<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場は、ドル安・円高。前日NYの流れを継ぎ、ドルは高寄りしたものの続かず、調整売りに押される展開となった。
ドル/円は106.80-85円と、ドルの高値圏で寄り付いた。そののちしばらくは堅調推移となったものの、底堅かった106.70円レベルを割り込むと、日中安値の106.40円前後へと小幅に値を下げている。16時時点では、やや戻した106.65-70円で推移し、欧米時間を迎えていた。
そうしたなか、前日比219円高で寄り付いた日経平均株価は一時マイナス圏へと落ち込んだが、終値ベースでは127円高と再びプラス圏を回復して大引けている。
一方、材料的に注視されていたものは、引き続き「北朝鮮情勢」。トランプ米大統領から「金北朝鮮委員長はわたしに会いたがっている」との発言、朝日新聞による「日朝首脳会談、6月初めにも実施か」との報道が観測されるなか、韓国と北朝鮮が高官級会談を開き、「文大統領と金朝鮮労働党委員長による首脳会談を4月27日に板門店で開催することで合意」との共同文書を発表している。
また、それとは別に、以前から噂の台頭していた「退役軍人長官の更迭」について、トランプ氏が自身のツィッターで明らかにし、またまた物議を醸していた。
<< 欧米市場の見通し >>
大きな流れは依然として円高方向のリスクがくすぶってはいるものの、日柄やテクニカル、需給要因などのほか、明日から主要な欧米市場がロングウイークエンドを迎えるといったカレンター要因も加わり、足もとのドルは戻り歩調だ。さらなるドルの上昇を期待する声も少なくない。
確かに、移動平均で見た場合、再三再四指摘している年明け以降ほぼ上抜けたことのなかった25日線(昨日106.20-25円、本日もほぼ同レベル)を、昨日のNYクローズでしっかりと上抜けており、基調転換も感じさせる。ただし、昨年末ぐらいからの相場はというと、「目先安値から2.0-2.5円上昇しドルは戻り高値を示現、そして再び下値を試す」−−という傾向を繰り返してきた。先の「25日線の上抜け」などは結局ダマシで、今回もそうした過去のパターンをたどる危険性がないとは限らない。情勢をもう少し見極めたいところだ。
テクニカルに見た場合、105.80円レベルに位置した一目均衡表の転換線だけでなく、移動平均の25日線もしっかりと上抜けている。ドルの続伸が期待されるなか、まずはキチンとした底堅めが出来るのかに注目をしたい。つまり、25日線を本日もNYクローズで維持することが出来るのか、再び以下のレベルに押し戻されるのか、そのあたりによって新年度以降の相場見通しが変わってくるかもしれない。
とは言え、現状は25日線を上抜けている状況で、これを素直に解釈すれば目先のリスクは上方向にバイアス。一目均衡表の先行帯の雲の下限や、年初来高値を起点とした下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たる107円後半を目指したドルの続伸も否定出来ない。
一方、材料的に見た場合、2月のPCEデフレーターや3月のシカゴ購買部協会景気指数をはじめ幾つかの米経済指標が発表される予定となっているほか、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁による講演なども実施される見込みだ。それらはもちろん要注意。
なお、明日からの主要欧米市場がロングウイークエンドを迎えることや、多くの日本企業が名実ともに決算期末にあたる、といったカレンダー的な要因を警戒する声も多い。マーケットボラティリティが低下するなか、予想外の乱高下など不安定な地合いをたどる可能性もある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.80-107.20円。ドル高・円安方向は、昨日記録したドルの戻り高値である107円前後が最初の抵抗で、抜ければ一目の雲の下限が位置する107.85-90円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日ようやく上抜けた移動平均の25日線をめぐる攻防を注視。果たして、今度はサポートとなり得るだろうか。再び割り込んできた場合には106円割れ、105.90円レベルが次のサポートか。(了)
オーダー/ポジション状況
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