ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「じり高の展開を考え、9.15レベルをサポートに、9.35レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.77レベル、高値が9.29レベルと、週初に高値を更新して以降はずるずると値を下げ、12月19日以来の8.80割れを見ることとなりました。
先週のランドの材料ですが、週初は内閣改造による高値更新で始まりました。新内閣ではネネ元財務大臣が財務大臣に、またゴーダン前税務大臣は公共企業大臣として復帰しています。ズマ大統領に更迭された閣僚が戻る一方でズマ派と見られる閣僚は一掃され、国内外から新内閣のメンバーは高い評価を受けることとなりました。
ランドはこの結果を見て9.29と高値を更新したものの、これまでのランド買い材料出尽くし感からいったん利食いが出ていたところに、南アフリカの土地収用問題が改めてテーマに上ってきたことがランドの大幅な下げにつながっています。
この土地収用問題は、ラマポーザ大統領がANC議長に当選した直後の昨年12月22日、議会において国民の大多数を占める黒人貧困層の解決策として、白人が所有する土地を補償金無しで収用する方針を示した演説に遡ります。そして、大統領となった2月15日には同方針について南アフリカ経済を傷めないように進めるとの発言をしました。これジンバブエでの土地収用法が同国経済をガタガタにした経緯からによるものです。
しかし話は進み、2月27日には土地収用を可能とする憲法改正について議会で賛成多数で通りました。そしてそれを受け、今年の8月30日までに法改正委員会で策定された同国憲法第25条の改正案を議論することとなっています。このままで行けば、保障無しの土地収用が年後半以降に実施される可能性が高まります。現段階では土地収用を可能とする憲法改正の段階ですから、実際に経済を傷めないような法律に落とし込んでいくためにはまだ時間は必要でしょう。
ここはビジネスマンとしても名高いラマポーザ大統領の手腕に期待ということになるのでしょうが、同国経済の停滞に繋がる憲法改正には反対する向きも多く、今後の進展に注視ということとなります。27日以降のランドの対円、対ドルでの下げの主要因はこの動きということになります。
さらに下げを強めたのがトランプ大統領による追加関税の話です。追加関税自体は中国を対象としたものですが、南アフリカも影響を受けるとの思惑もランド売りに繋がったようです。先週の下げはランドにとっての好材料が一巡したところで利食いが出たところに土地収用のための憲法改正という話が効いたことになります。
次にチャートも見て行きましょう。いつもの4時間足ではターゲットを定めにくいため日足をご覧ください。
ランド円日足
先週初までは12月下旬からのもみあい(ラインマーカー)を上抜ける動きとなるコンティニュエイション・パターン(12月の上げを継続)を想定していましたが、先週の下げがきつく、年初来安値を更新してきたことで逆に高値圏で形成されるリバーサル(反転)・パターンとなってしまったと言えます。
3月の格付け発表までランド高が続くと考える参加者が多かったところに思わぬカウンターが入ったと言えます。こうなると、まずは11月安値と先週高値との38.2%押しとなる8.71をターゲットとしつつ、今後のポジション調整や南アにとって悪材料となるようなニュースが出て来る場合には半値押しの8.53レベルを視野に入れる展開も想定しなくてはなりません。
今週のところは1月安値(先週までの年初来安値8.88)に近い8.90レベルをレジスタンスに、上記ターゲットと重なる8.70レベルをサポートとする流れを見ておきます。
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.04.26
ドル円、約34年ぶり高値を一段と更新。本日は日銀会合と植田総裁会見がメインイベント(4/26朝)
25日(木)のドル円相場は堅調な値動き。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.04.25
東京市場のドルは155円75銭まで円安加速、投機筋は「日本当局は介入できず」を見透かした格好か(24/4/25)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、目立った材料は観測されないなか、円安が加速し155円75銭までドルは上昇した。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2018.03.12
ランド円ショートコメント(18/3/12)
前週は白人が所有する土地を補償金無しで収用する方針に対応する憲法改正が議会で賛成多数で通ったこと、また米国の追加関税問題で南アフリカも影響を受けるとの思惑から
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2018.02.26
ランド円ショートコメント(18/2/26)
先週は、前週のズマ大統領辞任に続いて南アフリカ予算案の発表が行われました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。