「ユーロは短期的には横方向のもみあい」(週報12月第2週)

ユーロドルは週末クローズにかけてはユーロ売り・ドル買いの地合いで一週間を終えています。

「ユーロは短期的には横方向のもみあい」(週報12月第2週)

ユーロは短期的には横方向のもみあい

〇先週のユーロドル、週初安値1.0462レベルから金曜雇用統計までは一貫して買い戻し続く
〇週末クローズにかけ、ユーロ売り・ドル買いの地合いで一週間を終える
〇次回ECB、市場は0.25%ずつ下げていく緩やかな利下げペースがコンセンサス
〇金曜高値1.0629レベル明確に上抜けると、1.0685レベル下降中のレジスタンスラインまでの上昇も
〇抜けられない場合は改めて先週初の安値1.0462レベル試す展開
〇今週は1.0480レベルをサポート、1.0620レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週初こそフランスのバルニエ首相不信任の可能性が高まったことで下げて始まりましたが安値1.0462レベルと思ったほどの下げにはつながりませんでした。バルニエ首相の不信任と内閣総辞職もある程度予想されていたということもあったのでしょう、また予算案に対して極右RNが通す方向での動きを見せたこともあり、週初安値から金曜雇用統計までは一貫して買い戻しが続きました。

米国雇用統計では強い数字であったにも関わらずドル円が大きく下げ、それに引っ張られてユーロ円が下げたことが大きいのですが、ユーロドルは週末クローズにかけてはユーロ売り・ドル買いの地合いで一週間を終えています。

今週は欧州関連の材料はECB理事会とその後のラガルト総裁会見程度しかありませんが、逆にECB理事会に対しての注目度は高まりそうです。今回のECB理事会では欧州のインフレ率が落ち着いてきていること、景気悪化懸念に加え独仏の政局が不透明な状態にあること、以前から続く地政学的リスクなどを考えると0.5%の大幅利下げもあり得るという見方もあります。

しかし、ECBの主要メンバーはそこまでハト派な見方をするとも思えず、0.25%ずつ下げていく緩やかな利下げペースを続けるというのがコンセンサスです。実際にECB関係者の多くも段階的な利下げを行うことで影響を精査でき、大幅な利下げは悲観的という印象を与えかねないと発言しています。現状ECBのいわゆる政策金利は中銀預金金利と異なる下げ幅となって来ていることもあって以前の中銀預金金利で見た方が良いと思いますが、今回0.25%下げると3.0%となり、年明け以降も緩やかな利下げを続け、2.5%まで下げて様子見という流れになると考えられます。

既に金利市場では0.25%利下げの織り込み度は90%あることを考えると、サプライズが無ければECB理事会での大きな動きはあまり期待できないということになりそうです。他の材料としては来週のFOMCを前に米国CPIが重要指標となりますが、ECB理事会とラガルド総裁会見に挟まれる時間帯となるため、ユーロに関しては動きにくいと言えそうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロは短期的には横方向のもみあい

先週引いた年初来高値から想定される平行下降チャンネル内での動きは続けていますが11月後半からの逆ヘッド&ショルダー(水色点線)もあり、ネックライン(先週金曜高値)を明確に上抜けてくると上側のレジスタンスライン(現在1.0685レベルを下降中)までの上昇があるという見方になるでしょう。逆に抜けられない場合は改めて先週初の安値1.0462レベルを試す展開です。

ただ、どちらも抜けられない横方向の動きとなる可能性が最も高そうで、今週は1.0480レベルをサポートに、1.0620レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円日足のチャートを見ておきます。

ユーロは短期的には横方向のもみあい 2枚目の画像

あまり綺麗では無いものの現在はピンクのラインを引いたサポートとレジスタンスの中で戻りの限界点として10月高値と12月安値の38.2%戻しとなる160.18に重なる160円の大台の上値が重たいという認識です。いっぽうでサポートはそのままサポートラインで良さそうです。

ただ中期的にはユーロの悪材料が多く、ドル円の上値も重くなってきていることから、年内に年初来安値を試しに行く展開も十分にありうると見ています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月9日(月)
 (特になし)

12月10日(火)
16:00 ドイツ11月CPI

12月11日(水)
 (特になし)

12月12日(木)
09:01 英国11月住宅価格
17:30 スイス中銀政策金利発表
22:15 ECB理事会 ☆
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆

12月13日(金)
09:01 英国12月消費者信頼感
16:00 ドイツ10月貿易収支
16:00 英国10月貿易収支、鉱工業生産
16:45 フランスCPI

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月2日(月)
ユーロドルはこれまでの景気悪化、ドイツの政局、地政学的リスクに加えフランスの政局も材料に加わりました。これはバルニエ首相が予算案可決のため議会での採決を回避し、憲法上の特殊な規定での可決を目指したため、左派連合と極右は反発、不信任案が提出され内閣総辞職の可能性が高まりました。不信任投票は早ければ4日に行われる予定で、フランスの政局も一気に流動的となってきました。総選挙は来年7月までは実施できませんが、逆に長期にわたって空転するリスクが高まってきたことで、ユーロの更なる売り材料が加わりました。

12月3日(火)
ユーロドルは東京市場では小動き、欧州市場に入ってからは週明け以降のユーロ売りに対するポジション調整からやや水準を上げ、その後は1.05台前半での小動きもみあいのままNYを引けました。

12月4日(水)
ユーロドルは多少の上下を挟みながらNY市場前にはドル買いの動きから1.04台後半へと下押ししましたが、その後1.05台半ばへと反発後にやや押して引けました。フランスではバルニエ首相の不信任が可決されマクロン大統領は新たな首相を指名するものの、上位3党が3つ巴状態で今回も難航する可能性が高く、ユーロにとっては新たな悪材料となりました。

12月5日(木)
ユーロドルはフランスのバルニエ首相は辞任したものの極右RNが予算案可決に積極的な姿勢を示したことからユーロ買いの動きとなり、1.0589レベルまで上昇し高値引けとなりました。

12月6日(金)
ユーロドルはNY市場まで動かず、指標後のドル売りの動きから一時1.0629レベルの高値をつけたものの、ドル円の下げとともにユーロ円も大きく下げる展開となったことからユーロドルは1.0542レベルの安値をつけ上値が重たい流れのまま引けました。


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