トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は大統領選後のトルコリラ買いをダマシと考え「23.00レベルをサポートに、月曜早朝高値圏24.00レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が23.16レベル、高値が24.26レベルと、月曜早朝高値からいったんは下押しする動きを見せたもののすぐに切り返し、週後半には月曜高値を上抜けそのまま高値圏での引けとなりました。
先週のトルコリラは、週初の大統領選の結果が最大のニュースでした。これは先週のショートコメントでも書きましたが、エルドアン大統領の得票率は最終的に52.6%と不正が無かったとしても過半数の支持は得られたという結果でした。選挙について不正の問題はあまり聞こえてきませんので、トルコ国民はエルドアン支持を結論としたことになります。また議会のほうも与党AKPとMHPを合わせて53.6%と過半数を取りました。政治的には安定した状態とは言えるでしょう。
いっぽうで、市場参加者はエルドアン大統領の更に大統領の権限が強くなることと長期政権化を懸念して選挙前はトルコリラ売りで反応していましたが(前週末終値23.44)、大統領選の結果が判明した時の最初の反応は予想に反してのトルコリラ買いでした(高値24.11)。その後、同日の欧州市場ではいったん金曜終値を下回る水準まで売られましたが(安値23.16)、翌日以降は落ち着きを取り戻してじり高の動きとなり、週末には24円台を再び回復する動きとなりました。
材料は皆無というほどではありませんが、週を通してみると一大イベントが終わってトルコリラは落ち着いた動きとなり対ドルではややトルコリラ高が進んだいっぽうで、ドル円は週を通してじり高の動きとなり、週末にかけては他のクロス円同様に円全面安で引けたことで、トルコリラ円もまた週初の高値を超える動きになったと言えます。
しかし、懸念材料が無いわけでもありません。引き締め政策を続けるトルコ中銀に対してエルドアン大統領は緩和圧力をかける可能性があること、また中央政府の行政組織を大きく改革し強いトルコ経済の実現に向けて動き出すと言っているものの、実効性については蓋を開けてみないとわかりません。格付け会社のフィッチは選挙後に「今後のマクロ経済政策がどんなものになるかによって決まる」としばらくは様子見姿勢で、これは他の格付け会社も同様と思われます。ムーディーズは6月時点では格下げ方向で見直しと言っているだけに、実際の政策次第ではまだまだ油断は出来ないでしょう。
今週は明日3日にトルコCPIの発表がありますが、数字次第では中銀に更なる利上げを期待する催促相場になりそうですし、これまでのリラ安の流れの中でトルコリラ防衛のための介入でかなり外貨準備も減ってきていると見られることから、ここからがトルコ経済にとってもトルコリラにとっても正念場ということになります。
また選挙戦後にトランプ大統領とエルドアン大統領は電話で関係改善について会談を行いましたが、7月11・12日のNATOサミットにも両者は出席しますので、何らかの会談をする可能性はありそうです。
次にテクニカルな面ですが、こちらも先週は強い動きではあったものの、このまま続くのかとなると悩ましいチャートであると思います。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
大統領選に向けて4週間前の6月高値24.65から2週間前の22.99まで下げる動きの中で短期的な高値も安値も見た可能性が高いこと、またこの下げの動きに対する78.6%(61.8%の平方根戻し)が24.29(赤のターゲット)と先週高値24.26に近く、既に戻し高値を見た可能性もあることがあります。仮に高値から調整の売りに向かう可能性を考えると2週前安値と先週高値の半値にあたる23.62レベル(青のターゲット)を試す可能性が高いチャートに見えます。
今週は上記の既に戻り高値を見た可能性のシナリオから、23.60レベルをサポートに先週高値圏にあたる24.25レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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