中国景気対策期待でリスク選好感、米長期債利回りも上昇で12月4日夜高値超える
〇ドル円、12/10未明に151.34つけ本日午前も高値伸ばし、12/3安値148.64からの上昇二段目に
〇中国景気対策への期待による米長期債利回り上昇が背景
〇米長期債利回りは米CPI控え上昇後、米主要株価指数は反落
〇151円台維持か一時的に割り込んでも回復する内は、151.90台から152円前後を試す上昇を想定
〇150.60割れからはいったん下げに入るとみて150.0前後への下落を想定
【概況】
ドル円は先週末の米11月雇用統計発表直後に149.35円へ下落したものの米雇用統計が決め手に欠く内容だったとして早々に持ち直し、150.0円を挟んだ揉み合いで先週を終えていたが、9日午後からは中国共産党中央政治局が金融政策スタンスを「穏健」から「適度に緩和」に変更したことと、「精力的に消費を喚起し、あらゆる方面で内需を拡大する必要がある」と表明したことをきっかけとした中国景気対策への期待がリスク選好感を増してユーロ、ポンド、豪ドル等が上昇、クロス円全般が上昇する中でドル円も円安ドル高へ進み、米長期債利回りが上昇したことにも押し上げられて10日未明に151.34円を付けて12月4日夜高値151.22円を上抜いた。10日午前序盤はさらに高値を伸ばし始めており、12月3日安値148.64円からの上昇が二段目に入っている。
中国は人民銀が9月後半に預金準備率や政策金利を引き下げ、中国政府が国債増発等を決めたがデフレ型の景気低迷が続いており、9日に発表された11月CPIは前年同月比0.2%と低迷して8月の0.6%以降の低下が続き、PPI前年同月比はマイナス2.5%で2022年10月からマイナスが続いている。トランプ次期政権発足から米中の貿易戦争が激化するとの懸念もあり、中国政府もその対策として内需拡大へ布石を打っていると思われる。金融緩和政策への姿勢について従来の「穏健な」から「適度に緩和」へ変更したのは11年振りであり、財政政策に関しても従来の「積極的な」から「より積極的な」と姿勢を強めている。
ニューヨーク連銀が9日発表した11月消費者調査における期待インフレ率は、1年先が10月の2.9%から3.0%へ、3年先が2.5%から2.6%へ、5年先が10月の2.8%から2.9%へ揃って上昇した。インフレの高止まり感を示しているが、トランプ次期政権発足後の中国に対する10%追加関税や、メキシコ・カナダへの25%の関税等を含め保護主義が輸入インフレを招くとの見方を反映しているようだ。
【米長期債利回りは米CPI控え上昇後、米主要株価指数は反落】
12月9日の米長期債利回りは11日の米CPIの発表を控えて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.06%上昇、30年債利回りは同0.05%上昇、政策金利動向により敏感な2年債利回りは同0.02%上昇の4.13%となった。
11日の米11月CPI,12日の米11月PPIとインフレ指標の発表が続くこと、来週のFOMC(12月17-18日開催)では0.25%利下げ予想が8割を超えているものの、1月からの利下げ見送りや、9月時点で2025年に4回とされていた利下げ回数も3回ないし2回へ減るのではないかとの見方も強まってきている。
米主要株価指数も米CPI等の発表を控えてこれまで繰り返し史上最高値を更新してきた上昇に一服感が出ている。
NYダウは12月4日に史上最高値を更新してから修正安に入っており、先週末比240.59ドル安に終わり5日から3営業日続落した。ナスダック総合指数は一時19872.79を付けて取引時間中の史上最高値を更新してから下落に転じて先週末比123.08ポイント安に終わり、S&P500指数も12月6日に取引時間中の最高値を更新してから上げ渋り、9日は先週末比37.42ポイント安と下落した。
中国の金融緩和拡大や景気対策姿勢がリスク選好感を招いて原油が上昇したことでエネルギー関連株や中国事業比率の高い企業が買われたものの、中国が独占禁止法違反の疑いで米半導体大手エヌビディアを捜査と報じられたことで同社株が下げたことが圧迫要因となった。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は12月3日夜安値148.64円からの反騰が4日夜高値151.22円で一巡となり下落期に入っていたが、6日夜の米雇用統計直後に付けた安値149.35円から持ち直し、中国景気対策期待と米長期債利回り上昇により10日未明への上昇で4日夜高値を超えた。6日夜安値を起点とした上昇期であり、3日夜からの上昇が二段目に入っているため、11月15日以降の下落基調がひとまず落ち着いて戻りを試す流れに入っている印象だ。
12月3日夜から4日夜にかけての上昇幅2.58円と6日夜安値からの上昇幅が同規模と仮定すれば上値目途は151.93円と計測されるので152円前後は戻り売りも出やすいとみる。
目先の高値形成期は10日の日中から11日夜にかけての間とするが、150.60円割れからは弱気転換注意として150.0円前後試しとする。
60分足の一目均衡表では10日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、9本転換線割れから続落の場合は26本基準線試し、さらに遅行スパン悪化を試す可能性があると注意し、その際は先行スパンが下値支持帯となるか注目される。
60分足の相対力指数は10日未明に80ポイントを超えた他後も70ポイント以上を維持しているのでまだ上昇途中とみるが、かなりの買われ過ぎと注意し、65ポイント割れからは50ポイント前後への低下を想定する。相場が小反落後に一段高する際に指数のピークが切り下がるい弱気逆行がみられる場合は反落警戒として50ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.60円を下値支持線、152円を上値抵抗線とする。
(2)151円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は151.90円台から152円前後を試す上昇を想定する。151.90円以上は反落注意とするが、151円を上回っての推移なら11日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)150.60円割れからはいったん下げに入るとみて150.0円前後への下落を想定する。150円以下は買われやすいとみるが、150.60円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
12/10(火)
休場 タイ
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル建て (10月 957.2億ドル、予想 950.0億ドル)
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 4.35%、予想 4.35%)
16:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)改定値 前月比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
22:30 (米) 7-9月期非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
12/11(水)
06:45 (NZ) 7-9月期 製造業売上高 前期比 (4‐6月 0.1%)
08:50 (日) 10-12月期 大企業全産業業況判断指数 (7-9月 5.1)
08:50 (日) 10-12月期 大企業製造業業況判断指数 (7‐9月 4.5)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前年同月比 (10月 3.4%、予想 3.4%)
22:30 (米) 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 2.6%、予想 2.7%)
22:30 (米) 11月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前月比 (10月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 コアCPI(食品エネルギー除く) 前年同月比 (10月 3.3%、予想 3.3%)
23:45 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 3.75%、予想 3.25%)
24:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -2575億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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