レバ規制による東京市場の損失
5月9日のFX羅針盤で「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会に係る意見募集について」の案内をさせていただきました。本日17時が意見の締め切り時刻となっていますので、関心のある方は下記金融庁のページを参考に意見を送ることをお勧めします。
おそらく、多くの意見がレバレッジを下げないで欲しいという点と、店頭FXと取引所FXを分けることに対する疑問に集中すると思いましたので、私は東京市場に与える損失という観点から東京外国為替市場の地盤沈下に対する懸念を意見させていただきました。以下、私の送ったメールを紹介します。
フォーマットに沿って、最初にアセンダントの会社情報と私個人の外国為替市場との関わりを略歴として紹介しました。そして、メール本文は以下のようにしました。
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昨年11月に同問題におけるレバレッジ規制についてどう考えるかのパネルディスカッションを開催しました。私がモデレーターとなり、パネリストは元インターバンクディーラー、元商社財務担当者、ジャーナリスト、個人投資家の4名です。そこでも変動相場制移行後最大の変動幅となったスイスフランショックでも国内FX業者への影響は軽微であり、過剰な規制はデメリットでしかないとの意見でした。
また100名を超える一般参加者に、10倍を超えるレバレッジで取引しているか質問したところ79%の投資家が10倍超で取引していると回答し、仮にレバレッジが10倍に下がったらどうするかという質問ではそれでも続けるとの回答はわずか27%に留まりました。多くの投資家は海外業者での取引に移行することを考えているとのことでした。
また、いくつかのFX業者にヒヤリングをしたところ、10倍にレバレッジが下がった場合、業者によって幅はあるものの25〜40%程度の取引量減少が予想されるとの回答を得ました。このことから規制によるメリットよりも収益低下によるデメリットのほうがはるかに大きいであろうことが想像できます。
さらに第3回の検討会で三菱UFJ銀行が提出した資料では、東京外国為替市場における店頭FX取引のカバー取引は全体のおよそ20〜30%と「東京市場における主要な流動性供給源となっている」という点は無視できません。仮にFX業者の数字を控えめに30%程度の減少とすると、取引に占める割合は14〜21%程度に落ち込み、最終的にはカバー先金融機関の収益低下にもつながることは容易に想像できます。
つまり、「店頭FX業者の決済リスク対応」を安易にレバレッジ規制と直結させることは、最終的に東京外国為替市場の地盤低下につながるリスクがはるかに大きいと考えております。参考にしていただければ幸いです。
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以上です。
個人投資家の皆さんも無関心ではいられない大問題です。もしFXで規制が実施されたら、次は暗号通貨(仮想通貨)となることは間違いありません。また、海外での口座開設は現在でも米国や英国などの主要国では日本在住者の開設は断られます。これは、主要国当局の連携ですが、今後こうした連携が広がらないとも限りません。まずは、現行のレバレッジ25倍を下げさせないことが最も重要であると考えます。
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