ユーロ 下げもダマシで上昇回帰?(週報11月第四週)

いったい最近のユーロはなんなのでしょう・・デイトレあるいは長期トレードでしたら影響は少ないと思いますが、スイングトレード(数日〜1週間程度)の場合、

ユーロ 下げもダマシで上昇回帰?(週報11月第四週)

今週の週間見通しと予想レンジ

いったい最近のユーロはなんなのでしょう・・デイトレあるいは長期トレードでしたら影響は少ないと思いますが、スイングトレード(数日〜1週間程度)の場合、タイミング的に外されっぱなしです!ドイツの政治家、何をやっているんだと愚痴のひとつも言いたくなります。

先週は月曜に、メルケル首相率いるCDU(キリスト教民主同盟、バイエルン州ではCSU)が自由民主党(FDP)、緑の党との3党連立協議においてFDPが緑の党との政策が違いから離脱、そして連立協議決裂のニュースからスタートしました。そのままでは、CDUの少数与党となるか、再選挙となるかしか道が残されていないため、政治の空白を避けるためにも大統領がその日のうちに各党に連立を呼びかけ、メルケル首相とは長時間の会談。

そして、不透明なまま一週間を過ぎるのか、何らかの進展がみられるのか思惑が交錯する中で、大統領の呼びかけに応じたのが社会民主党(SPD)です。SPDのシュルツ党首も大統領と長時間会談の上、党幹部に持ち帰ったところSPDの連立からの離脱が今回の政治的混乱を招いたとする世論もあり、CDUによる小数与党に対して閣外協力を行うか、これまでと同様に連立を組むかの方向に傾いてきました。

この結果、30日にメルケル首相とシュルツSPD党首による会談が行われますが、SPD内部では少数与党は良くないとの声もあるようで、CDU側に一定の譲歩を求める形での連立樹立となるのではないかとの思惑が一気に強まっています。これは短期的には、政局安定化を期待したユーロ買いとなりますが、長期的にはメルケル首相の指導力の低下、また下野する判断をくだしたシュルツ党首への批判もあり、12月7〜9日に開かれるSPD党大会において新党首が選出される方向となりそうです。

そうした点では、30日の党首会談を経て新党首との連立協議となると、実際の連立は年内ギリギリのスタートとなるかもしれません。いまは、CDU+SPDというこれまでの組み合わせに落ち着く安心感からユーロの買い戻しが強いものの、しばらくはドイツから出て来る政治ニュースに一喜一憂し、振り回される相場展開が続く可能性が残ります。今週は経済指標も多く発表されますが、他の材料は影響なしと言ってもよいでしょう。

さて、テクニカルには週替わりですがまた変化しています。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

これまでの変化を並べると、左から長期的なユーロ高上昇チャンネル(ピンクの平行線)、その後のヘッド&ショルダー(8〜10月)による反転、9月高値からの下降チャンネル(赤の平行線)、ヘッド&ショルダー失敗による下降チャンネルの上抜け、そして現在は11月安値を起点とする上昇トレンド(青の平行線)の中での動きです。

直近のところでは、赤の平行線を上抜け、その後先週初の売りで平行線上側のレジスタンスラインで下げ止められたことがユーロが強くなる可能性のスタートでした。その後、金曜のユーロ上昇の動きで10月高値を抜けたこと、これも今後のユーロ高を考えなくてはいけない動きと言えます。8月につけた年初来高値の1.2091レベルまではまだ距離があるものの、1.20の大台は視野に入れてきたのが現在です。

中期的には1.20の大台に乗せた後は年初来高値の更新という流れが予定されますが、その時にはユーロ買いとともに、これまで同様のドル売り要因(米国の税制改革案の進展状況、北朝鮮問題、金融政策への思惑など)も重なってドルが全体に弱い動きが出て来ないとユーロ単独材料での新値は難しいと考えられます。

今週はドイツの政局がまとまる期待がユーロを下支えし、1.1825レベルをサポートに、1.2025レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週も先週に続いてユーロ円のチャートを見ましょう。ユーロドルが反転上昇し、ユーロ円もまた上がってきたことで、ユーロ円の下値トライがいったんは失敗した格好となっていますが、ユーロドルとは違ってまだまだ上値も重たいチャートとなっています。短期的には買いも出るものの、ユーロ円に関しては売りもまた出やすいチャートであることを見てみましょう。

              ユーロ円日足

              ユーロ円日足

前回書いた通り、9月高値、10月高値、11月高値でトリプルトップ状のリバーサルパターンを形成中という動き自体には変化がありません。これまで何度も反発してきた131円台半ばのサポートを下抜け131.19(東京9時以降は131.22)をつけた動きがダマシとなったチャートです。現在はピンクの太線で示したレジスタンスとサポートで作られる下降ウェッジの中での推移にあると考えることが妥当です。

ユーロドルについては政局混乱で大きく振れた後の上昇となっていますが、ドル売り材料が無くなったわけではありませんので、感謝祭も終わり改めて米国からのニュースや議会再開にも注意が必要です。今週は時期FRB議長のパウエル理事、イエレンFRB議長の議会証言など金融政策思惑(直近では先週の議事録からやや利上げ思惑が後退中)も出てくるでしょうから、ドルとしての動きとなればユーロ円は中立ということになります。

大きくは引き続き131円水準をサポートに、133円台前半をレジスタンスとする流れにある、と言えるでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月27日(月)
特になし

11月28日(火)
16:45 フランス11月消費者信頼感指数
21:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
24:00 上院パウエル次期FRB議長公聴会

11月29日(水)
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ11月CPI速報値
24:00 イエレンFRB議長議会証言
26:00 ドイツ連銀総裁講演

11月30日(木)
09:01 英国11月GFK消費者信頼感
10:00 中国11月製造業・非製造業PMI
15:45 スペイン7〜9月期GDP確報値
15:45 スイス7〜9月期GDP
16:45 フランス11月CPI速報値
**:** OPEC総会
**:** メルケル首相、SPD党首と会談
17:55 ドイツ11月失業率
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏9月失業率

12月1日(金)
17:50 フランス11月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ11月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI確報値
18:30 英国11月製造業PMI

前週のユーロレンジ

       始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.1732 1.1944 1.1713 1.1931
ユーロ円  131.44 133.24 131.22 133.10

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

11月20日(月)
 今週はドイツの政局が市場の混乱を招いての週明けとなりました。ドイツの3党連立協議が決裂したことでユーロが大きく下げる展開となりました。しかし、欧州市場に入るとユーロは急速に買い戻され週末の終値水準まで反発したものの再び売りへと転じました。ドイツ大統領が各党に改めて連立協議を提案したものの先行きは不透明で朝方の安値圏に押しての引けとなりました。

11月21日(火)
 主要通貨は全般に動意薄の一日となりました。ドイツの政局が不透明なことから参加者の動き自体も鈍ってきている様子でした。ドイツが再選挙となるのか、あるいは少数与党でのメルケル政権スタートとなるのか、いまだ情勢がはっきりしない中若干の安値更新の動きも見られましたが、前日の大統領の動きに期待する向きもあり動きにくいままでのクローズとなりました。

11月22日(水)
 モラー捜査官の動きを警戒してドルは全般に上値が重たい中、イエレンFRB議長の講演で金利先高観を鈍らせるような内容からユーロドルもドル売り・ユーロ買いの動きが目立ちました。欧州市場に入るとドドイツの連立協議決裂後の動きに警戒はあるものの買い戻しが継続、NY市場では株安の動きとFOMC議事録も利上げに反対するメンバーがいたとの内容から、ユーロドルも1.1827レベルまで上昇しました。

11月23日(木)
東京休場で欧州市場までは動意薄、欧州市場に入り発表された経済指標が強かったことからユーロは一段高となり1.1856レベルまで上伸後に高値圏での引けとなりました。

11月24日(金)
ドイツの政局が進展する思惑が浮上し、欧州市場に入り急速にユーロの買いが進みました。CDUとSPDによるこれまでと同様の連立政権樹立への期待から底堅い動きをする中、30日にメルケル首相とSPD党首が会談するとのニュースから大幅高となり、1.1944レベルまで上昇後に高値圏での引けとなりました。

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る