ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は戻り売りが出やすい地合いを考え「8.55レベルをサポートに、8.80レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.62レベル、高値が8.97レベルと、予想よりも大きくランド高の動きとなりました。
先週の南アランドは上記の通り大幅高となり4月20日以来のランド高となりました。何か南アフリカにとって良い材料が出ているはずと調べてみたもののこれといったニュースも見当たらずやや不思議な感じですが、あえて言うならばテクニカルな要因と言ってよさそうです。先週はドルランドが12.7214までドル高となりましたが、先々週高値の12.7330までは届かず、チャートのパターンとして高値圏での反転パターンと見られるチャートとなりました。
さらにランド円のチャートを見ても同様に2週間の間で底打ちのパターンを形成し、ネックラインにあたる8.75を超えてきたことで、ここしばらく続いていたランド売りの動きに短期的には終止符が打たれたという見方が広がったことによるものと言えそうです。先週の南アランドに影響しそうな材料を探してみたのですが、見当たらず上記の結論に至りました。
さて、今週ですが南アフリカ関連では15日の失業率と16日の小売売上高ですが、失業率は相変わらずの高水準で前回発表された数字は26.7%でした。予想は特に出ていませんので、良くも悪くも前回からよほど離れた数字でなければ影響は出にくいと言えます。あとは、やはり気になるのは米金利でしょうか。
最近の新興国通貨は米金利上昇で、全般的に米ドルへの資金還流(ドル買い・新興国通貨売り)が目立つ傾向がありますが、特にアルゼンチンではペソ急落によってIMFへ支援を要請する事態にまで発展しました。さすがに同じ新興国でも政策金利が40%のアルゼンチンと南アフリカを同レベルと見る必要は無いものの、海外からのファイナンスが大きい南アフリカにとっても6月以降の米国の利上げは国内外の投資家が気にしていることは間違いありません。
一部では米金利上昇がアジア通貨危機の際のような新興国通貨安を招くリスクなど、どちらかというと不安を煽る記事が多いのですが、個人的にはそこまでの状況にはまだまだ遠いと考えています。一言で言ってしまえば当時とは環境が違うということになりますが、アジア諸国の状況は悪くありませんし、アルゼンチンのような例外はあっても年内の米国の利上げ(FOMCの見通しではあと+0.5%)は、織り込んだ上での値動きと考えて良いと思います。また、南アフリカの場合、現実に目が戻り始めている面はあるものの、国債はかろうじてジャンクは免れていますし、ラマポーザ大統領の手腕を見たいと考える市場参加者が多いことも事実です。
今週もランドに関してはもみあい、もしくは底堅い展開となりやすいと言えそうです。今週はまず日足チャートをご覧ください。
ランド円日足
2月に高値をつけた後に5月初めまで下げ続けましたが、この安値は昨年11月安値と今年2月高値のほぼ半値の水準で止められその後反転上昇となっています。また2月高値と4月高値を結んだレジスタンスラインも先週の上げで上抜けてきました。こうしたことから、現在は今月の安値でいったん安値を見て、2月高値と5月安値の61.8%戻しにあたる9.01、ほぼ9円の大台を視野に入れる動きにあり、さらには78.6%戻しにあたる9.13も考えられる段階にあると見られます。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円四時間足
ここでは上記9.01をピンクの水平線で示していますが、ちょうど4週前の高値と一致していることがわかります。いったんは同水準を試す展開が考えられそうですから、今週は上抜けたネックライン8.75レベルをサポートに、9.01をトライし9.05レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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