『リセッションと高インフレの二重苦で弱含み。来週も続落リスクに要警戒』
〇今週のトルコ円、週前半4.27まで下落するも、週央にかけ4.36まで反発
〇トルコ指標の好調、ドル円の持ち直し等が背景
〇引けにかけては反落し、4.31前後での推移
〇トルコ円、主要テクニカルポイント下抜け、買いシグナルも消失、地合い悪化
〇ファンダメンタルズもトルコのリセッション入り、外人投資家の資金流出等が重石に
〇トルコリラ円相場に対する短期的な見通しを、ブル(強気)からベア(弱気)へと変更
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.15ー4.45
今週のレビュー(12/2−12/6)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.31円で寄り付いた後、翌12/3にかけて、週間安値4.27円(10/4以来の安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)トルコ11月製造業PMI(結果48.3、前回45.8)の良好な結果(好不況の分岐点50を8ヵ月連続で下回ったものの、前月からは大幅改善)や、(2)トルコ11月消費者物価指数(結果+47.09%、予想+46.60%)の市場予想を上回る結果(トルコ中銀による年内利下げ観測後退→トルコリラ買い)、(3)ドル円相場の持ち直し(トルコリラ円連れ高)、(4)トルコ株の堅調推移(トルコの主要株価指数であるイスタンブール100種は9/26以来の高値圏へ急上昇)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値4.36円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間12/7午前1時30分現在)では、4.31円前後で推移しております。
来週の見通し(12/9−12/13)
トルコリラの対円相場は、11/15に記録した約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約2ヵ月ぶり安値となる4.27円(10/4以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」や「ダウ理論の上昇トレンド」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります(対ドル相場は史上最安値を連日で更新)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(11/29に発表されたトルコ7ー9月期GDPが2四半期連続のマイナス成長を記録したことでトルコ経済はリセッション入り)や、(2)トルコ中銀による利下げ開始時期の後ずれ観測(今週発表されたトルコCPIが市場予想を上回ったことで、トルコ中銀による年内利下げ観測が後退→トルコ中銀は昨年6月以降4150bpの利上げを実施し、本年3月以降は政策金利を50%で連続据え置き→トルコ経済がリセッション入りする中での金融引き締めはトルコ経済の更なる下押し要因)、(3)上記1、2を背景とした外国人投資家による資金流出圧力、(4)ドル円相場の冴えない動き(円キャリートレードの巻き戻しリスク→ドル円・クロス円下落→トルコリラ円連れ安)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
一目均衡表雲下限を下抜けできれば、トルコリラがもう一段下げ足を速めるシナリオ(状況次第では9/16に記録した史上最安値4.10円を試すシナリオ)も想定されるため、当方では、トルコリラ円相場に対する短期的な見通しを、ブル(強気)からベア(弱気)へと変更いたします。尚、来週は12/10に予定されているトルコ10月失業率や、トルコ10月鉱工業生産、12/11のトルコ10月小売売上高、12/12のトルコ10月経常収支に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.15ー4.45
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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