『南アGDPはマイナス成長を記録。来週は南アフリカのインフレ指標に注目』
〇今週の南ア円、週明け早々週間安値8.18まで下落
〇南ア指標の不冴え、金、プラチナ価格の軟調、ムーディーズの格付け据え置き等が重石
〇週末にかけてはドル円の持ち直し、南アPMIの良好な結果等に一時8.36まで反発
〇南ア円、日足が主要テクニカルポイント下抜け、強い売りシグナルも成立、テクニカルの地合い悪化
〇トランプ次期大統領の課税リスク、南ア経済の先行き不透明感、中銀追加利下げ観測等が重石
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.15ー8.45
今週のレビュー(12/2−12/6)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.29円で寄り付いた後、(1)南ア11月製造業PMI(結果48.1、前回52.6)のネガティブサプライズ(好不況の分岐点50割れ)や、(2)ドル円相場の冴えない動き(南アランド円連れ安)、(3)直近安値ブレイクに伴う仕掛け的な南アランド売り・円買いが重石となり、週明け早々に、週間安値8.18円(9/20以来の安値圏)まで下落しました。その後も、(4)南ア7ー9月期GDP(結果▲0.3%、予想+0.4%)の市場予想を下回る結果や、(5)金・プラチナ価格の軟調推移、(6)格付け会社ムーディーズによる投機的等級「Ba2」の据え置き決定(南ア経済の低迷状態が当面の間続く公算が大きいとの判断)が上値を抑え、暫くは安値圏での不冴な動きが継続しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(7)ドル円相場の持ち直し(南アランド円連れ高)や、(8)南ア11月スタンダード銀行PMI(結果50.9、前回50.6)の良好な結果(好不況の分岐点となる50超え)、(9)南ア7ー9月期経常収支(結果710億ZAR赤字、前回750億ZAR赤字)の赤字幅縮小が支えとなり、週末にかけて、週間高値8.36円まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/7午前1時15分現在)では、8.29円前後で推移しております。
来週の見通し(12/9−12/13)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週初に、一時8.18円(9/20以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(市場参加者に意識されていた90日線や200日線)を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トランプ次期大統領による関税戦争の顕在化懸念(来年9月末に有効期限を迎えるAGOAから南アフリカが除外される恐れ)や、(2)南ア経済の先行き不透明感(今週発表された南アPMIが好不況の分岐点となる50を下回った他、南アGDPも前期比マイナス成長を記録)、(3)南ア中銀による追加利下げ観測(先月発表された南アCPIは、南ア中銀が設定するインフレターゲットレンジ3.0%ー6.0%の中央値である4.5%を大幅に下回る2.8%まで急低下)、(4)西側諸国との関係悪化懸念など、南アランド円相場の続落を連想させる材料が揃っています。
来週予定されている南アフリカのインレフ指標(CPIやPPI)が市場予想を下回る場合には、上記3(南ア中銀による追加利下げ観測)を背景に、南アランドに強い下押し圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は上記インフレ指標以外にも、南ア11月SACCI景況感指数や、南ア10月製造業生産、南ア10月小売売上高などが予定されております。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.15ー8.45
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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