<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週のザラ場ベースでは一時111円台を達成する局面も観測されていた。なお、ドル/円の週足は、先週までで8週連続の陽線を記録している。
前週末に、北朝鮮外務省が「23-25日に核実験場を廃棄する」と発表したことを受けたドル/円相場だったが、寄り付きは前週末のNYクローズに近い109.30円レベルで、特段の影響は見られず。しかし、「地政学リスクの後退観測」もあり、週初に寄り付いた109.30円レベルを週間の安値に、そののちドルは緩やかな右肩上がりとなった。
途中、今月だけで2度上げ渋った110円前後では揉み合いとなったが、結局突破すると、その後は110円を割り込むことなく、ドルは底堅い値動きに。週末にかけては、さらに上値を広げ、1月23日以来となる111円台を回復。週末のNYクローズは110.75円レベルで取引を終え、越週となっている。
一方、週間を通して注目された材料は、引き続き「北朝鮮情勢」。先で取り上げた北の発表に続き、当初は朝鮮日報「米、北の非核化見返りで包括的補償を提示か」、FOXテレビ「ポンペオ米国務長官が非核化なら北に民間企業がインフラ整備と発言」−−といった融和を期待させる内容が目に付いたが、週の半ばには一転して朝鮮中央通信が「北が米朝会談の取りやめを示唆、南北閣僚級会談は中止に」と報道、さらに北朝鮮外務省高官の発言として「北は、米国が核放棄を強いるだけなら首脳会談を再考する」と伝えられ、一気に暗雲が立ち込める結果となった。
そのほか、「米大使館がエルサレムへ移転」することにともなう大規模な軍事衝突がガザで勃発したこと、劉中国副首相が訪米し17-19日の日程で実施された「米中貿易協議」関連李ニュースなども折につけ話題となっていたようだ。
<< 今週の見通し >>
2週続けてワンタッチに留まっていた110円レベルを「しっかり」と回復。テクニカルには、そののち110.15-20円に位置した移動平均の200日線や、昨年11月高値114.74円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しに当たる110.90円レベルなども次々と突破しており、基本的なリスクは上方向に考えざるを得ない。ちなみに、次のターゲットは1月18日高値の111.48円で、抜ければ週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置する111.95-00円などが視界内に捉えられそうだ。
しかし、3月26日安値104.58円を起点に、価格的には6.5円、ドルの上昇期間も2ヵ月近くに及ぶ。さすがに、行き過ぎ・やり過ぎの域に入っているとの見方が有力視されつつあるようだ。また材料的にも、楽観的な融和観測一辺倒だった北朝鮮情勢に不穏な空気が流れ始めているほか、先週末まで実施されていた米中貿易協議は一応の妥結をみせたが具体策はまとまらず、中国メディアが「一度や二度の協議ですべての問題を解決することは不可能だ」との見方を報じるような状況で予断は許さない。取り敢えずは調整だが、ドルの本格的な下押しにもそろそろ注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、先でも指摘したように基本的なリスクは上方向で、週内に112円に接近あるいは突破する可能性も否定出来ない。
ただ、先週の「日報」で一度レポートしたように、ドル/円の週足は結局「8週連続の陽線」となっており、これはチャート分析方法のひとつである「酒田五法」でいうところの「買い玉は半数退陣」を意味するシグナルだ。つまり、ドルの天井がかなり近いことを示唆していることになる。ドルの高値掴みにも一応要注意。
一方、材料的に見た場合、4月の新築住宅販売件数や5月のミシガン大学消費者信頼感指数といった米経済指標が発表されるほか、FOMCによる議事録要旨公開、米財務省による2、7年など短期債の入札も実施される見込みだ。また別途、米地区連銀総裁やFRB理事らによる講演も相次ぐ。それら様々な要因には是非とも注意しておきたい。
そのほか、北朝鮮情勢に関して、22日に実施される「米韓首脳会談」や、北朝鮮が22-25日のあいだに「豊渓里の核実験場は廃棄する」としていることで、関連する動きなども要注意だろう。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.40-111.90円。ドル高・円安については、先週記録したドルの戻り高値111.08円が最初の抵抗。抜ければ1月18日高値の111.48円、週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置する111.95-00円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の200日線や52週線が位置する110.15-35円はなかなか強いサポートとなりそう。また割り込んでも110円前後にサポートが位置しているなど底堅いイメージもなくはない。(了)
オーダー/ポジション状況
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