ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「もみあいの一週間と見・・・8.70レベルをサポートに、大台9.00レベルをレジスタンスとする流れ」としました。実際のレンジは、安値が8.19レベル、高値が8.95レベルと、大幅なランド安の週となっています。
既に先週のランド円の速報コラムでランド円急落の理由について書いていますので、簡潔にまとめておきますと、南アフリカへの投資を説明するために訪英中であったゴーダン財務相に対し、ズマ大統領が緊急帰国の命令を出したことがきっかけで、これは内閣改造に伴うゴーダン財務相解任ではないかとの思惑が流れました。その後、編集人K氏のコラムにもある通り、30日にゴーダン財務相が解任され、ランドは対ドル、対円で一段安の流れを見ての月末クローズとなっています。
これまでもゴーダン財務相とズマ大統領の間がうまくいっていないことは明らかでしたが、今回は大統領が財務相解任のみならず、他の閣僚も合わせて9名もの解任に動いたことで南アフリカの政治に対して一気に不安が噴き出ることとなりました。ゴーダン財務相自体は手腕に信頼がありましたし、他の閣僚についても大統領の一方的な解任と見られ、これによって大統領の不信任(野党が提出)、与党の分裂といった更なる混乱も予想されます。
この政治不安によって、これまではネガティブな見通しながらも格付け引き下げをなんとか避けてきた南アフリカに対して、格付け引き下げが行われる可能性が高まっています。現状S&PがBBB−、ムーディーズがBaa2(BBB相当)となっていて、S&Pがあと1ノッチ(段階)で、ムーディーズも2ノッチでジャンク債となってしまいます。ムーディーズは7日に南アフリカの格付けについて調査結果を発表する予定ですが、仮に投資適格を維持出来たとしても先行きの不安を拭い去ることは出来ません。
ゴーダン財務相がわざわざ英国にロードショー(投資説明会)に行ったのは何だったのかと考える投資家が一気に増え、今後は南アフリカからの資金流出を伴ったランド売りの動きが活発化する恐れがあると言わざるを得ません。これまではランド高という動きで見ていましたが、先週の一件で今後はランドの戻り売りを考えることとなります。
それでは、チャートをご覧ください。まずは、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)です。
ランド円、ドルランド、ドル円(四時間足)
先週初までのランドは、対ドル、対円ともにランド高のトレンド(赤い線で示した対円でのサポート、対ドルでのレジスタンス)を形成していましたが、週初の急落でこれらのトレンドラインをブレークし、現状はランド安のトレンドへと転じてしまいました。特に対円では、9円の大台を目前に本邦の個人投資家はランド高を疑っていなかった面もあり、今回のランド急落は青天の霹靂と感じた方も多かった様子です。
こうなると、少し長いチャートを見ないと下値の目途がわかりませんので、日足チャートもご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円(日足)
見ていただくとわかる通り、長らくランドは買われてきただけに節目の安値というと昨年6月24日の安値6.42レベルまで遡ることになります。英国の国民投票の結果が出た日です。この安値と3月21日高値8.98からフィボナッチリトレースメントを求めると押しのターゲットとなる38.2%押しがちょうど8.00の大台となっていることがわかります。
今後の南アフリカの政治や格付けといった不安を考えると思いのほか早い段階で8.00円の大台を試す可能性があります。今週はそこまでの一段安は無いのではないかは思いますがムーディーズの動きも要注意と考え、大台8.00レベルをサポートに、8.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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