トルコリラの緊急利上げは効果があるのか?
今朝の編集人K氏のコメントに詳しいので詳細はそちらに譲りますが、昨日東京市場におけるトルコリラ急落を受け、トルコ中銀は通貨防衛を目的に緊急利上げを行いました。6月の政策金利決定会合まで待てなかったという点では、それだけ当局が危機を感じたということですが、エルドアン大統領の中銀を無視した状況下での行動という点ではよくやったというところでしょうか。
ただ、この利上げが果たしてどの程度の効果(値幅的にも、期間的にも)があるのかとると悩ましいところです。通貨急落の洗礼を受けたアルゼンチンペソでは、4月27日に3%、5月3日に3%、翌4日に6.75%とわずか1週間ほどの間に3回12.75%もの利上げを行いました。しかし本当のアルゼンチンペソ急落はそこから始まったのです。
トルコ中銀も実質的な政策金利である後期流動性貸出を奇しくも3%上げ、16.5%としましたが、対円で見ると昨日東京市場の安値22.27からNY市場では24.23まで上がったものの、本日欧州市場では23.03まで下げてきています。テクニカルには既に上げ幅のちょうど61.8%押しのところへきています。
昨日の東京市場でトルコリラが急落した理由のひとつに本邦個人投資家の強制決済がかなり出たと考えられます。金融取引所では毎朝前日までのポジションを公表していますが、昨日の東京市場での急落では32万枚から27万枚へと15%ほどの買いポジション減となりました。それでも昨年10月末頃の水準に戻した程度で、当時のトルコリラ円はまだ30円前後だったことを考えると、まだまだコストの高いトルコリラ買いポジションは多く残っていると考えられます。
また、くりっく365におけるトルコリラ円の出来高は東京のFX業者の10%程度であると公表していますので、国内市場全体ではおよそ10倍のポジションがあるであろうことが予想できます。トルコ中銀がどの程度、通貨防衛をするかにもよりますが、切り札を切った後のトランプのゲームのようなものですから、次に新安値を更新する動きが出てきたときには週初のトルコリラ円レポートにも示した20円の大台が視野に入ってきそうです。
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