ユーロ続落 支持線割り込み下値余地広がる
27日の東京市場でユーロは続落。昨晩のECB理事会はすべてが予想通りだったものの、タカ派感が少しも感じられないステートメントとドラギ総裁の記者会見に事前にユーロ買いが強まっていた為替市場で投げが出たこと、カタルーニャ情勢の悪化、さらに米下院で税制改革に向けた予算決議案を僅差で可決するなどユーロドルには売り要因が重なって海外時間にユーロの下げが加速、東京時間早朝は1.1650近辺で取引を引き継ぎました。(詳細は昨夜、今朝のレポートをご参照ください)
その後日中も基本的には上値が重く1.16台前半での取引が続き、さらに夕刻欧州勢参入とともに一段安となり、安値1.1616をつけて東京時間18:00現在は1.1635レベルでの取引です。
ECBが来年の買い入れ計画の概要を示したことで、夏前からの債券買い入れ額縮小にかかわる一連の動きに一旦終止符が打たれた形になりました。
来年はユーロ圏での政策金利変更は見込まれていないこともあり、しばらくECBの金融政策は為替市場の話題の中心から遠ざかることになりそうです。
このような状況で、ドラギ総裁自身が記者会見の中で述べていたとおり、米国の景気回復が欧州圏のかなり先を行っているとの認識が改めて広がれば、ドルの優位性に更に目が行く可能性があります。一方でドイツ総選挙以降の欧州の政治情勢は年前半とは打って変わって混沌としてきており、ユーロ高のベースとなっていた安心感もだいぶ薄れたイメージです。
テクニカル的にも、ユーロは昨日の下げで当面のサポートと目されていた一目均衡表の雲の下限をあっさり下抜け、9月に形成されたヘッドアンドショルダーのターゲットである1.1590-1.6000にまもなく到達する勢いとなっています。
更に昨晩の下落過程で、これまで再三指摘してきた重要な支持線である1.1670を切ってしまいました。
この水準は単に10/6の直近安値であっただけでなく、8/17日の安値1.1662と結んだラインが現在1.1673にあり、これが新たなより大規模なヘッドアンドショルダーのネックラインとなっている可能性があります。
当初は9月相場の中で生じたヘッドアンドショルダーの目標水準である1.1590レベルまでの調整の後、大きなユーロ買いトレンドへの回帰を想定していましたが、10月に目標に到達にできずにもみ合っているうちに新たな「肩」ができてしまった形です。
週足で見るとよりはっきりするのですが、8/2の高値1.1910と10/12の高値1.1880を両肩、9/8高値の1.2092を頭と仮定すると、今回ネックラインを切った「新」ヘッドアンドショルダーの落差は約425ポイント、ネックラインからの目標値は1.1250レベルとなり、これはちょうど本日1.1245近辺を上昇しつつある200日移動平均線の水準と一致します。
しかも、この水準は今回の中期上げ局面の起点となった今年1/3安値1.0341から9月高値1.2092への上昇の半値戻し1.1216とも近く、これらの状況から、もしこれから数日「ネックライン」の1.1670-80レンジを超えられなければ、より深いユーロ安局面に突入した可能性があります。
少なくとも今回の下げによりユーロドルは思ったよりも大きく下値が広がったことは認識しておいたほうがよいと思います。
直近のレンジですが、現水準から下にテクニカル的には1.12台半ばまでほとんど支持ポイントが見当たりません。強いて言えば前述の9月の「旧」ヘッドアンドショルダーのターゲットの1.1590あたり、そして前述の1月から9月への上昇の38.2%戻しの1.1423が指摘できるくらいでしょうか。
一方レジスタンスはまずは前述の1.1673レベルにある「新ネックライン」を超えられるか。この水準は1月-9月の上げの23.6%戻し1.1679とも近く今回「新」ヘッドアンドショルダーが完成したか否かを判断する上でも重要と考えられます。
緊迫度を高めているスペインのカタルーニャ州独立問題は本日も流動的ですが、カタルーニャ州政府高官が本日マドリードで州議会選挙実施と引き換えにカタルーニャの自治制限を行うプロセスを停止する譲歩を求めて交渉中との報道が流れています。一方で独立宣言、プチデモン州首相の解任のいずれもが本日高い可能性として考えられており、予断を許さない状況が続きます。
序盤の欧州株価指数先物はまちまちの動き。
今晩この後21:30には第3四半期米GDP速報値の発表があり、注目が集まります。市場予想のコンセンサスは前期比年率2.6%のプラス、さらに同時刻には個人消費、コアPCE
等も発表されます。また、23:00からはミシガン大消費者マインド指数も発表され、今晩も波乱含みです。
オーダー/ポジション状況
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