ドル円 上値は重く110円大台割れをトライ(8月第3週)

FX予想と振り返り

ドル円 上値は重く110円大台割れをトライ(8月第3週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週末からのトルコリラ暴落が続き週初はリスクオフの円高が先行しましたが、安値は110.11レベルと大台トライには至らず。その後はトルコリラが対ドル、対円で値を回復する動きとともにリスクオフの巻き返しの動きが続きました。週半ばには111円台半ばまでドル円も水準を戻したものの、上がったところでは売りたい向きも多く、週末には再びトルコリラに売りが出たこともあって110円台半ばでの引けとなりました。

先週の東京はインターバンク勢や実需筋の担当者もお盆休みで参加者が少なく、また値動きも大台110円以下の買いと111.50以上の売りがオーダーとして見えている中で、トルコリラの動きが主導した週となりました。今週はトルコが火曜から金曜まで休場となり、実質的には本日も開店休業状態となります。当然流動性は低くなりますが、それがトルコリラ売りを仕掛ける動きに繋がると一段安の懸念も出てきます。

金曜のNY引け間際にはS&Pがトルコの格付けをB+へと引き下げ、ムーディーズもBa3(BB−相当)へと引き下げました。すでにトルコの格付けがジャンク級であったことや、大手格付け会社の見直しで格付けが引き下げられる妥当ことは織り込んでいたため、金曜の欧州市場でトルコリラが既に下げていたこともあり、思ったほどのインパクトは見られず、ドル円の下げも限定的になったと言えそうです。

今週も引き続きトルコリラを筆頭に新興国通貨のリスクオフ・リスクオフの巻き返しといった動きの影響、そして23〜25日のジャクソンホール(カンザスシティ連銀主催のシンポジウム、各国中銀のトップが集まる)に注目が集まります。今年のジャクソンホールは、新興国通貨の混乱が無ければ注目度が低かったのですが、パウエルFRB議長の講演において米国の今後の金融政策に対して何らかのヒントが得られるか、また新興国通貨に対して見解を示すかどうか、金曜の議長発言が最大の注目材料となりそうです。

材料面では経済指標も含め、それほど値動きに影響を与えるものは他には見当たりません。つまり、先週のレンジを上下ともに抜けるほどの材料には欠けるという印象です。

テクニカルにはどうでしょうか。以下の日足チャートをご覧ください。

テクニカルには先週示したように5月安値からのサポートライン(青)を下抜け、現状では7月高値からの下降チャンネル(ピンク)内での動きに変化しました。

また、年初来安値(104.64)と7月高値(113.18)の38.2%押しにあたる109.92(赤のターゲット)を先週月曜に試したと言えるかどうか、誤差の範囲内と取ることも出来そうですが、110円の大台自体をトライしていないという点から、まだ109.92を目指す可能性が高いのではないかと考えています。

今週も上値が重たい地合いの中、基本は先週のレンジ内の動きとなりますが、トルコリラ発のリスクオフ懸念は払しょくできていませんので、どこかで一度は大台をトライするのではと個人的には見ています。今週も先週書いたレンジそのままで、111.10レベルをレジスタンスに、大台トライ後一時的に突っ込む動きを想定し109.50レベルをサポートとする一週間を考えておきます。

今週の週間見通し

ドル円日足

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。

また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

8月20日(月)
15:00 ドイツ7月PPI
24:00 アトランタ連銀総裁講演
**:** トルコ休場(20日夜〜24日)
**:** 第3次ギリシャ支援プログラム終了

8月21日(火)
07:00 豪中銀総裁講演
10:30 豪中銀理事会(7日)議事要旨公表

8月22日(水)
**:** シンガポール市場休場
07:45 NZ4〜6月期小売売上高
17:00 南ア7月CPI
23:00 米国7月中古住宅販売件数
23:30 原油週間在庫統計
27:00 FOMC(1日)議事要旨公表

8月23日(木)
15:45 フランス8月企業景況感
16:00 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値
20:30 ECB理事会(7月26日)議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:00 米国6月住宅価格指数
22:45 8月米国8月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国7月新築住宅販売件数
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値
**:** ジャクソンホール(〜25日)

8月24日(金)
07:45 NZ7月貿易収支
08:30 本邦7月CPI
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値
21:30 米国7月耐久財受注
**:** パウエルFRB議長講演(ジャクソンホール)

前週の主要レート(週間レンジ)

表の始値は全て東京午前9時時点のレート。

今週の週間見通し 2枚目の画像

為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

8月13日(月)
金曜のトルコリラ急落後、週末にはエルドアン大統領の利上げに否定的な発言も加わって週初からトルコリラは対ドル、対円で続落。リスクオフの動きから円とスイスフランが避難通貨として買われる展開となりました。後場には110.11レベルと110円の大台目前まで水準を下げましたが、トルコ中銀が声明を出したことをきっかけに反転、しかし利上げへの言及が無かったことでトルコリラ自体はすぐに元の水準へと戻す動きとなりました。その後、トルコで軟禁されている米国人牧師が解放されるとの噂でドル円は110.94レベルまで急反発しましたが、噂が否定された後はやや下押しした程度のNYクローズとなりました。

8月14日(火)
東京市場のドル円は前日海外市場の流れを受けドル買いが先行、その後も株価の上昇とともにリスクオフの巻き返しの動きとなり111円台に乗せました。海外市場に入ると株価先物が夜間取引で売りに転じる動きに沿ってNYの昼前まではドル円もじり安を辿り110.75レベルへと押しました。その後NY昼前からは再び株価が上昇する動きとともにドル買い、111.32レベルまで上昇後に若干押しての引けました。

8月15日(水)
東京市場から欧州市場序盤まではトルコリラが堅調な動きとなっていたこともあってドル円も高値圏でのもみあいとなっていました。しかし上値追いも出てこない中で、ダウ先物が貿易摩擦やトルコリラ懸念を材料に欧州市場で売られ始め、NY市場に入ると300ドルを超える大幅安、ドル円も一気に値を崩し110.44レベルと高値から1円ほどの下げを演じました。引けにかけてダウは買い戻しが入ったもののドル円は戻りが鈍く110.75レベルで引けました。

8月16日(木)
東京市場では米中通商協議再開のニュースを受けリスクオフの巻き返しが目立ちました。特にダウ先物が東京前場から大幅高となったことが好感されましたが、ダウはその後も上昇を続けリスクオフがかなり後退した1日となりました。トルコリラも対ドル、対円で戻す動きを見せましたが、トルコが犠牲祭(宗教的な休日)で20日夜から1週間休みとなることも影響し、短期筋のポジションカバーが入った動きでした。

8月17日(金)
東京市場は全く動意なしの状態が続きましたが、欧州市場に入るとドルが全般に上値の重たい展開となりました。これはトルコリラをはじめ新興国通貨に改めて売りの動きが見られたことによるリスクオフの動きが主要因でした。NY市場の朝方にはドル円は110.32レベルまで水準を切り下げましたが、後場に入ると米中通商協議に対して楽観的な見方が出る中で週末前のポジション調整も加わり110円台半ばでの引けとなりました。

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