ドル円見通し 急反騰、26日移動平均超える(3/29)

3月28日夜の米GDP確報値が予想以上の上方修正となったことをきっかけにドル全面高となり、ドル円は106円超えから買い連鎖となって29日未明には107円に到達した。

ドル円見通し 急反騰、26日移動平均超える(3/29)

【概況】

3月28日夜の米GDP確報値が予想以上の上方修正となったことをきっかけにドル全面高となり、ドル円は106円超えから買い連鎖となって29日未明には107円に到達した。
米商務省が発表した2017年10〜12月期の実質GDP確報値は季節調整済み年率換算で前期比2.9%増となり、2月末発表の改定値(2.5%増)から大幅上方修正され、市場予想の2.7%増を超えた。GDPの7割を占める個人消費が4.0%増(改定値3.8%増)へ上方修正されたことが背景。市場は若干の上方修正を見込んではいたが、予想を大きく超えたことでややサプライズ的なドル買いとなった。

米国の関税強化による保護主義、特に中国への大規模関税導入による貿易戦争懸念からドルは全面安で推移してきたが、週末ではドル安への突っ込み警戒感がでていた。ドル円は3月13日高値107.29円から二段下げで23日安値104.63円まで大幅下落していたが、23日午前安値と26日朝安値がほぼ同値となって下げ渋り、日米株反発もあってやや戻しに入っていた。ユーロドルも3月27日からはこの間の大幅上昇に対する高値警戒感とECBの金融緩和引き締めへの慎重論から反落した状況にあった。また30日が欧米の祝日休場となることでの連休前心理も働いて、ドルが揺れ返し上昇に弾みをつけやすい状況にあったのだろうと思われるが、米GDP上方修正がそのきっかけを与えたようだ。
北朝鮮の金委員長が中国を電撃訪問し、中朝首脳会談により北朝鮮が米朝会談実現への積極姿勢を示したことで、朝鮮半島問題の解決への希望的な観測が強まったこともドル円にはプラスに働いたと思われる。

【日足は26日移動平均を超える】

              ドル円日足

              ドル円日足

昨年11月6日高値114.72円からの下落が続いてきた。12月12日の戻り天井から3月26日朝への下落途中では、2月2日に2.19円幅、2月21日に2.35円幅、3月13日に2.04円幅と直前安値から2円を超える反発を入れてきたが、いずれも下降時の重要抵抗線となる26日移動平均を超えられずに一段安を繰り返してきた。しかし28日の反騰では直前安値からの戻り幅は29日午前時点で2.38円幅であり、これまでの小反発と比較しても同レベルのものなのだが、日足終値ベースで26日移動平均を3か月振りに超えてきたため、これまでのように小反発一巡から一段安へ向かうのではなく、いったんはここ数か月の下落に対する中勢レベルのリバウンドに入る可能性が出てきていると考えるべきだろう。

3月29日午前時点ではまだ3月13日高値を超えておらず、また戻り幅も3円を超えていないので、これまでのように戻り一巡からの下げ再開となる可能性も残っているが、3月13日高値107.29円を超え、さらに戻り幅も3円を超える=107.63円超えへ進むようなら、このリバウンドがさらに継続的となる可能性も考えられるということだ。
日足の相対力指数は2月下落時から3月26日への下落時にかけて、指数自身のボトムが切り上がる強気逆行型を示していることも、リバウンド継続となる可能性を示唆していると思う。

ただし、米国の仕掛ける関税・貿易戦争問題は簡単には終息しないと思われる。米中が通商協議を開始したとの報道で株式市場は先週の大暴落に一服をつけて戻しているが、鉄鋼・アルミの関税で適用除外とされた韓国でも数量規制等米国側の要求がかなりゴリ押しされている印象もあり、二国間協議が簡単には決着しないであろうと危惧される。楽観的な妥協へ向かうというような報道姿勢が多くなれば株高再開の可能性も考えられるが、悲観的な決裂や先行きに禍根を残すような緊張感ある妥協の場合は株式市場も再び不安を募らせると思われる。

【想定されるチャートの展開パターン】

日足のチャートパターンとして想定されるケースとしては、最も強いケースでは、3月23日と26日の安値を毛抜き底として二段上昇型の戻りに入り、まず4月6日の米雇用統計前後までリバウンド基調を継続する可能性が考えられる。その場合は108円前後、さらには安値から5円規模の反発として110円手前を目指す可能性も考えられるが、長期的な円高基調が変わらないとすればあくまでも中間反騰に過ぎず、次の下落では戻した幅の倍返しの下落となる可能性が考えられる。また、このケースでは107円台前半で戻りが一服、いったん105円台まで下げてからの上昇再開で戻り高値を更新し、3月26日安値を中心軸とした小規模の逆三尊を形成するパターンも考えられる。
もう一つのケースとしては、3月13日高値を若干上抜いても107円台止まりで、その後の下落では3月26日安値を割り込み、抵抗線フラットで支持線が切り下がる拡張型の三角持合いで安値を更新してゆくパターンが考えられる。再び104円台まで失速する場合はこのケースの可能性が高まると思う。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成のサイクルでは23日安値と26日朝安値をダブル底として戻し、20日夜高値から5日目となる27日高値105.90円でサイクルトップをつけて反落していた。28日夜の上昇で27日夜高値を上抜いたため、ダブル底の23日安値から3日目となる28日朝安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたと思われる。急騰に対する反動安も警戒されるので、106.50円前後までの下げを切り返す内は上昇継続余地ありとし、29日中を高値圏維持で終了なら欧米祝日の30日も堅調とし、週明けへサイクルトップ形成への上昇を継続する可能性がある。ただし、106.50円割れから切り返せずに続落し始める場合は短命の急騰終了による弱気サイクル入りの可能性を警戒する。

60分足の一目均衡表では28日夜の急騰で遅行スパン好転、先行スパン突破状況となっている。高値更新できずに横ばいか下落の場合は29日未明へ遅行スパンが悪化する可能性があるが、高値更新なら遅行スパン悪化は先送りされると思われるので、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは先行スパン試しへの下落を想定する。

60分足の相対力指数は28日夜の上昇で29日未明には80ポイントを超えているため、目先は買われ過ぎ警戒と思われるが、まだ弱気逆行(相場が高値を更新しても指数のピークが切り下がる弱気サイン)は見られていない。ただし弱気逆行が無くても80ポイントを超えたので、60ポイント以下へ急落する場合は下げ再開が懸念される。相場がさらに高値更新する場合に弱気逆行が見られれば弱気転換警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.50円を支持線、29日未明高値107.00円から3月13日高値107.28円を抵抗線とみておく。
(2)106.50円を下回る内は高値更新余地ありとし、3月13日高値試しを想定する。13日高値を超える場合は107.50円前後試しとするが、107.50円以上はいったん反落しやすいとみる。
3月13日高値を上抜けずに106.50円割れする場合は下げ再開注意とするが、高値更新の後に106.50円台まで下げるところは押し目買いから上昇再開する可能性ありとみる。
(3)106.50円割れから続落の場合、及び高値更新後に直前高値から0.60円以上さげる場合は下値再開の可能性を優先して106円前後試しへの下落を想定する。急騰後の反動安もまた大きくなって乱調型となる可能性に注意する。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

3/29(木)
米債券市場 短縮取引(グッドフライデー前日)

16:00 (土) 10-12月期 四半期GDP 前年比 (前期 11.1%)
16:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.4%、予想 5.3%)
17:30 (英) 10-12月期 四半期GDP、確定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
17:30 (英) 10-12月期 四半期GDP、確定値 前年比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
21:00 (独) 3月 消費者物価指数 速報値 前月比 (2月 0.5%、予想 0.5%)
21:30 (米) 2月 個人消費 前月比 (1月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前月比 (1月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.9万件、予想 23.0万件)
22:45 (米) 3月 シカゴPMI (2月 61.9、予想 62.0)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 102.0、予想 102.0)
26:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

3/30(金)
グッドフライデー 豪、NZ、シンガポール、香港、英、仏、独、瑞、、南ア、カナダ休場
グッドフライデー 米 株式・債券市場 休場

08:30 (日) 2月 失業率 (1月 2.4%、予想 2.6%)
08:30 (日) 2月 有効求人倍率 (1月 1.59、予想 1.60)
08:30 (日) 3月 東京都区部消費者物価コア指数 前年比 (2月 0.9%、予想 0.9%)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報 前月比 (1月 -6.8%、予想 5.0%)
19:00 (日) 外国為替平衡操作の実施状況

3/31(土)
10:00 (中) 中国3月製造業PMI (2月 50.7、予想 50.3)
10:00 (中) 中国3月非製造業PMI (2月 54.4)

4/1(日)
米韓合同軍事演習開始

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