI速報値

8月31日(金)
08:01 英国8月GFK消費者信頼感
15:45 フランス8月CPI
18:00 ユーロ圏8月CPI速報値
18:00 ユーロ圏7月失業率
26:00 デギンドスECB副総裁講演

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