今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは週初こそ買いが出たものの、逆に1.20の大台に戻すことが出来なかったこともあって、前週後半からの買い戻しに終止符を打つこととなりました。イタリアの連立協議前進も前週まではユーロにとって好材料となっていましたが、先週は5つ星と同盟による連立政権が樹立した後の不透明さがネックとなり、すべての材料がユーロを売る材料とされている感があります。
これは、ポジション調整による動きも大きいと見られ、先週火曜段階のシカゴのユーロ買いポジションは減ってはいるものの依然高水準です。昨年後半がだいたい8〜9万枚程度で推移していたのに対し、4月には15万枚を超え直近では12万枚を割り込んできたものの、ここに至るまでの下げを考えるとまだユーロ買いのポジション調整は続きやすいのと見る向きもいるようです。
今週は、まず本日に5つ星と同盟の両党首が大統領と会談し、首相と閣僚の合意を得られればいよいよ連立政権がスタートすることとなります。両党首とも首相は第三者、閣僚リストには意外な名前も含まれているとだけ述べていますが、両党ともポピュリズム政党で反EUではありますが、それを前面に出しすぎると話がまとまらないと、思いのほかマイルド路線で来るのではないかという気もします。ふたを開けてみないとわかりませんが、先週のように何でもユーロ売りということにはならず、買いに繋がる可能性にも注意しておきたいところです。
それ以外では23日の主要国のPMI速報値、24日のECB理事会議事要旨が材料としては大きなところですが、PMIは短期的変動要因、ECB理事会議事要旨も先月の理事会後のドラギ総裁会見では「金融政策について今回の理事会では討議されなかった」と述べていますので、方向を変えるほどの材料にはならないと見ています。
そうなると今週もユーロ安が進むのか、あるいは底入れするのかというのが悩ましいところですが、テクニカルな観点からターゲットを考えてみましょう。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
昨年1年間の動きは大きくは一本調子の上げだったと言えますが、その中で押しらしい押しをあげるとするならば、11月安値の1.1554です(赤いライン)。また11月安値から今年の年始来高値1.2555までの上げの中で、これまで到達していない安値は12月安値の1.1718のみです(赤いライン)。いっぽうで値幅観測によるターゲットを求めることも出来ます。
ひとつめは、1月中旬から4月下旬までの高値圏でのリバーサルパターンです。ネックラインを3月安値1.2155とすると(水色点線)、ネックラインの高さはちょうど400pipsとなります。この値幅を年初来高値から引いてあげると(水色矢印)1.1755とちょうど現在の水準に重なり、チャートパターンのターゲットとしてはそろそろいいところということが出来るでしょう。
ふたつめは、4月高値1.2414を起点に5月9日安値1.1823までの下げ、その後の14日高値1.1996までの戻しから計算する逆N波動です。フィボナッチ・エクスパンションでは50%が1.1701、61.8%は1.1631となっています(青のターゲット)。特に前者は、ひとつめのターゲットとも近く1.17台前半はいったん止まりやすい水準であると見ることも出来そうです。
今週は引き続き上値の重たい地合いは継続しやすいものの、目先の下げのターゲットも近いと考え、1.1700レベルをサポートに、1.1850レベルをレジスタンスと短期的に底を叩いた後の戻し相場を考えたいと思います。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートから現在の立ち位置を考えてみます。まずは日足チャートをご覧ください。
テクニカルにユーロ円は比較的きれいな動きを続けています。2月高値(年初来高値137.50)から3月安値(年初来安値128.95)の半値戻し133.22と近い133.49が戻し高値となっていて(それぞれ赤のターゲット)、その後の下げは年始来安値の手前129.22で折り返していて、その半値が131.36と先週高値131.38と完全に重なっています(青のターゲット)。
現在は、チャートには示していないものの5月安値と先週高値の半値にあたる130.30近辺での週明けスタートとなっていることもわかります。テクニカルにはかなりバランスが取れていて方向感が出にくいもみあいを前提とした先週のレンジ内からは大きくは抜けられない動きが予想されます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
5月21日(月)
08:01 英国5月ライトムーブ住宅価格
**:** イタリア連立両党、大統領と会談
5月22日(火)
19:00 英国5月CBI製造業受注指数
5月23日(水)
16:00 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツフランス5月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏フランス5月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国4月CPI・PPI
5月24日(木)
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感
15:00 ドイツ1〜3月期GDP確報値
15:45 フランス5月業況感指数
**:** ユーロ圏財務相会合
17:30 英国4月小売売上高
20:30 ECB理事会(4月26日)議事要旨公表
5月25日(金)
17:00 ドイツ5月ifo景況感指数
17:30 英国1〜3月期GDP改定値
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1953 1.1996 1.1750 1.1770
ユーロ円 130.66 131.38 129.53 130.36
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
5月14日(月)
ユーロドルはイタリアの連立協議前進に加えフランス中銀総裁が緩和終了時期について言及したことも重なってNY市場の朝方には1.1996レベルと1.20の大台目前まで上昇しました。しかしNY市場に入り米金利上昇とクーレECB理事がハト派発言を行ったことから下落、ユーロドルは1.1926レベルまで水準を切り下げ安値引けとなりました。
5月15日(火)
米金利が一段と上昇する中でドル買いが先行し、ドル円が直近高値を上抜ける動きとともにユーロドルでもドル買いの動きが加速しました。NY市場では安値1.1820レベルと年初来安値を更新し、ドル全面高での引けとなりました。
5月16日(水)
ユーロドルは欧州市場でイタリアの新連立政権がECBに債務免除を求めるとのニュースに大幅安となり、連日の年初来安値更新と1.1763レベルの安値をつける展開となりました。その後、同盟が同報道を否定したことから買い戻しも入り1.18台に戻しての引けとなったものの新連立政権樹立への安心より反EU的政策に対する不安が大きく、上値の重たい地合いが続いての引けとなりました。
5月17日(木)
東京前場こそ買いが先行したものの、その後は上値が重くなりじり安の展開。ただ積極的に売る向きも見られず、1.18を挟んで方向感がはっきりしない中休みの一日となりました。
5月18日(金)
東京市場ではリスクオンの動きからユーロ円の買いも出てじり高となりましたが、欧州市場に入りイタリアの連立協議がほぼ合意したとのニュースが、今後の政局の不透明感を増すとの見方からユーロ売りとなりました。イタリア連立合意は、再選挙より良いニュースの半面、いまのユーロは売り材料を探している面が強く、悪材料と捉えられました。NY市場では1.1750レベルへと安値を拡大し、引けにかけてはやや戻してのクローズとなりました。
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オーダー/ポジション状況
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