中国の景気対策期待と米国のインフレ期待の組み合わせで一時151円台前半まで急上昇
〇ドル円、米国時間午後にかけ151.31まで上昇、底堅い推移
〇日経平均の堅調、中国の金融緩和策への転換、NY連銀の期待インフレの上方修正等が背景
〇ユーロドル、中国発のリスクオン、欧州株の堅調推移等に一時1.0595まで上昇
〇ドル円、テクニカルには200日線が位置する152.00付近で上値が重くなる公算大
〇ファンダメンタルズも、円キャリートレードの巻き戻し懸念等が重石に
〇中国政府による景気対策期待(金融緩和+財政出動)の賞味期限は短いか
〇引き続き、ドル円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:150.50ー152.50
海外時間のレビュー
週明け9日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値149.69まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移や、(2)中国共産党・中央政治局による「適度に緩和的な金融政策を実施」「来年はより積極的な財政政策を行う」とのサプライズ的な方針転換(金融政策スタンスを14年ぶりに「穏健」から「適度に緩和」へ変更)、(3)上記1、2を背景としたリスク選好の円売り圧力、(4)ニューヨーク連銀調査における1年先期待インフレ率(結果3.0%、前回2.9%)および、3年先期待インフレ率(結果2.6%、前回2.5%)および、5年先期待インフレ率(結果2.9%、前回2.8%)の上方修正、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、米国時間午後にかけて、高値151.31まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/10午前2時10分現在)では、(訂正×150.29→)151.29前後で推移しております。
週明け9日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクを背景に、アジア時間午後にかけて、安値1.0532まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(2)中国共産党・中央政治局による「適度に緩和的な金融政策を実施」「来年はより積極的な財政政策を行う」との方針転換や、(3)ECB理事会を控えたポジション調整、(4)欧州株の堅調推移が支えとなり、米国時間午後にかけて、高値1.0595まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/10午前2時10分現在)では、1.0570前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏12月投資家信頼感指数(結果▲17.5、予想▲12.3)は市場予想を下回る結果となりましたが、ユーロ売りでの反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は12/3に記録した約2カ月ぶり安値148.64をボトムに切り返すと、昨日は一時151.31まで反発しました。但し、上方より複数のレジスタンスラインが垂れ下がってきていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(200日線が位置する152.00付近で上値が重くなる公算大)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による年内追加利上げ観測の残存(先週はハト派で知られる中村豊明日銀審議委員より「利上げに反対しているわけではない」とのタカ派的な発言あり)や、(2)米FRBによる年内追加利下げの織り込み加速(次回FOMCでの利下げ織り込み度合が1週間前の61.6%から足元85.8%へ急上昇)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの巻き戻し懸念、(4)トランプ・トレード(米債売り・米ドル買い)からベッセント・トレード(米債買い・米ドル売り)へのテーマシフトなど、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
昨日は中国政府による景気対策期待(金融緩和+財政出動)を背景に、リスク選好ムードがグローバルに広がりましたが、こうした期待はトランプ新政権下の関税リスクと相殺される恐れがあるため、賞味期限は短い(一方的なリスクオンには繋がらない)と判断できます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、今週より既にブラックアウト期間に入っているため、本日も米当局者発言は予定されておりません。また経済指標についても特段重要度の高いものが予定されていないため、アジア時間・欧米時間を通して、方向感に欠ける値動きとなりそうです。
本日の予想レンジ:150.50ー152.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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