ドル円 111円台半ばが目先のターゲットか(5月第4週)

先週のドル円は週を通してドル高の一週間となりました。109円台前半から始まり翌日には直近高値を上抜けしっかりと110円台乗せ、

ドル円 111円台半ばが目先のターゲットか(5月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は週を通してドル高の一週間となりました。109円台前半から始まり翌日には直近高値を上抜けしっかりと110円台乗せ、その後も節目の110.50、111.00と節目にあったドル売りオーダーもこなし、週末は110円台半ばでの引けとなりました。週末には米中通商交渉がまとまり貿易戦争は回避というニュースが出ていますが、為替市場は株式市場ほどの反応は見られず110円台後半で様子見のスタートとなっています。

今週は政治的なイベントとして22日に米韓首脳会談が行われますが、こちらも番狂わせが無ければ米朝首脳会談に向けて好材料となりやすく、日々出て来る経済指標や地区連銀総裁の講演などは一時的な材料となる程度であると考えられます。また、米中通商交渉がまとまったということは、当然次は日本ということになりますので、米株は上昇しても日本株も一緒になって上がるのは今だけかもしれません。

話を今週に戻しますが、目立った材料が無い中で111円という水準まで上げてきましたが、この水準はテクニカルにはかなりいい水準です。まず、昨年11月高値114.73と今年安値104.64の61.8%戻しが110.88です(日足チャート赤のターゲット)。また、今年2月半ばから4月下旬にかけて形成された反転パターンが108円水準(ネックライン)を上抜けたことをきっかけのドル高に動いたと考えられますが、ネックラインまでの高さ(3.36円=108.00−104.64)をだいたい3.4円と考えると、111.4円と111円台前半がターゲットとなります(日足チャート水色のターゲット)。

米国の外交予定では、6月中にまず米朝首脳会談、先の日米首脳会談で6月中旬以降に日米通商交渉を始める予定となっています。現状はまだ交渉開始まで1か月近く残っていますが、日本側担当者の茂木経済相と米国側担当者のライトハイザーUSTR代表、そして米国側は牛肉の関税引き下げを主テーマに、どう考えても売れそうもない米国製自動車の輸入を要求してくると見られますが、それ以外にも水面下で細かな話は出ているでしょうから、中国の次は日本ということで、今後のテーマとしては重要でしょう。

値幅観測的にはいったんドル高のターゲットにほぼ到達しつつあるという観点から、現在のチャートを見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
現在のドル円は、年初以来安値からのサポートラインとそれに平行に引いたラインによる上昇チャンネル(ピンクの平行線)の中での推移を現在も続けています。すでに、このサポートラインも本日段階で109.85レベル、週末には110.40レベルへと上昇してきますが、少なくともこのサポートラインを日足終値レベルで明確に下抜くまではドル高・円安トレンドは継続中という判断が続きます。

いっぽう上側のレジスタンスは111.90レベルから112.45レベルへと上昇していますが、ここまでの上昇のペースや前述のターゲットを考えると、そこまでのドル高相場は考えにくいところです。輸出を中心とした実需筋のドル売りオーダーも、111.50、112.00と引き続き節目では出て来るものと考えられますので、多少の誤差を考えても111.50を試すあたりが今週は上値の限界点になるのではないかと考えています。

日柄的には25日前後でいったん上昇トレンドが終わる可能性があるため、今週は110.20レベルをサポートに、111.70レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。


ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月21日(月)
07:45 NZ1〜3月期小売売上高
08:01 英国5月ライトムーブ住宅価格
08:50 本邦4月貿易収支
16:00 オーストリア中銀総裁講演
21:30 (フィラデルフィア連銀総裁講演)

5月22日(火)
**:** 香港市場休場
06:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
19:00 英国5月CBI製造業受注指数
**:** 米韓首脳会談
23:00 米国5月リッチモンド連銀製造業指数

5月23日(水)
16:00 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツフランス5月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏フランス5月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 豪中銀総裁講演
17:00 南ア4月CPI
17:30 英国4月CPI・PPI
22:45 米国5月MarkIt製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国4月新築住宅販売件数
23:30 米国週間原油在庫
27:00 FOMC(2日)議事録公表

5月24日(木)
07:45 NZ4月貿易収支
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感
15:00 ドイツ1〜3月期GDP確報値
15:45 フランス5月業況感指数
17:00 NY連銀総裁講演
**:** ユーロ圏財務相会合
17:30 英国4月小売売上高
**:** 南ア中銀政策金利発表
20:30 ECB理事会(4月26日)議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:00 米国3月住宅価格指数
23:00 米国4月中古住宅販売件数
27:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)

5月25日(金)
08:30 本邦5月東京区部CPI
17:00 ドイツ5月ifo景況感指数
17:30 英国1〜3月期GDP改定値
21:30 米国4月耐久財受注
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感指数確報値
24:45 アトランタ連銀、(ダラス連銀)、(シカゴ連銀)総裁講演

5月26日(土)
 **:** S&P南ア格付発表

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値  高値  安値   終値

ドル円  109.32 111.08 109.21 110.76
ユーロ円 130.66 131.38 129.53 130.36
ユーロドル 1.1953 1.1996 1.1750 1.1770
日経平均 22705.30 22954.19 22683.64 22930.36

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

5月14日(月)
 ドル円は終日リスクオンの動きとなり日経平均株価の上昇とともにじりじりと円安の動きとなりました。NY市場では米株が底堅かった動きから日経平均先物が夜間取引で水準を切り上げ、ドル円は109.67レベルへと上昇し高値引けとなりました。

5月15日(火)
 ドル円は前日の流れを受けドル買いが先行、東京後場には110円の大台にワンタッチ。その後も底堅い動きを続け、米金利が一段と上昇する動きの中、雇用統計前の高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら110円台半ばへと上昇し、NY後場には110.45レベルの高値をつける動きとなりました。

5月16日(水)
 ドル円は東京市場では110円台前半での小動きとなりました。前日に110.50レベルでの売りが見られた一方で、直近の110円の大台に乗せたドル買いトレンドが続いていることもあり欧州市場序盤まで20銭程度の値幅に収まりました。欧州市場ではユーロが対ドル、対円で売られる動きからNY市場の朝方には110.04レベルまで水準を下げたものの勢いも無く、NY市場では米金利高と株高が手伝って東京朝方高値圏へと戻しての引けとなりました。

5月17日(木)
ドル円は東京市場では売買が交錯し上下ともに限定的な値動きに留まっていましたが、後場から欧州市場序盤に米金利上昇と直近高値を上抜ける動きが重なって110円台後半へと水準を切り上げました。海外市場では底堅い動きが続きNY市場では110.86レベルまで高値を伸ばし、そのまま高値圏でのクローズとなりました。

5月18日(金)
東京、欧州市場とドルはじり高の展開となりました。米金利上昇と日経平均株価が底堅かったことに加え、週末に開催される米中通商交渉で楽観的な見方も下支え材料となりました。欧州市場でドル円は111.08レベルまで高値を切り上げたものの、その後は米金利低下と日経平均株価が夜間取引で下げたこともあり週末前のポジション調整から110.61レベルへと日中安値をつけ上値の重たい引けとなりました。

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