十数社関与の南アランド不正操作疑惑でCITIが捜査協力と罰金支払いに応じる
先週末に、南アフリカ共和国の競争政策委員会がプレトリアの競争審判所に「少なくとも2007年以降に南アフリカランドの取引にかかわる不正操作や談合があった」とする審査請求状を提出して話題になっています。
審査請求状によれば野村インターナショナル、JPモルガン、CITI、クレディスイスなどの大手金融機関、ABSA BANK 、STANDARD BANKなどの地場大手行を含む18金融機関が、談合の上架空のビッドオファーを提示して利益の最大化を図ったり、FIXING時のレートを操作しリスクを削減したり、特定顧客のポジションやオーダーの分割具合に関する情報を共有し、提示レベルを揃えることで競争を回避、更に取引ボリュームに応じたスプレッドを談合して同水準に揃える、特定時間に提示価格を調整することにより取引を回避する等の不正操作を行い、本来競争により消費者が得べかりし利益を不当に搾取したとして、これら金融機関に取引高の10%の罰金の支払いを求めています。
これに対して米CITIグループは約7千万ランド(約6億円)を支払い、証言等で捜査に協力することで同意したと本日伝えられています。
エマージングマーケットは取引規模が限られるため、多かれ少なかれこの種の話はつきものですが、最近のロンドン、ニューヨーク等でのコンプライアンス強化の流れが新興市場にも及んできた形です。
今回は金融機関名だけではなく、個別の関与したトレーダーの名前が請求状に記載されており、最近リスクリターンの割りの合わない仕事とされがちな為替トレーダーの世界を一段と厳しいものにしそうです。
また、罰金の金額も捜査に操作に協力したCITIは6億円でしたが、請求状では利益ではなく「取引金額」の10%を罰金として求めており、為替取引の性質から実際に課金された場合には支払額が巨額のものとなる可能性があり今後の帰趨が注目されます。
ただし、今回の「相場操縦」は内容的に対顧客との取引の利益を最大化することが目的であり、短期的に相場を形成してトレーディング益を上げたり長期的な相場の方向に影響を与えたり(などということは如何に大手金融機関と言えども困難でしょうが)したとの内容は含まれていないようです。
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