トルコリラ円見通し 円安で2連騰だが、ドル/トルコリラは3日連続最安値更新(24/12/11)

トルコリラ円の12月10日は概ね4.37円から4.33円の取引レンジ、11日早朝の終値は4.35円で前日終値の4.34円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 円安で2連騰だが、ドル/トルコリラは3日連続最安値更新(24/12/11)

円安で2連騰だが、ドル/トルコリラは3日連続最安値更新

〇トルコリラ円、ドル円の一段高を追い12/11早朝4.37つけて12/3夜以降の高値更新
〇米利下げペース鈍化見通しと日銀追加利上げの可能性を天秤に掛ける局面で波乱注意
〇対ドル、12/10は概ね34.89から34.57の取引レンジ、史上最安値を3日連続で更新
〇10月鉱工業生産、前年同月比は3.1%減で5か月連続のマイナス
〇10月失業率は8.8%、9月の8.7%から2か月連続で悪化
〇4.34上回るうちは一段高余地あり、4.37超えからは4.38、4.39順次試す上昇想定、4.38以上は反落警戒
〇4.34割れを弱気転換注意とし、4.33割れからは下落期入りとみて4.32、4.31順次試す下落想定

【概況】

トルコリラ円の12月10日は概ね4.37円から4.33円の取引レンジ、11日早朝の終値は4.35円で前日終値の4.34円から0.01円の円安リラ高だった。
ドル円は6日夜の米雇用統計発表直後につけた安値149.35円から反騰入りして10日未明に4日夜高値151.22円を超え、12月3日夜の韓国戒厳令騒動による安値148.64円からの上昇が二段目に入り、米10年債利回りの連騰により11日未明に152.17円まで高値を伸ばした。
トルコリラ円はドル高リラ安による圧迫感を抱えながらもドル円を追いかけており、3日深夜安値4.28円から4日夜高値4.35円へ戻した後は4.29円を繰り返し付けながら下げ渋り、ドル円の一段高により10日未明に4.35円へ上昇して4日夜高値に並んだ。
10日午後にドル円が小反落した局面で4.33円へ下げてからドル円の一段高を追い、11日早朝に4.37円を付けて3日夜以降の高値を更新した。

ドル円は11日午前序盤に152円を割り込みややジリ安で推移している。11日早朝発表の日銀企業物価指数が予想を上回ったことで12月18-19日会合での追加利上げへの警戒感がやや増したこと、今夜の米CPI次第では波乱含みとなる可能性もあるため、やや持ち高調整で下げやすいところかもしれない。
しかし、今夜の米CPIが予想を上回るようだと、FRBが12月利下げの後を利下げ休止とし、2025年の利下げ回数想定を9月時点の4回から3回ないし2回へ減らす可能性が高まり、米長期債利回り上昇と共にドル高円安へ進む可能性もある。米国の利下げペース鈍化見通しと日銀追加利上げの可能性を天秤に掛ける局面で波乱注意とし、トルコリラ円も乱調な展開となる可能性に注意したい。

【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値を3日連続で更新】

ドル/トルコリラの12月10日は概ね34.89リラから34.57リラの取引レンジ、11日早朝の終値は34.83リラで前日終値の34.81リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
12月4日に34.77リラを付けて11月27日安値を超えて取引時間中の最安値を更新してからいったん反発したが、5日から下落再開に入り6日に34.81リラ、9日に34.84リラ、10日に34.89リラと3営業日連続で取引時間中の史上最安値を更新した。日足終値ベースでは12月3日終値34.71リラを6日終値34.74リラで超えて9日、10日と3営業日連続で史上最安値を更新した。

11月29日のGDP統計で4‐6月期と7‐9月期が2期連続マイナス成長=リセッションに陥り、10-12月期も3四半期連続でマイナスとの見方が強まったこと、12月3日に発表されたトルコ11月CPI上昇率が前月から鈍化したものの予想を上回り、12月26日の次回トルコ中銀金融政策決定会合では利下げが見送られるとの懸念が優勢となったことを背景にリラ安継続感が増している。
12月20日にトルコ中銀の月次ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップに対する市況予想調査)が公表されるが、11月時点では年末為替レートが1ドル35.7205リラとされており、年末にかけて35リラ台へ向かう可能性も高まっている。

【トルコ鉱工業生産、5か月連続のマイナス】

12月10日にトルコ統計局が発表した10月の鉱工業生産は前月比0.9%減で9月の1.6%増から悪化し、前年同月比は3.1%減で9月の2.3%減を下回る悪化となった。
前月比は増減を繰り返しているが、前年同月比は6月の5.0%減、7月の3.9%減、8月の5.2%減から9月と10月もマイナスとなり5か月連続のマイナスとなった。直近のピークは2024年2月の11.1%であり、高インフレ・高金利・リラ安・緊縮財政等による実体景気への悪影響を反映している印象だ。
トルコは4‐6月期と7‐9月期が2期連続マイナス成長=リセッションに陥り、10-12月期も3四半期連続でマイナスとなるのではないかと懸念されており、直近の統計も悪い状況が続いている。
10月のトルコ失業率は8.8%で9月の8.7%から悪化した。6月の9.1%から8月の8.6%へ改善した後は2か月連続で悪化している。

【60分足サイクル、一目均衡表分析】

【60分足サイクル、一目均衡表分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月4日夜高値をサイクルトップとして6日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定していたが、9日午前時点では4.33円超えから強気転換注意として4日夜高値4.35円試しとし、10日未明に4.35円まで戻したために10日朝時点では6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10日の日中から11日夜にかけての間への上昇を想定した。
11日早朝へ続伸してからやや下げているため、4.34円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.34円割れを弱気転換注意とし、4.33円割れからは弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、いったん弱気サイクル入りしてからの反騰で6日以降の高値を更新する場合は新たな強気サイクル入りとなる点に注意し、直前の下げ幅に対して半値以上を解消する反騰からは上昇再開の可能性ありとみる。

60分足の一目均衡表では10日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持してきたが、11日午前にやや下げていることで遅行スパンは悪化しやすい位置にある。26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは先行スパンの上下限を試す下落を想定する。ただし、先行スパンからの転落を回避する内はその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とする。

60分足の相対力指数は10日未明から11日早朝への上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため反落警戒とし、次に60ポイントを超えるところからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.33円を下値支持線、4.37円を上値抵抗線とする。
(2)4.34円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.37円超えからは4.38円、4.39円を順次試す上昇を想定する。4.38円以上は反落警戒とするが、12日早朝に4.35円を上回って推移するなら12日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.34円割れを弱気転換注意とし、4.33円割れからは下落期入りとみて4.32円、4.31円を順次試す下落を想定する。下げ足が速まる場合は4.30円前後へ下値目途を引き下げ、4.33円以下での推移なら12日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月11日
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 2.3%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
12月12日
 16:00 10月 経常収支 (9月 +29.88億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月6日時点
12月16日
 17:00 11月 財政収支 (10月 −1862.7億リラ)



注:ポイント要約は編集部

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