ユーロ 達成感も出てもみあいの週(週報5月第2週)

先週のユーロドルは全般的なドル高の動きもあり1.20の大台を下抜け、金曜には1.1910レベルへと週初から230pipsの下げを見ることとなりました。

ユーロ 達成感も出てもみあいの週(週報5月第2週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは全般的なドル高の動きもあり1.20の大台を下抜け、金曜には1.1910レベルへと週初から230pipsの下げを見ることとなりました。東京ではゴールデンウィーク、欧州ではメーデーもあり材料的にはドル関連が目立ち、ドル買いの動きがユーロドルの1.20割れ、ドル円の110円台乗せに繋がった週となりました。

ドル円は108円をネックラインとする反転上昇パターン、ユーロドルは前週に2月中旬以降のトライアングルを下抜け、さらに1月中旬以降の反転下降パターンのネックラインを下抜けたことで、ドル買いの動きを決定づけた動きとなりました。ユーロドルはテクニカルには2重に売りのパターンとなったこともあり、結果としてユーロ円は4月高値の133円台半ばから先週の129.90へと大きく水準を下げる結果となりました。通貨の強弱としてはドルが最強、ユーロが最弱となってきましたが、今週はこの関係に変化が見られるでしょうか。

今週も材料としてはあまり目立ったものが無く、欧州関係では10日の英中銀MPCを除くとほとんど材料がありません。前週と同様にドルの材料を中心として、水準はテクニカルで考えていく流れとなりそうです。そうなるとドルの材料と言うことになりますが、最も気になるのは米国長期金利の動きです。4月以降金利上昇はドル高と昨年の正相関に戻っていましたが、先週は米国財務省の米国債増発の発言や、米国債先物のポジションが史上最高水準で売り持ちとなっていることなど、きっかけ次第では更なる売り増しか、あるいはポジション調整かというのが米国の債券市場では注目材料となっていることはドル円の週報に書いた通りです。

そこに英中銀MPCに対する思惑が加わってくるという感じで今週は考えていくとよさそうです。英中銀は一時は今週のMPCでの利上げが確実視されていましたが、その後英中銀関係者のハト派発言が目立ち、現状では利上げはおろかタカ派な発言も出ないのではと逆にハト派に振れすぎている感もあります。利上げが無くてもタカ派的発言が含まれるとポンド買いがユーロ買いにも波及する可能性もあるのではないかと考えられます。

チャートも見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

テクニカルにもユーロドルは4月高値1.2414から先週の安値1.1910まで500pips以上の下げに達しています。また11月安値1.1154から4月高値への上げに対するフィボナッチリトレースメントでも61.8%押しにあたる1.1937(赤のターゲット)は既に達成し、いったん下げ止まりやすい水準に来たと考えられます。ドル円も同じタイミングで110円の大台で達成感が出てきましたので、ユーロドルも短期的には底入れしやすいと言えそうです。

今週は米長期金利と米国株市場を見つつも基本的にはもみあいを考え、1.1900レベルをサポートに、1.2050レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週は英中銀MPCもありますので、ポンドドルのチャートを見てみましょう。

ポンドはドル円やユーロ以上の大きな下げを演じていて、4月高値1.4377から先週安値1.3487まで既に890pipsもの大幅安となっています。全般的なドル高相場に加え、それまで高まっていた今週の利上げ思惑が一気に?落したことによる投げと言えますが、テクニカルにも非常に危険な地合いとなっていました。

ポンドはブレグジットの懸念にも関わらず2017年は一年を通して上げ続け、1月安値の1.1987から先月の高値まで2400pips近い上げです。しかも今年に入ってからの上げは前述の通り利上げ思惑も重なって上昇角度を鋭角にしていましたが、その最後の上げの部分を全て失ったのが直近の下げです。

日足チャートをご覧ください。

             ポンドドル日足

             ポンドドル日足

11月以降のサポートライン(太いピンクのライン)を下抜け、1月から4月にかけての反転下降パターンのネックライン(細いピンクのライン)を下抜けとテクニカルに重要なポイントを次々と下抜けてきました。昨年1月安値と4月高値との38.2%押し1.3464(赤のターゲット)にもわずか2週間ほどで到達したことを考えると、今週のMPCを前に急速にポジション調整が進んだことが想像できます。

短期的にはドル円やユーロドル同様にいったん下げ止まりの水準に近づいていると考えることが出来ますが、今後青いライン(昨年9月高値と12月高値を結んだレジスタンスライン、1月安値は同水準で止められている)でようやく下げ止まるといった流れになる可能性もあります。まずは今週のMPCでどのような発言が出て来るのか、特に総裁会見には注目が集まりそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

5月7日(月)
**:** LDN市場休場
15:00 ドイツ3月製造業受注

5月8日(火)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
23:00 フィンランド中銀総裁講演

5月9日(水)
 特になし

5月10日(木)
17:30 英国3月鉱工業生産、貿易収支
20:00 英中銀MPC結果公表、英中銀総裁会見

5月11日(金)
 特になし

前週のユーロレンジ

       始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.2123 1.2140 1.1910 1.1962
ユーロ円  132.25 132.54 129.90 130.48

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

4月30日(月)
 東京、中国が休場となりアジア市場は動意薄、欧州市場に入りユーロが売られる流れとなりました。ドイツの経済指標が弱かったこと、また英国の内相辞任のニュースからポンドが売られたことも上値を抑える結果に。NY市場では1.2064レベルまで水準を下げ、引けにかけては若干戻してのクローズとなりました。

5月1日(火)
 東京時間は欧州主要市場が休場ということもあって取引自体は細っていましたがユーロ安・ドル高の流れが継続しました。NY市場に入り米金利上昇とともにドルが一段高、ユーロドルも1.20の大台をあっさりと割り込み1.1982レベルを示現、そのままユーロ安値圏でのクローズとなりました。

5月2日(水)
 東京、欧州とFOMCの結果発表を控えていることもあり動意薄。前日に1.20の大台割れとなっていたことから達成感もあり、NY市場までは全く動かずの展開が続きました。NY市場ではドル高の動きが続き、1.1938レベルへと下値を拡げて安値圏での引けとなりました。

5月3日(木)
ユーロドルは、1.19台後半での小動きとなり、これまでの前日までのドル買いの調整からドル売りも見られたもののユーロは1.20の大台を回復したところで失速、売りオーダーにも頭を抑えられ、方向感がはっきりしないままに終わりました。ユーロ円はドル円の下げもあり大幅安、130円台前半まで売られた後に131円近くに戻して引けと荒っぽい動きとなっていました。

5月4日(金)
うユーロドルは、ユーロ円の売りも重石となり終日上値が重たい展開が続きました。雇用統計後にはユーロ円は130円の大台を割り込み、ユーロドルも1.1910レベルと週間安値を更新、引けにかけてやや戻したものの上値の重たさが目立つ一週間となりました。

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