日銀関連報道で一時152円台後半まで急上昇。米CPIもドル買いの流れを後押し
〇ドル円、日銀による年内追加利上げ観測再燃し、欧州序盤に151.01まで下落
〇その後は逆に日銀の今月利上げ見送りとの観測報道等に152.86まで上昇
〇米11月消費者物価指数、+2.7%(コア+3,3%)事前予想通り伸び率加速
〇ユーロドル、ECB理事会控えたポジション調整、米金利上昇等に一時1.0480まで下落
〇200日移動平均線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く期待させるチャート形状
〇ファンダメンタルズも過度な日米金利差縮小観測の後退がドル円をサポート
〇ドル円相場の短期的な見通しを、ベア(弱気)からブル(強気)へと変更
〇本日の予想レンジ:151.50ー153.50
海外時間のレビュー
11日(水)のドル円相場は下落後に急反発。(1)米ブルームバーグによる「一部政策委員は12月会合で利上げ提案あれば反対しない見通し」「追加利上げは時間の問題になりつつあると日銀は考えている」とのタカ派的な観測報道や、(2)上記1を背景とした日銀による年内追加利上げ観測再燃が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値151.01まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)同メディアによる「日銀は今月利上げ見送りでも物価加速リスクは大きくないと認識」「円安の物価押し上げリスクは相対的に薄れていると判断」とのハト派的な観測報道や、(4)上記3を背景とした日銀による年内利上げ見送り観測再浮上、(5)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(6)米11月消費者物価指数(結果+2.7%、予想+2.7%、前回+2.6%)の伸び率加速が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値152.86まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/12午前2時20分現在)では、152.42前後で推移しております。
11日(水)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値1.0539まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの残存や、(2)フランスおよびドイツを巡る政治不安、(3)欧州経済を巡る先行き不透明感、(4)ECB理事会を控えたポジション調整、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0480まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/12午前2時20分現在)では、1.0503前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は12/3に記録した約2カ月ぶり安値148.64をボトムに切り返すと、昨日は一時152.86まで急伸しました。この間、日足ローソク足が市場参加者に意識されていた200日移動平均線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く期待させるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による年内利上げ観測の後退(米ブルームバーグは昨日「日銀は今月利上げ見送りでも物価加速リスクは大きくないと認識」「円安の物価押し上げリスクは相対的に薄れていると判断」と報道)や、(2)米FRBによる過度な利下げ期待の剥落、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待、(4)中国政府による本格的な景気対策期待(中国政府は12/9に金融緩和政策への転換と積極的な財政出動を発表)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
本日予定されている米11月生産者物価指数が市場予想を上回る場合や、米新規失業保険申請件数が良好な結果を示す場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円にもう一段強い上昇圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では、ドル円相場の短期的な見通しを、ベア(弱気)からブル(強気)へと変更いたします。尚、本日は上記以外にも、ECB理事会およびラガルドECB総裁記者会見が予定されているため、ECBによるハト派姿勢が明確となる場合には、対ユーロでのドル買い再開→ドル円連れ高の波及経路にも念のため注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:151.50ー153.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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