南アランド/円、短・中期トレンドはランド強気。長期は弱気の流れ。
南ア経済は、最大の貿易相手国である中国経済に影響を受け易い傾向にありますが、国内では恒常的な電力供給不足が生産性向上に繋がらず、経済成長の足枷ともなっています。中国経済の減速傾向が2015年以降強まったことや、鉱物資源価格の下落基調が続いた流れを受けて、南アランドも対ドル、対円で上値を切り下げる流れにありましたが、対ドルでは2016年1月に付けた1ドル17.91ランド、対円でも昨年6月に付けた6.40円を底値として反転しており、現在は中期的な上昇トレンドを形成中です。中国経済の底割れの可能性が後退したことや、鉱物資源価格が底打ち、上昇に転じたことが、ZAR相場が上昇に転じた大きな要因と見られますが、一方で、国内ではインフラ設備投資の遅れもあって、成長率が現在もなお低い水準に留まっていることから、景気拡大への道のりは険しく、今後の為替相場の大幅上昇にも繋がり難いと見られます。
チャートを見ると、週足は2015年6月に付けた10.25を起点として上値を切り下げて来た流れから、昨年7月に7.50超えを見たところで中期トレンドに変化が生じています。また、2016年1月の6.52と同年6月に付けた6.40で中期的な二番底を確認した形となっており、さらに7.50超えで上昇トレンド入りを確認しており、短・中期トレンドはZAR/円強気の流れにあります。一方で9.10-20、9.50-60には中・長期的な上値抵抗が控えていることや、長期トレンドが強いわけではないので、10円台は大きな壁となる可能性も高いと見られます。一方下値は、8.00-10、7.50-60に中期的に見た強い下値抵抗が控えており、反落に転じた場合は、これらが強いサポートとして働く可能性が高く、7円台を大きく割り込むほどの下落にも繋がり難いと見られます。
ZAR/円【週足】:(2/20現在31週移動平均線は7.81にあり、ZAR/円強気の状態にある)
月足で、長期的なトレンドを見ると、リーマンショック前の高値である2008年8月に付けた15.03と、2014年11月に付けた10.81とを結ぶ長期的なレジスタンスラインの下で推移しており、長期トレンドはZAR弱気の流れに大きな変化は認められません。この月足の上値抵抗は9.20近辺に位置しています。一方で、2016年6月に付けた6.40を起点として下値を切り上げる流れを維持しており、中期トレンドはZAR強気の流れを維持しています。この月足の下値抵抗は7.80近辺にあります。以上から、短・中期トレンドはZAR強気の流れが継続中ですが、長期トレンドは下値リスクがより高い状態にあり、9.00〜9.20に長期的な上値抵抗として働く可能性が高いこと、一方で短・中期トレンドはZAR強気の流れにあることを示しています。
但し、9.50超えの越月となった場合は、長期トレンドもZAR強気に変化して10〜11円をトライする動きが強まり易くなります。逆に7.70割れの越月で下値リスクが点灯、7.50割れの越月で7.00近辺にある長期的な下値抵抗をトライする動きが強まり易くなります。さらに、7円台を守りきれずに越月した場合は新たな下落リスクが点灯して下値余地が更に拡がり易くなります。
ZAR/円【月足】:(2/20現在31ヶ月移動平均線は8.77にあり、2/21現在これを上抜けきれていない。長期トレンドは下値リスクを残した状態)
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