トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円はじり安の展開を考え、「31.15レベルをサポートに、31.70レベルをレジスタンス」とする週を見ていました。実際のレンジは、安値が31.37レベル、高値が31.66レベルと、予想よりも狭い値幅の中で上値の重たい一週間となりました。
先週の材料はイラクにおけるクルド人自治区の住民投票後の問題が、トルコに波及する可能性を考えつつも目立った材料も無く、週を通してほとんど動きが見られないまま終わりましたが、今週に入りトルコリラは全ての通貨に対して大幅安の動きを見せています。
これは新聞等、各種ニュース媒体で報道されている通りですが、米国とトルコが相互にビザ発給業務を停止したことが原因です。このビザ発給停止は、昨年のクーデター未遂事件において、イスタンブールの米国総領事館トルコ人職員が4日に逮捕されたことに端を発していると考えられています。
クーデター未遂事件は、既に過去の出来事といった感じでしたが、背後に宗教的な指導者ギュレン師の影響があると言われたことから、同師の送還に絡んで米国との対立があったことや、トルコ内のクルド人問題に対して米国がサポートしていることなど、これまでの対立問題が一気に噴出して8日のビザ発給停止(難民を除く)となり、その措置を受けトルコも発給停止とした流れです。
4日の段階では大したニュースにもならず、トルコリラの動きにはつながりませんでしたが、8日の発表を受け、週明けの為替市場はドルトルコリラを中心にトルコリラ売り一色となってしまいました。ドルトルコリラは先週末の終値3.6114からギャップアップして始まり、一時3.8100までトルコリラが急落、その後3.7000水準でいったん落ち着いた動きとなっています。
しかし、ドルトルコリラで3.8100というのは、今年1月につけた最安値3.9420を除くと直近では最もトルコリラ安の水準であり、またテクニカルにもトルコリラにとっては非常によろしくない形状です。ドルトルコリラの週足チャートをご覧ください。
ドルトルコリラ週足
長期的な想定となりますが、昨年の安値2.7893から1月高値3.9420までの上げ、その後の9月安値3.3888をN波動と考えると、まずは1月高値を視野に入れることとなりますが、その上にはレジスタンスがありませんので、フィボナッチ・エクスパンションの各水準となる3.9651(50%)、4.1010(61.8%)といったターゲットを考えることとなります。またその間には大台の4.00がありますので、当面は1月高値を超える3.95、そして大台4.00という水準を意識する展開が続きます。
トルコ外務省は米国大使館の首席行使に対してビザ発給停止の撤回を要請したものの、エルドアン大統領も一癖も二癖もあるトップですから、米国とトルコの関係が今後どのようになるのか、しばらくは目が離せない状態となっています。
いつもの4時間足チャート(上からトルコ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
トルコ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
中段のドルトルコリラ同様にトルコリラ円も大きなギャップをともなってのスタートとなっています。
週初、東京市場が休場の中でつけた安値29.37レベルは長い下ひげをともなっていて、目先の安値を付けた感はありますが、今後の動向としてはやはり今年1月につけた史上最安値29.07を視野に入れる必要があります。現状はいったん落ち着いているものの、中長期的には次に30円の大台を割り込む動きが出てきた場合、29円を考えることになるでしょう。
今週についてはいったん安値を付けたと考えられますが、ギャップを埋めるには米国によるビザ発給再開をともなう関係改善が必要ですが、すぐに解決するとは思えません。ギャップをトライしても埋められず、31円では戻り売りが出て来ると考えられます。今週は戻り売りの動きにもよりますが、残り4日間は29.90レベルをサポートに、30.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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