トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「押し目買いの週を考え、29.20レベルをサポートに、大台30.00レベルをレジスタンスとする週」としました。実際のレンジは、安値が28.79レベル、高値が29.67レベルと上値が抑えられ、週末にかけて大きく売られる展開となりました。
先週のトルコ関連のニュースでは11日に7〜9月期GDP(前年比予想8.5%、前回5.1%)が発表されましたが、結果は11.1%と予想を大幅に上回る強い結果となりました。事前にトルコ政府の閣僚からもOECDで一番と自信たっぷりのコメントが出ていましたが、2桁というのは相当な成長です。トルコ関係のニュースでは明るいものが少ないだけに週初にもう少しトルコリラが買われるかと思いきや、ほんのわずか高値を伸ばしたのみで終わりました。
そして次の注目材料となったのが、14日のトルコ中銀による政策金利発表です。現在は3つの政策金利ではなく後期流動性貸出金利が実質的な政策金利となっています。エコノミストの予想では後期流動性貸出金利の0.5〜1.0%の利上げがコンセンサスとなっていましたが、直前の11月CPIが前年比12.98%と強かったこと、またトルコ中銀は引き締めに対して積極的ということもあり、直前には1.0%の利上げ期待が強まっていました。
しかし、蓋を開けてみると0.5%の上げで12.75%とし、コンセンサスの下限であったことによる失望売りが出て対円では29.40レベルから週間安値の28.79レベルへと、対ドルでも同様にトルコリラ安の動きとなり、3.82レベルから3.89レベルへとリラが大幅安の動きを見せました。
一部ではエルドアン大統領の日頃からの高金利反対の姿勢に屈したと見る向きもいますが、当初から日が近づくにつれコンセンサスの上限へと期待が高まっていたことを考えると、多分にポジショントーク的な期待であって、トルコ中銀が大統領に配慮したというわけでは無いと考えられます。また、よく考えるならば次回以降の利上げのカードを残したとも言え、その点ではあくまでもコンセンサスの範囲内というとらえ方でよいと思います。
他の材料としては、良くも悪くも行動力のあるエルドアン大統領関連でしょうか。エルサレム問題について国連の安全保障理事会、そこで拒否権が行使されれば総会でテーマとして上げると発言し、その後トルコ大使を東エルサレムに開設する意向を示しました。現在のトルコは他国同様テルアビブに大使館を置く一方で、東エルサレムにも総領事館があります。この総領事館を大使館に格上げする意向のようですが、いっぽうでエルドアン大統領自身が東エルサレムはイスラエルの占領下にあり、現在は開設できないとも述べています。これも多くの面でぶつかっている米国に対する対抗と見てよいでしょう。
さて今週ですが、米国との間では依然としてザラブ氏の裁判が続いていますので、何か新たなことが出て来るかどうか、当然エルドアン大統領自身は関与を否定していますが、なかなか好材料への反応が乏しい中でトルコリラ売りの材料として常につきまといます。他にもいくつか予定はあるものの、今週はクリスマス直前ということもあり動きは乏しくなってきそうです。
もちろん、トルコはクリスマスに関係ありませんが、関係の強い欧州諸国がクリスマス休暇前で取引が低調になること、また以前見ていただいた本邦個人投資家のポジションのうち数量が明確なくりっく365のトルコリラ円建玉も11月28日の311,519枚をピークに直近では30万枚前後での推移が続いています。そろそろお腹いっぱいに近づきつつあり、これ以上の買い増しという状況では無いような印象を受けます。
そうなると、テクニカルな判断が頼りとなりますので、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル四時間足
先週高値からの下げは11月28日安値とのちょうど半値押しの水準で止まりました。週末には若干値を戻してきていることを考えると引き続き先週の安値圏を最初のサポートに、61.8%おしにあたる28.63を当面のサポートとする流れにあると考えられます。いっぽうで、先週のGDP発表後に高値も見てしまった感じで、現状では29円台半ばでは上値が重たくなってくると考えられます。
今週はもみあいで動意薄の一週間を想定し、28.60レベルをサポートに、29.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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