ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円はじり安の展開を考え「8.25レベルをサポートに、8.50レベルをレジスタンス」と下値に余裕のある週を見ていました。実際のレンジは、安値が8.23レベル、高値が8.49レベルと、予想通りのじり安の一週間となりました。
先週の南アフリカ関連の材料としては、KPMG、マッキンゼーによる富豪グプタ家と政界とのスキャンダルが尾を引いてのスタートとなりました。また週初からユーロを中心にドル高の動きとなったため、ドル南アランドでもドル買いの動きとなり、週初月曜からここ数週間のランド円安値をトライする勢いのスタートとなりました。
その後も上値の重たい流れの中で、27日にこれまでのランド円のサポートを下抜けましたが、きっかけはドルランドでドルが上昇した動きです。ここで南アフリカ関連のニュースがあったわけでは無く、米国の利上げ思惑や税制改革案に対する期待で全般的なドル買いの動きの中で、ドルランドはこれまでのドル高値(ランド安値)を上抜けする動きが見られたというテクニカルな要因が大きかったと思います。
ドルランドの日足チャートをご覧ください。
ドルランド日足
9月最終週のドル買いの動きで7月高値(ピンクの水平線)を上抜け、5月高値と並び、4月高値(13.957、ピンクの水平線)を視野に入れる展開となっていることがわかります。ただ、ランドはその前にも年初来高値(1月、13.980)等、それまでドル安・ランド高の流れとなっていたため、レジスタンスはいくらでもあります。今回は直近のドルランドでのレジスタンスは抜けたものの、これがランド安への大きなきっかけとなるというほどのものでもありません。
今週の南アフリカは政治絡みの話がいったん落ち着き、経済指標に目立った発表はありません。米国の雇用統計発表も金曜ですし、米国の利上げとバランスシート縮小による長期金利上昇思惑も既定路線であると考えると、引き続き対ドルでのランド安も継続しやすいと言えそうです。いっぽうドル円も底堅い動きとなっていて、それぞれのスピード差こそあるものの全般的なドル高の流れに変化は無く、今週はもみあいとなりやすい中、ランド円は戻り売りが出やすいと言えそうです。
また、ひとつ気を付けるべき点として、先週の金融庁によるFXレバレッジ引き下げ案があります。同案については反対の立場から先週のFX羅針盤でも2回に渡って私の考えを書かせていただきましたが、日本の投資家の中でもランドやトルコリラといった高金利通貨取引を行っている人にとってレバレッジ引き下げは悪材料としか言えません。これまでにも荒れ相場と言えばだいたい下げる動きでしたから、動きが少ない内にポジションを減らしておこうと考える人も少なからずいるはずです。この話はまだ来年以降の話とは言うものの、話題として出て来る度に高金利通貨にとっては売り材料と‘なりやすいという見方で良いと思います。
それでは、4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円(四時間足)
ランド円の年初来安値は4月につけた7.90ですが、それ以降では8月安値の8.07が目立つ安値となっていますので、それが入るようにやや長めに表示してあります。
こうして見ると8月安値8.07と9月高値8.56との61.8%押しの8.24レベルで先週の安値はいったん止められていることがわかります。しかし、そこまでの1か月以上もの間止められていた半値の水準(ランド円のレポートでも何度も出てきた8.30ライン)を明確に下抜けてきたことは、上値を重たくする大きな要素であるとテクニカルには考えます。
今週も61.8%押しの水準をトライして抜けるかどうかは動き次第としか言えないのですが、先のドルランドでもドル買い方向に動きやすいこともありますので、ランド円も直近の高値を結んだ下降チャンネル(ピンクの平行線)の中での推移を続けやすく、次のターゲットとして78.6%(61.8%の平方根)押しとなる8.16を視野に入れていると考えられます。
よって今週も上値の重たい展開を考え、8.15レベルをサポートに、8.40ベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2017.10.10
ランド円ショートコメント(17/10/10)
先週のランドは、経済指標など目立った材料は無い中で、米国の金利上昇や株高が高金利通貨から米ドルへの資金還流を起こしやすい地合いになっていた
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:山中 康司
2017.09.25
ランド円ショートコメント(17/9/25)
21日に発表された政策金利は6.75%と現状維持、0.25%の引き下げで6.50%を予想していた市場参加者のコンセンサスとは異なる結果となり、
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。