ランド円レポート月曜版
先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は値の重たい展開を考えざるを得ず「7.90レベルをレジスタンスに、7.00レベルをサポートとする週」を見ていました。
実際のレンジは、安値が7.12レベル、高値が7.93レベルと、荒れ相場の中ではほぼ高値も安値も一致したので上出来だと思います。トルコリラ円でも同様にほぼ一致したのですが、こういったとんでもない相場の時には過去のアジア通貨危機や大相場の時の経験が役に立つものです。
ただ、経験的なことから言わせていただくと、こういった新興国の高金利通貨が全体に売られる相場の時には、基本的に早めに相場から抜け出すことで自分の身を守ることこそが最優先であることは付け加えておきたいと思います。
さて先週のランド円は基本的にトルコリラの煽りを食らって週初に安値を更新。その後は買い戻しが入ったもののトルコリラよりも戻しが弱く、金曜安値圏まで戻した後、火曜日以降は再びじり安の展開を辿り安値から高値への半値以上押しての週末クローズとなりました。
先週の南アランドにとってネガティブな材料とされたのは中銀副総裁が「介入が必要な状況から程遠い」と発言したこと、またムーディーズが予想よりも弱い経済成長や公共部門の賃金上昇を理由に、南アの財政再建ペースは政府予測より遅れる、と指摘したことです。
前者は、高値からの下げや直近の急落はあったものの、市場最安値を更新しているトルコリラに比べれば、まだ余裕のある動きであると言えます。
そうした点では中銀副総裁の発言はそれほど驚くにはいたりません。しかし、ムーディーズの指摘は格付け見直しで引き下げに直結するかもしれないだけに気になる発言です。
現在の南アフリカはS&Pが既に投資不適格、ムーディーズはかろうじて投資適格ですが、引き下げられたらジャンク級に陥落、その場合には南アフリカからかなりの金額の資金が流出します。
警戒しての売りが出るのは当然のことです。ここは既にジャンクのトルコとは異なります。
今週はトルコが週を通してイスラム教の祝日で休みとなりますので、変なニュースが出なければトルコリラが原因となる変動は無いはずですが、逆に予想外の動き特に下げる動きが出てきた場合には流動性が低下しているだけに南アランドへの影響も出て来る可能性があり、それだけは注意が必要です。
また週後半にジャクソンホールで各国中銀のトップが集まりますが、その場で新興国通貨に対して何らかの意見が出てくることは間違いありません。当局の人間が積極的に売りに繋がるような発言はしなくても、市場参加者がそれをネガティブと捉える動きが出てきた場合には注意が必要で、引き続き戻り売りが出やすい地合いであることに変わりは無さそうです。
チャートも見てみましょう。今週はいつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
上段と中段のチャートにはピンクの水平線を引いてありますが、これはどちらも2016年のランド最安値から今年のランド高値に対する61.8%押しの水準を示しています。
対ドルではほぼ61.8%でランド安が止まり、対円ではかなり通り越したもののいったん下げ止まる動きに繋がったと言えます。しかし、トルコリラの影響から、新興国通貨全般に警戒感が広がり、ランドもいまだ戻り売りを考える参加者が多いため、今週も先週のレンジの中で戻り売りを考える流れにあるでしょう。
先週1週間の動きの中に複数のフィボナッチリトレースメントを考えてあるため見難いのですが、まず上値の目途は高値と金曜安値の61.8%戻しとなる7.71、いっぽう下値の目途は先週安値から高値への78.6%(61.8%の平方根)押しとなる7.29を目途として考えるとよさそうです。
今週は、上記の純粋にテクニカルな観点から、7.30レベルをサポートに、7.70レベルをレジスタンスとしながら、多少のズレを見ておくと大きくは外さないように思います。
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