長引く「夏枯れ」米中次官級協議を注視(週報8月第3週)

先週のドル/円相場は、「行って来い」。一時ドル高に振れたものの続かず、週末NYは週初の寄り付きに近いレベルで大引けている。

長引く「夏枯れ」米中次官級協議を注視(週報8月第3週)

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先週のドル/円相場は、「行って来い」。一時ドル高に振れたものの続かず、週末NYは週初の寄り付きに近いレベルで大引けている。

前週末に実施された「日米貿易協議」において、これといった進展がないまま9月再協議が決定したことを受けた根強い警戒感に加え、いわゆる「トルコショック」の余波も残り、週初のドル/円相場は上方向にギャップを空け、円高レベルで寄り付いた。
前週末に110.85-90円で引けたドル/円は、110.40-45円で寄り付いたのち続落、一時110.10円前後まで値を下げている。しかし、結局同レベルがドルの週間安値となり、今度は逆に上値を試す展開に。111円台半ば近くまで値を上げたが、上値トライも失敗に終わると、一転してドルは反転安に。週末NYは110円半ばと週初に近い水準で取引を終え、越週となった。
なお、そうしたなか、前週大荒れとなったトルコリラが引き続き波乱含みの値動きをたどったほか、南ア・ランドも激しい上下動。また、先週は仮想通貨が総じて荒っぽい変動を記録、なかでもリップルやイーサリアムの変動が著しかった。

一方、週間を通して注目された材料は、継続案件である「トルコ問題」と「米貿易問題」。
前者については、NYタイムズがトルコ大統領の寄稿文を掲載し、そのなかで「米国の対応次第で新同盟国を探す」との考えが示されていたなか、同国中銀は「市場動向を注視し、必要なすべての措置を取るだろう」との声明を発表している。なお、発言などではないが、今週予定されている「犠牲祭」によるトルコ金融市場の休場(21-24日)を前にした、高金利通貨・トルコリラのポジション調整、ショートカバーの動きも週末にかけて話題となっていたようだ。
対して後者は、米中を中心とした米貿易問題が取り沙汰されるなか、WSJ紙が「米中次官級通商協議、22-23日に開催へ」と報じたことなどもあり、落とし所に向けた局面打開への期待感が高まった。とは言え、CNBCがクドロー米国家経済会議(NEC)委員長による発言として「中国はトランプ大統領の決意を侮るべきでない」と報じるなど、一足飛びでの協議進展は難しいものがあるかもしれない。

<< 今週の見通し >>

先々週に大荒れだったトルコリラやユーロ、ポンド、NZドルなどは先週やや落ち着きを取り戻すも、それでもなかなか荒っぽい値動き。実際、トルコリラ/円やボンド/円、NZドル/円などは週のザラ場ベースで一時年初来安値を更新する局面が観測されていた。それに対して、ドル/円は先週も一週間を通して1.3円ほどの変動にとどまるなど、依然として動意が乏しく、方向性もいまひとつハッキリしない。チャートをみると、居心地が良さそうな雰囲気がうかがえる大雑把に言って110-112円というレンジを如何に、そしてどちらに放れることが出来るのか、今週も引き続き注意を払いたい。
材料的には、「パウエルFRB議長によるジャクソンホール講演(24日)」など幾つか注目要因はあるものの、もっとも注視されているものは、やはり「米中の貿易問題」か。さらにいえば22-23日に実施される「米中次官級通商協議」になる。先で取り上げたクドローNEC委員長の発言などからすると、簡単に米国が妥協することもなさそうだが、それでも「全面衝突の回避」が示される可能性を期待する声は少なくない。

テクニカルに見た場合、もう1ヵ月近くも110.10-112.15円という2円程度のレンジ取引となっている。明確な方向性は乏しい。
そうしたなか、日足の一目均衡表では先行帯の雲の上限を割り込んだだけでなく、下限割れも意識され始めているうえ、週足の一目では、週足が同じ雲の上限(先週段階で110.50-55円)に絡む値動きとなっている。日足、週足どちらの観点からも一目の雲をめぐる攻防には要注意だ。展開次第では、ドル下落ムードが高まる可能性もある。

一方、材料的に見た場合、幾つかの米経済指標が発表されるものの、それほど重要視されているものはなく、全般的には小粒な印象。よほどの数字とならない限り、影響は限定的か。ただ、22日にFOMCの議事録が公表されるほか、週間を通して米地区連銀総裁などによる講演が多く、また週末にはFRB議長によるジャクソンホール講演が実施されることで、それらを警戒する声も聞かれていた。
そのほか、「米中次官級通商協議」は当然要注意であるうえ、トルコ金融市場の休場期間中を狙った突発材料を意識する向きも少なくないようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.40-111.40円。ドル高・円安については、先週高値である111.43円が最初の抵抗。抜ければ111.85円や112.15円などが視界内にとらえられそうだが、111円半ばでは先々週もドルはレジストされており、上値は重いか。
対するドル安・円高方向は、先週記録した直近安値の110.11円の攻防にまず注視。ちなみに、前後には移動平均の200日線をはじめ、複数のテクニカルポイントが位置しているが、しっかりと割り込むことが出来るだろうか?仮に下回れば、109.30-40円が次のサポートに。

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