今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、前週からのトルコリラ暴落の影響が大きく、特に前週のECBが欧州の銀行が保有するトルコ資産に懸念を示した発言がユーロに影を落としたと言えます。主要通貨でもドル円は月曜欧州市場から反発したのに対し、ユーロが底打ちしたのは水曜NY市場です。
また、ブレグジットの進展が相変わらず不透明で、進捗が見られないこともユーロの悪材料とされました。
テクニカルにも5月以降のトライアングル下抜け余波が上値を重たくした部分もあったでしょう。こちらは後ほどチャートとともにじっくりと見て行きます。
今週は欧州の材料は主要国のPMI速報値、前回ECB理事会の議事要旨公表があります。
またジャクソンホールはドラギ総裁をはじめ上級理事である専務理事は全員欠席となっています。多忙がその理由のようですが、ECB関係者では平の理事となるドイツ連銀のワイトマン総裁やメルシュ理事が出席すると発表されています。ワイトマンドイツ連銀総裁はECB理事会の中ではタカ派ですが、ジャクソンホールにおいては特に講演は予定されていないようです。しかし、本日同総裁の講演がありますので、タカ派のスタンスを確認するという点では一応チェックしておきたいところです。
先週はブレグジット関連のニュースや発言もいくつか出てきましたが、進捗が見られないことからこのまま3月を迎えると食糧危機の可能性があるといったコメントも見られました。
英国のEU離脱担当相は今週21日にブリュッセルでEUのバルニエ主席交渉官と協議することとなっています。また23日には英国政府が国民向けにEU離脱について説明することとなっていますが、これは結果的にハードブレグジットとなってしまう場合の注意点なども含まれるとのことです。
21日の協議で進展がみられるかどうかが最初の注目材料ではありますが、ここまでの進捗の無さを考えると、あまり好材料は出て来ないのではないかと、個人的にはややマイナス方向=ポンド売りのバイアスをかけて構えたいところです。
これがユーロ売りにもつながるのか、あるいはユーロポンドでのポンド売りとなるのか、23日の英国政府発表も含めてポンド売りにバイアスをかけつつも逆方向の動きも想定し、注意すべき一週間となりそうです。
ユーロドルの日足チャートです。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
トライアングルの下抜け後の下げが先週半ばでいったん終了し、短期的には反転する動きとなっています。到達確率チャートのようにザラバチャートで見ると逆ヘッド&ショルダー型のパターンとなっていて、目先の安値をつけたチャートパターンです。
しかし、材料面では積極的にユーロを買う材料も無く、ポジション的にも長らく続いていたユーロ買いのポジションは解消し金曜の引けに発表された直近(14日時点)のシカゴ通貨先物ポジションはユーロが売りへと転じています。
これは昨年5月2日以来の売りとなっていて、すぐ買いに戻る可能性よりも投機筋は引き続きユーロ売りで攻めて来る可能性のほうが高いと考えた方がよいでしょう。そうなると、底打ちはしたものの、下抜けする前の安値圏となっていた1.15の大台が戻りの限界点となる可能性を考えたいと思います。
今週はいったん踊り場形成の週を想定し、大台1.1500レベルをレジスタンスに、先週安値圏よりは上の水準で下値も支えられると考え1.1350レベルをサポートとする値動きを考えておきます。
今週のコラム
今週のコメントでは英国のEU離脱協議の不透明さからポンド売りが出る可能性を指摘しました。そこでここではテクニカルにはどうなのかポンドの日足チャートを見てみることとしましょう。
ポンドドルの日足チャートです。
ポンドは6月から8月上旬まではピンクの平行線で示した下降チャンネルの中での動きとなっていましたが、先々週から先週までのユーロの下げで下抜け、ポンドもまた下値を探る展開となりました。
しかし、ユーロが底打ちした動きに比べると悪材料もあることから反発は弱いものとなっています。戻りの限界点としては下のピンクのラインが位置する1.2800〜1.2850水準が考えられます。
一方で、今週の協議の進み具合や英国政府の発表に対する市場の反応次第では先週安値を下抜け、一段の安値をトライする可能性があります。その場合、7月高値を起点にy月安値までの下げ、その後の戻しを各点とする逆N波動を考え、フィボナッチエクスパンションを考えると、161.8%エクスパンションが1.2558(青のターゲット)と1.25台半ばをターゲットとしやすい地合いにあることがわかります。
引き続きポンドは上げても下げても売られやすいと考えていたほうが良いでしょう。
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時からNY午後5時のインターバンクレート
前週のユーロ
8月13日(月)
ユーロドルは、ドル円とともにトルコリラ安によるリスクオフの動きからユーロ円の売りが強まり、ユーロ円が125円の大台目前まで下げる動きに沿って上値の重たい展開となりました。ユーロドルは1.1365レベルまで安値を切り下げましたが、その後はドル円とユーロ円の買い戻しが入ったことで、1.14台に戻しての引けとなりました。
8月14日(火)
ユーロドルは、東京市場ではドル円の動きに沿ってユーロ円が買われたことからユーロ買いが先行したものの、その後は英国のブレグジットが一層不透明となってきていることや、トルコに債権を持つ欧州金融機関への懸念も残り、ドル買いの動きの中でユーロ売りが再燃しました。引けにかけては前日安値を割り込み1.1330レベルの安値をつけた後にやや戻して引けました。
8月15日(水)
ユーロドルは、トルコリラ安と欧州金融機関に対する懸念が継続しユーロ安の動きとなり、NYの朝方には1.1301レベルまで下値を広げました。しかし下がったところでは買いたい向きも見られ、引けにかけては1.13台半ばまで買い戻しが入ってのクローズとなりました。
8月16日(木)
ユーロドルは前日に目先の安値をつけた後は底堅い動きとなり、ユーロの下げからスタートした一連のリスクオフ相場は一休みという流れになりました。しかし、トルコと欧州金融機関に対する懸念が1週間で収束するようなことは考えられず、引き続き戻りに対する警戒感も強い地合いでの引けとなりました。
8月17日(金)
ユーロドルは基本的にドル円と同様の値動きで、東京市場では全く動きは見られませんでした。海外市場入りとともにドル円の下げが主導する形でユーロがじり高となりましたが、NY市場ではドル円とは動きを変え、後場には1.1445レベルまで買われました。週間高値を更新したことでテクニカルにも一段高の動きが見込まれる展開となり、ユーロドルはそのまま高値圏での引けとなりました。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
8月20日(月)
15:00 ドイツ7月PPI
27:00 ドイツ連銀総裁講演
**:** トルコ休場(20日夜〜24日)
**:** 第3次ギリシャ支援プログラム終了
8月21日(火)
**:** 英国EU離脱担当相、EU主席交渉官と協議
8月22日(水)
27:00 FOMC(1日)議事要旨公表
8月23日(木)
15:45 フランス8月企業景況感
16:00 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値
20:30 ECB理事会(7月26日)議事要旨公表
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値
**:** 英国政府が国民向けにEU離脱について説明
**:** ジャクソンホール(〜25日)
8月24日(金)
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値
**:** パウエルFRB議長講演(ジャクソンホール)
ディスクレーマー
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