トルコリラ円見通し ドル/トルコリラは連日史上最安値更新だが、円安の支えで持ち合い放れを試す(12/10)

トルコリラ円の12月9日は概ね4.35円から4.29円の取引レンジ、10日早朝の終値は4.34円で先週末終値の4.32円から0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル/トルコリラは連日史上最安値更新だが、円安の支えで持ち合い放れを試す(12/10)

ドル/トルコリラは連日史上最安値更新だが、円安の支えで持ち合い放れを試す

〇トルコ円、4.29を繰り返しつけ下げ渋るも、ドル円一段高に合わせて12/10未明4.35へ上昇
〇円安継続ならドル円を追いかけ二段目の上昇期に入りやすいか
〇日銀政策決定会合(12/18-19)の追加利上げ動向に要注目
〇対ドル、12/9は概ね34.84から34.59の取引レンジ、高インフレ・緊縮財政等でリラ安継続感強まる
〇アサド政権崩壊、トルコやEUの難民問題が緩和するのか注目
〇4.35超えからは4.36、4.37を順次試す上昇を想定
〇4.33割れを弱気転換注意とし、4.32割れからは下落期入りとみて4.30前後を目指す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の12月9日は概ね4.35円から4.29円の取引レンジ、10日早朝の終値は4.34円で先週末終値の4.32円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は6日夜の米雇用統計発表直後につけた安値149.35円から持ち直し、中国の金融緩和拡大と景気対策への期待が高まったことによるリスク選好感と米長期債利回りの上昇により、10日未明に4日夜高値151.22円を超えて一段高に入り、10日午前も高値をさらに伸ばしている。
トルコリラ円は韓国戒厳令騒動でドル円が急落したことで3日深夜安値4.28円へ急落し、4日夜高値4.35円へ戻した後は4.29円を繰り返し付けながら下げ渋り、6日夜の米雇用統計直後の下落も4.29円で踏みとどまっていたが、10日にドル円が一段高したために10日未明に4.35円へ上昇して4日夜高値に並んだ。
ドル/トルコリラが12月6日と9日に2営業日連続で取引時間中及び終値の史上最安値を更新したことが重石となったことで、ドル円のように4日夜高値超えから一段高へ進めていないものの、円安が継続するならドル円を追いかけてトルコリラ円も二段目の上昇期に入りやすい位置に付けていると思われる。

トルコリラ円は12月3日以降の下げ渋り範囲にあり、4日夜高値を超えて緩やかな二段戻しに入っても、ドル円の上昇が本格化しないことには、11月15日早朝高値4.56円以降の大幅下落一服にとどまって一段安へ進む懸念が拭えない。日銀の金融政策決定会合(12月18-19日開催)で追加利上げ決定の場合や、利上げを見送っても年明けに追加利上げへ踏み込む姿勢を強調すれば円高基調が続きやすくなり、トルコリラ円の上値も現状の4.35円前後の水準から高値を切り上げても4.38円前後までに抑えられるのではないかと思われる。

【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの12月9日は概ね34.84リラから34.59リラの取引レンジ、10日早朝の終値は34.81リラで先週末終値の34.74リラから0.07リラのドル高リラ安だった。
11月29日から12月3日へ3営業日連続で終値ベースの史上最安値を更新し、4日に34.77リラを付けて11月27日安値を超えて取引時間中の最安値を更新してからいったん反発したが、5日から下落再開に入り6日は34.81リラへ取引時間中の最安値を更新、終値も12月3日終値を超えて最安値とした。
週明けもリラ売りの流れは続き、取引時間中及び終値の最安値を2営業日連続で更新した。
トルコリラは4‐6月期と7‐9月期が2期連続マイナス成長=リセッションに陥り、10-12月期も3四半期連続でマイナスとなるのではないかとの懸念、12月3日に発表されたトルコ11月CPI上昇率が前月から鈍化したものの予想を上回り12月26日の次回トルコ中銀金融政策決定会合では利下げが見送られるとの懸念、高インフレ・高金利・緊縮財政によるリラ安継続感が増している。

【アサド政権崩壊、トルコやEUの難民問題が緩和するのか注目】

シリアのアサド政権が反政府勢力の電撃的な侵攻により崩壊、アサド氏はロシアに亡命した。反アサド勢力は元アルカイダやIS(イスラム国)から発生した勢力と、トルコが支援する反政府勢力、クルド人勢力、米国の民兵組織等の混成であり、イスラエルとの戦争でレバノンのヒズボラが疲弊し、ロシアがウクライナ戦争で釘付けとなっている隙をついて一挙に首都ダマスカスを奪取した。米国は関与を否定しているものの、反アサド勢力を支援してきたとみられる。イスラエルはゴラン高原からさらに勢力範囲を伸ばしたようだ。
トルコやEUにとってはシリア難民が帰国して難民問題が落ち着く可能性があるのかが重要となり、トルコはこれまで閉鎖してきた国境検問所を解放して国内難民の帰国を後押ししようとしているようだが、シリアが混迷すれば難民問題解決は滞り、反アサド陣営内の対立や周辺国の対応次第で地政学的リスクは高まりかねないと懸念される。

【60分足サイクル、一目均衡表分析】

【60分足サイクル、一目均衡表分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月3日深夜安値からの戻り一巡により、4日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定した。
9日午前時点では4.33円超えから強気転換注意として4日夜高値4.35円試しとしたが、10日未明に4.35円まで戻したため、6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10日の日中から11日夜にかけての間への上昇を想定する。
ただし、4.33円割れを弱気転換注意とし、4.32円割れからは弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10日未明への上昇で70ポイントを超えた後も60ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が小反落後に一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.33円を下値支持線、4.35円を上値抵抗線とする。
(2)4.33円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.35円超えからは4.36円、4.37円を順次試す上昇を想定する。4.36円以上は反落警戒とするが、4.33円を上回っての推移なら11日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.33円割れを弱気転換注意とし、4.32円割れからは下落期入りとみて4.30円前後を目指してゆく下落を想定する。4.31円以下は買われやすいとみるが、4.32円を下回っての推移なら11日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月10日
 16:00 10月 失業率 (9月 8.6%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 1.6%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -2.4%)
12月11日
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 2.3%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
12月12日
 16:00 10月 経常収支 (9月 +29.88億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月6日時点
12月16日
 17:00 11月 財政収支 (10月 −1862.7億リラ)


注:ポイント要約は編集部

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