米長期債利回り連騰で11日未明に152円到達、今夜の米CPI待ち
〇ドル円、151円割り込んだところ買われ、米長期債利回り連騰で12/11未明152.17へ高値伸ばす
〇米四半期単位労働コスト、年率0.8%上昇に下方修正、賃金コスト面からの上昇圧力低下が示される
〇日銀国内企業物価指数、前年同月比3.7%上昇で10月上回り、追加利上げ判断に寄与する内容
〇米長期債利回りは総じて上昇、米主要株価指数は持ち高調整や米中貿易戦争化への懸念強まり総じて下落
〇今夜22:30米11月CPI、明日夜の米11月PPIで年末への方向性決めていく局面
〇151.40台以上維持するうちは一段高余地あり、152.17超えからは152.50から153円手前への上昇想定
〇151.40割れからは弱気転換注意、151.20割れからは下げに入るとみて151.00から150.50への下落想定
【概況】
ドル円は12月6日夜の米11月雇用統計発表直後に149.35円へ下落したものの、韓国戒厳令騒動で付けた12月3日深夜安値148.64円割れを回避して持ち直し、9日午後からは中国共産党中央政治局の金融緩和拡大と精力的な消費・内需拡大姿勢を示したことによるリスク選好感と米長期債利回りの上昇を背景に続伸し、10日未明に4日夜高値151.22円を超えて3日深夜からの上昇が二段目に入った。
10日午前に151.54円へ続伸してからいったん151円を割り込んだところを買われ、米長期債利回りの連騰を見て11日未明には152.17円へ高値を伸ばし、11日午前序盤を152円弱の水準に付けている。
12月11日朝発表の日銀国内企業物価指数は11月の前月比が0.3%上昇で10月の0.3%(速報の0.2%から上方修正)と変わらなかったが、前年同月比は3.7%上昇となり10月の3.6%(速報の3.4%から上方修正)を上回り、日銀の追加利上げ判断に寄与するものだった。
12月3日深夜から11日未明高値までの戻り幅は3.53円となり、11月15日高値156.74円から12月3日安値までの下げ幅8.10円に対して4割強を戻した。半値戻しラインは.152.69円にあり、中勢の上昇トレンド再開目安となりやすい26日移動平均(現在152.78円)、一目均衡表の26日基準線(現在152.69円)を超えて上昇再開とできるか、戻り幅の半値以上を解消して戻り一巡からの下落再開とするか、試されるところだ。
今夜の米11月CPI、明日夜の米11月PPIのインフレ指標次第で12月17-18日の米FOMCにおける0.25%追加利下げ見通しや2025年の利下げ回数、利下げ終了時の金利水準等を巡る思惑が交錯しながら年末への方向性を決めてゆく局面と思われる。
【米四半期単位労働コストの下方修正は追加利下げ判断に寄与】
米労働省が10日に発表した第3四半期の非農業部門労働生産性改定値では、生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストが年率0.8%上昇となり速報値の1.9%上昇から大幅に下方修正され、市場予想の1.5%上昇を大幅に下回った。CPI等の上昇率低下傾向が鈍っているものの、賃金コスト面からの上昇圧力が低下していることが示され、FRBによるインフレ低下傾向は継続するとの見方と追加利下げ判断に寄与すると市場は受け止めた。
第3四半期の単位労働コストは速報の2.4%上昇から1.1%上昇へ下方修正され、第3四半期の単位労働コストの前年同期比も2.2%上昇となり速報の3.4%上昇から大幅に下方修正された。
今夜22時30分に11月の米 CPI(消費者物価指数)上昇率の発表がある。全体の前年同月比は10月の2.6%から2.7%へ上昇すると見込まれ、食品エネルギー除くコアPCIの前年同月比は10月の3.3%と変わらずと見込まれている。予想を下回れば12月利下げからの連続利下げ期待が高まり米長期債利回り低下でドル円も下落する可能性があるが、予想を上回る場合は12月利下げ後の利下げ休止や来年の利下げ回数が3回ないし2回に留まるとの見方が強まりやすく、米長期債利回り上昇・円安が進みやすくなると思われる。
【米長期債利回りは米CPI控え連騰、米主要株価指数は持ち高調整で下落】
12月10日の米長期債利回りは11日夜の米CPI発表を控えて総じて上昇し、ドル円の上昇に寄与した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.23%となり小幅ながら9日の0.06%上昇から2連騰とし、30年債利回りは前日比0.03%上昇の4.42%となり9日の0.05%上昇から2連騰とした。政策金利動向により敏感な2年債利回りは前日比0.02%上昇の4.15%となり9日の0.02%上昇から小幅に連騰した。
一方で米主要株価指数はインフレ指標発表を控えた持ち高調整や、トランプ政権発足へ向けて米中貿易戦争化への懸念が強まっていることで総じて下落した。
NYダウは12月4日に史上最高値を更新してから下落に転じたが、10日は前日比154.10ドル安で4営業日続落、ナスダック総合指数は12月10日に取引時間中の最高値を更新してから反落して前日比123.08ポイント安としていたが、10日は前日比49.45ドル安と続落した。S&P500指数は12月6日に史上最高値を更新してから下落に転じ、10日は前日比17.94ポイント安で9日の37.42ポイント安から続落した。いずれも米CPIをきっかけに反騰入りできるか試される局面だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は12月6日夜の米雇用統計直後に付けた安値149.35円を当面の底として反騰入りしてきた。12月4日高値を基準として目先の高値形成期は11日深夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期とし、151.40円割れを弱気転換注意とし、151.20円割れからはいったん下げに入るとみて11日夜から13日深夜にかけての間への下落を想定する。
ただし、いったん弱気転換した後に直前の下げ幅の半値以上を解消するところから上昇再開の可能性ありとし、6日深夜以降の高値を更新するとろからは新たな上昇期入りとして13日夜から18日未明にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では10日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて先行スパンの上下限を試す下落を想定する。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンがいったん悪化してもその後に好転するとろからは上昇再開とする。
60分足の相対力指数は10日未明から11日未明にかけての一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、50ポイント割れを回避する内は次の70ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
ただし、深夜にかけていったん大幅に低下してから60ポイント超えへ切り返す場合は新たな上昇期入りの可能性ありとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、151.20円を下値支持線、152.17円を上値抵抗線とする。
(2)151.40円台以上を維持するうちは一段高余地ありとし、152.17円超えからは152円台後半(152.50円から153円手前)への上昇を想定する。152.70円以上は反落警戒とするが、明朝に152.70円を上回っている場合は12日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)151.40円割れからは弱気転換注意とし、151.20円割れからはいったん下げに入るとみて150.0円台後半(151.00円から150.50円)への下落を想定する。151.20円以下での推移が続く場合は12日も続落しやすいとみるが、深夜へいったん急落してから直前の下げ幅の半値以上を解消する反騰がみられる場合は新たな上昇期に入る可能性ありとみる。
【当面の予定】
12/11(水)
22:30 (米) 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 2.6%、予想 2.7%)
22:30 (米) 11月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (10月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (10月 3.3%、予想 3.3%)
23:45 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 3.75%、予想 3.25%)
24:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -2575億ドル)
12/12(木)
休場 メキシコ
09:30 (豪) 11月 新規雇用者数 (10月 1.59万人、予想 2.50万人)
09:30 (豪) 11月 失業率 (10月 4.1%、予想 4.2%)
17:30 (ス) スイス中銀 政策金利 (現行 1.00%、予想 0.75%)
22:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 3.40%、予想 3.15%)
22:30 (米) 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 2.4%、予想 2.6%)
22:30 (米) 11月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前月比 (10月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 コアPPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (10月 3.1%、予想 3.3%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.4万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 187.1万人)
22:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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