今週の週間見通し
先週のドル円は、大荒れの株式市場に翻弄される一週間となりました。週明けからNYダウが史上最大の下げを演じたことで110円の大台を割れて以降は、大台を回復する気配すら見せていません。株式市場もほぼ24時間取引されている株価指数先物におけるNYダウと日経平均を見ながらの取引が続きましたが、為替市場はその先物市場における日経平均先物にほぼ沿った一週間でした。
日経平均先物は週初に下げ、週半ばにはいったん回復したものの週末のNY後場に火曜安値を下回る展開となったことでドル円が安値108.05レベル、ユーロ円も131.99レベルと年初来安値を付ける動きとなっています。今週は月曜が東京市場休場、そして木曜からは中国市場が旧正月で休場となり、アジア時間は動きが鈍くなりそうですが、米国の主要株価指数は上下ともに動きが軽くなっていますし、米国予算教書等の材料はあるものの、今週も株式市場を見ながらの一週間となりそうです。
さて、株式市場では米国株の低ボラティリティ派生商品の金額が膨らみ、その影響が株価指数先物や指数先物オプションの市場に混乱と今後の懸念を拡大させていますが、いつの時代もデリバティブとその派生商品の市場規模が大きくなり過ぎて、その後の崩壊を招くというのは何度も見てきたことです。今回もこの動きが始まったばかりなのか、あるいはいったん収束して徐々に縮小していくのかわからないものの、いずれにしても上がりすぎたとも言える米国の株式市場の動きが最大のリスク要因となってしまいました。
本日(12日)の現物の日経平均株価は休場のため止まっているものの、ダウ先物の動きに日経平均先物が影響され、その日経平均先物の動きにドル円が左右される動きは今週も続くと考えられます。以下に、過去10日間の3つのチャートを並べてみましたが、以下に相関が高いかが見て取れるかと思います。
ダウ先物、日経平均先物、ドル円の1時間足
上からダウ先物、日経平均先物、ドル円の1時間足です。株価指数先物が23時間取引で為替が24時間取引のため、ピッタリは縦軸が揃いませんが、ダウ先の動きが日経平均先物に波及し、それがドル円の動きに影響を与えていることがわかりますね。
さて、そうなると日経平均の動き、そして動きの元となっているダウ先物の動きを見通さないと為替の見通しは立てにくいのですが、デリバティブやその派生商品のアンワインド(ポジションの巻き戻し)の懸念が残る限りは株価の上昇は限定的と考えざるを得ませんし、そうなるとドル円もまた上値は重たい週と考えざるを得ません。
実需筋も109円台後半から110円にかけてドル売りオーダーを置いていることや、年初来安値を更新する動きからも円高トライのリスクは残っていると言えます。ここで日足チャートもご覧ください。
ドル円の戻りが鈍くなりがちなことと実需の売りを考えると、先週の戻り高値圏を形成した109.70〜80レベルは売りがかぶさってくる水準ですが、既に109円台半ばでは戻り売りを考える参加者が着実に増えてきています。いっぽう下値は昨年の安値107.33を視野に入れていますので、少し走る動きがあれば107.33を試すことは間違いありません。
仮に終値ベースで同水準を下回ると思いのほか早い段階で105円、さらには100円の大台をも視野に入れる展開となってきますが、今週のところはそうした動きにまでは繋がらないと見ています。今週も円高の動きに警戒し109.40レベルをレジスタンスに、107.40レベルをサポートとする一週間を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
2月12日(月)
**:** 東京市場休場
**:** 米国予算教書公表
2月13日(火)
09:30 豪州1月NAB企業景況感
18:30 英国1月CPI、PPI
22:00 クリーブランド連銀総裁講演
2月14日(水)
08:50 本邦10〜12月期GDP速報値
16:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値
16:00 ドイツ1月CPI確報値
17:00 ワイトマンドイツ連銀総裁講演
18:00 イタリア10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏12月鉱工業生産
19:20 メルシュECB理事講演
20:00 南ア12月小売売上高
22:30 米国1月CPI、小売売上高
24:00 米国12月企業在庫
24:30 米国週間原油在庫
2月15日(木)
**:** 中国市場休場(〜21日)
09:30 豪州1月失業率
16:00 トルコ11月失業率
17:15 メルシュECB理事講演
19:00 ユーロ圏12月貿易収支
19:45 プラートECB理事討論会参加
22:30 米国1月PPI
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国2月NY連銀製造業景況指数
23:15 米国1月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国2月NAHB住宅市場指数
30:30 NZ1月企業景況感
2月16日(金)
**:** 香港市場休場(〜19日)
17:20 クーレECB理事講演
18:30 英国1月小売売上高
22:30 米国1月住宅着工件数
22:30 米国1月建設許可件数
22:30 米国1月輸入物価指数
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 110.03 110.27 108.05 108.80
ユーロ円 136.95 137.11 131.99 133.31
ユーロドル 1.2446 1.2475 1.2205 1.2252
日経平均 22921.16 22967.69 21078.71 21382.62
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
2月5日(月)
ドル円を含め為替市場は比較的安定した動きとなっていましたが、NY引け後も夜間取引で続落しているNYダウ先物の動きから日経平均株価も大幅安となり、ドル円、クロス円は上値の重たい展開が続きました。NY市場に入り主要株価指数が下げ幅を縮小する中でリスクオフの動きが緩む局面も見られましたが、ダウはその後1500ドルを超える史上最大の下げを演じ、リスクオフからドル円、ユーロ円は円買いの動きとなりました。
2月6日(火)
株価に翻弄される一日となりました。朝方は続落するダウ先物と日経平均株価を見ながらリスクオフ一色となり昼過ぎにはドル円は108.46レベル、ユーロ円も133.98レベルの安値をつけました。しかし後場に入り株式市場は下げ止まり、そこからは押しを挟みながらも急反発、NYダウは前日比567ドル高となり、ドル円も109.65レベルと前日に下げ始める前の水準へと戻し、引けにかけては若干押してのクローズとなりました。
2月7日(水)
ドル円は朝方こそ高く始まったものの、日経平均株価がじりじりと水準を下げる動きに添って東京市場ではリスクオフの円買いが目立ちました。ドル円は欧州市場序盤に108.91レベルまで水準を下げたところから、欧州通貨売りの動きや日経平均先物が夜間取引で反発に転じたことからドル買いの動きとなり、NYの引け間際には1日の高値109.70レベルまで値を戻し、やや押しての引けとなりました。
2月8日(木)
ドル円は株式市場を横目でにらみながらの展開となり、昼過ぎにじり高となっていた日経平均株価につられて円安方向に動くも109.78レベルで頭打ち。ここのところ109円台後半から110円にかけては実需の売りオーダーが並んでいることから上値を抑えられ、もみあいのままNY市場に入りました。NY市場では再びダウが大きく下げる展開となったことからドル円も108.58レベルまで下押し後にやや戻しての引けとなりました。
2月9日(金)
株価を見ながらの流れが続きました。東京市場では底堅い株価の動きに添ってドル円も上昇、欧州市場序盤には109.30レベルの高値をつけましたが東京勢は3連休を前にあまり積極的な動きは見られませんでした。海外市場に移ってからは株価先物が夜間取引で下げる動きとなり、NY市場後場には先物ベースで週間安値を更新する動きとともにドル円も下落、108.05レベルと年初来安値を更新後に引け間際のNYダウ上昇の動きに引っ張られて108円台後半へ戻して引けました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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