ユーロ円にリードされ上値が重たい展開(2月第二週)

先週のユーロドルは、珍しく欧州の材料ではなく株式市場のリスクオフとその巻き返しの動きに左右される一週間となりました。

ユーロ円にリードされ上値が重たい展開(2月第二週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、珍しく欧州の材料ではなく株式市場のリスクオフとその巻き返しの動きに左右される一週間となりました。ドル全体としての動きはドル円を見ればドル安なのですが、ユーロドルを見る限りユーロ高(ドル安)には動いていませんし、週初と週末を比べると明確にユーロ安の流れを継続した週となりました。

先週は欧州の材料としてはドイツにおけるCDUとSPDの大連立が合意に至り、SPDの党員の賛成が得られれば3月にもようやく政権がスタートすることとなります。これまでの政治空白期間や世論のことを考えれば順当に進むでしょうし、材料的にはユーロ買いとなります。

また先週は英中銀のMPCにおいて思いのほかタカ派寄りのコメントが出たことで、一時的にポンド買いの動きも見られましたが、すぐに売りに転じたことやユーロの場合はユーロポンドでのユーロ売りが出たことから、これはユーロ売りの材料とされましたが、ECBもタカ派的なコメントになってきていることを考えれば、これも材料的にはユーロ買いとなってもおかしくありません。

しかし、先週はどの材料よりもユーロ円の動きがユーロドルを支配することとなった珍しいパターンでした。これは米国の主要株価指数が大幅安となったことからリスクオフの動きとなり、リスクオフの円買いがドル円だけでなく、ユーロ円でも大きく出たためです。特にユーロ円は、シカゴの通貨先物市場のポジションを見ても分かる通り、大幅な買い越しとなっていて、株価指数の下げによる証拠金の減少が、ユーロ円ポジションの縮小にもつながったであろうことは容易に想像できます。

株価が上がっている間は、含み益もありリスクオンの回転でいけたものが、株価の下げで含み益が減り(あるいは無くなり)逆回転(=リスクオフ)とならざるを得なくなるからです。株価の混乱が収束したとは言えませんし、ユーロと円のポジションも微減にとどまっていることを考えると、株価をにらんだユーロ円でのリスクオフとその巻き返しの動きが今週も継続すると考えられます。

参考までに先週1週間のユーロドル(上段)とユーロ円(下段)の1時間足チャートを並べて見ると、ユーロ円がユーロドルの動きを完全に握っていた週であったことがよくわかります。

          ユーロドル、ユーロ円一時間足

          ユーロドル、ユーロ円一時間足

そうなると、今週も株価の動きに懸念が残りその懸念がユーロ円の上値を抑えると考えると、短期的にユーロドルの上値は重たいと見るべきでしょう。上値を抑えられやすいというバイアスをかけて日足チャートを見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

ユーロドルとしては、現在は1月9日につけた年初来安値1.1916から1月25日につけた年初来高値1.2538までの上げに対する調整の下げの局面にあると考えられます。先週はこの上げに対する半値押しの1.2227をローソク足の下ヒゲ、つまりザラバベースでトライした程度でしたが、61.8%押しの1.2153は今週は直近のサポートライン(12月中旬の安値と年初来安値を結んだライン=細いピンク)よりも下に位置します。

サポートを抜ける動きが出て来ると、上記1.21台半ばをターゲットにじり安となりやすいと言えるでしょう。いっぽう上値は1.23台半ばでは売りオーダーが見えてきているようですから、1.23を上回ると徐々に頭が重たくなる展開が予想されます。今週は引き続き上値の重たくなりやすい週を考えて、1.2150レベルをサポートに、1.2350レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。

今週のコラム

今週もユーロ円のチャートを見てみましょう。先週はユーロ円がユーロドルを支配する週でしたが、株式市場の下げから来るリスクオフの動きでユーロ円単体で見ても大幅安の一週間となりました。

ユーロ円は年初来安値を131.99と更新しましたが、株式市場のことを言ってもしつこいので、ここでは純粋にテクニカルな観点で見てみましょう。

先週と同じ日足チャートをそのままご覧ください。

              ユーロ円日足

              ユーロ円日足

大きな上昇平行チャンネルを下抜けたことがわかりますし、先週指摘した月足チャートにおける「利食いも出やすい流れにある」、「(前週)金曜の高値で目先の高値をつけた」ということが、リスクオフをきっかけに実現したこととなります。今週以降もユーロ円は下値を模索しやすい状態が続くこととなります。

先週安値は上昇チャンネル起点と年初来高値との半値押し132.53は抜けたものの61.8%押しの131.36まではトライしきれませんでした。この61.8%押しの水準は昨年9月末から11月下旬にかけての安値圏と重なっていますので、ユーロ円として考えた場合には、同水準ではいったん下げ止まりやすいとも言えます。今週以降のユーロ円は株式市場も見ながらもう少し下値を模索しやすいと考えています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月12日(月)
**:** 米国予算教書公表

2月13日(火)
18:30 英国1月CPI、PPI

2月14日(水)
16:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値
16:00 ドイツ1月CPI確報値
17:00 ワイトマンドイツ連銀総裁講演
18:00 イタリア10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏12月鉱工業生産
19:20 メルシュECB理事講演

2月15日(木)
**:** 中国市場休場(〜21日)
17:15 メルシュECB理事講演
19:00 ユーロ圏12月貿易収支
19:45 プラートECB理事討論会参加

2月16日(金)
17:20 クーレECB理事講演
18:30 英国1月小売売上高

前週のユーロレンジ

        始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.2446 1.2475 1.2205 1.2252
ユーロ円  136.95 137.11 131.99 133.31

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

2月5日(月)
 ダウ先物の動きから日経平均株価も大幅安となり、リスクオフからユーロ円での円買いがユーロドルの動きに影響を与えました。ポジション面でも買いが膨らんでいるユーロドルやユーロ円の通貨先物市場等でポジション縮小の動きが出る可能性から、株が下げ止まるかどうか、そしてユーロ円でのリスクオフがどうなるかが気になる週明けとなりました。

2月6日(火)
 東京市場ではドル円とユーロ円のリスクオフの動きとその後の反発から、下げた後に上昇、その後海外市場では株高、ドル高の動きからユーロドルは下げる場面も見られましたが、NY市場ではリスクオフの巻き返しからユーロ円の買いが目立ち、ユーロドルは東京朝方の水準に戻しての引けとなりました。

2月7日(水)
 東京市場では目立った動きは無かったもののユーロ円の売りが上値を抑え、欧州市場では欧州通貨全般の売りに押されじり安の展開。ドイツではCDUとSPDによる大連立の協議が合意に至ったとのニュースにも反応は見られず、ユーロドルユーロ円とも終日じり安のままで引けました。

2月8日(木)
英中銀MPCを前にポンドが上下する動きにつられて、ユーロドルもイベント前のポジション調整が入っている様子でした。その後、MPCの内容がタカ派的であったことからポンドが大幅高となり、最初はユーロも連れ高となったものの、ユーロポンドでもポンド買いが強まったことからユーロは上値が重たいままでもみあいのまま引けました。

2月9日(金)
NY市場後場までは1.22台後半で方向感の無い細かな上下を続けました。NY後場にはドル円の下げ局面ではユーロ円の売りがユーロドルも下押しし1.2205レベルの安値をつけましたが、引けにかけてはユーロ円とともに1.22台半ばに戻す動きで引けました。

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