ドル/トルコリラは史上最安値更新、円高圧力続き三角持ち合いの様相
〇トルコ円、米雇用統計直後に4.29へ下落したところを買われ、12/7早朝4.32まで買い戻される
〇対ドル、12/6は概ね34.81から34.49の取引レンジ、年末為替レート予想の35.7205を目指すか
〇高インフレ、高金利、緊縮財政、リセッション入り、地政学的リスクがトルコ景気の重石に
〇4.33超えからは4.35前後への上昇を想定
〇4.29割れからは4.27前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の12月6日は概ね4.33円から4.29円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.32円で前日終値と同値だった。週間でも11月29日終値と同値に留まった。
ドル円は韓国の戒厳令騒動で3日深夜に148.64円へ急落してから4日夜に151.22円まで反騰したが、戻り一巡で失速し、5日午後は中村日銀審議員が12月利上げの可能性を排除しない姿勢を示したことで149.64円へ下落し、その後は150円を挟んだ揉み合いに入り、6日夜の米雇用統計発表直後に149.35円まで安値を切り下げてから目先の売り一巡で持ち直し、7日早朝にかけては150円を挟んだ揉み合いとして149.95円で週を終えた。
トルコリラ円はドル円を追いかけて3日深夜安値4.28円から4日夜高値4.35円へ戻し、ドル円の反落で5日午後に4.29円へ下落したが、その後は戻り高値を切り下げつつ4.29円で買われており、6日夜の米雇用統計直後に4.29円へ下落したところも買われて7日早朝に4.32円まで買い戻された。
ドル円と同様に12月3日夜安値割れから一段安へ進むのか、4日夜高値を超えて二段上げ型のリバウンドへ進むのか試されるところだが、11月19日安値4.43円から11月20日夜高値4.52円まで戻した後の失速時に三角持ち合いを形成して下げ渋った状況に近い印象もあるため、4.29円割れから安値を徐々に切り下げ始める場合は3日夜安値4.28円試しとし、底割れからは11月15日早朝高値からの下落が三段目に入り、7月3日からの下落時並みに発展する可能性もあると注意したい。
【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの12月6日は概ね34.81リラから34.49リラの取引レンジ、7日早朝の終値は34.74リラで前日終値の34.68リラから0.06リラのドル高リラ安だった。
11月29日から12月3日へ3営業日連続で終値ベースの史上最安値を更新し、4日に34.77リラを付けて11月27日安値を超えて取引時間中の最安値を更新してからいったん反発したが、6日午前序盤に34.78リラへ下落して取引時間中の史上最安値を更新し、7日早朝に34.81リラへ続落した。日足終値も12月3日終値34.71リラを超えて最安値更新とした。
11月に入ってから徐々にリラ安の勢いが増しており、11月15日にトルコ中銀が公表した月次ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップによる市況予想)における2024年末為替レート予想の1ドル35.7205リラを目指している印象だ。
12月3日に発表されたトルコ11月CPI上昇率が前月から鈍化したものの予想を上回ったことで12月26日の次回トルコ中銀金融政策決定会合では利下げが見送られると予想されているが、高インフレ・高金利・緊縮財政とリラ安がトルコ景気を圧迫しており、11月29日発表の7‐9月期GDP前期比が2四半期連続でマイナスとなりリセッションに陥ったことと、10-12月期もマイナス成長に留まるとの見方も引き続き重石となっている。
レバノン停戦合意は守られておらず戦闘が続いていること、シリアでは反政府勢力が攻勢をかけ、ウクライナではロシア軍の侵攻が強まるなど近隣の地政学的リスクが増していることに加え、トランプ次期米政権の保護主義政策がトルコ経済への影響を及ぼしかねないとの懸念もリラ売り要因になっていると思われる。トランプ前政権時代の2017年1月から2020年1月にかけては、ドル円が下落基調で推移する一方でドル/トルコリラはドル高リラ安基調で推移した。
【60分足サイクル、一目均衡表分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月3日深夜へ一段安してからの反騰により3日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、4.30円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、5日夕に4.30円をいったん割り込んだために6日午前時点では4日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定した。
4.29円で買われているものの戻り高値切り下がり基調のためまだ一段安余地ありとするが、4.33円超えからは強気転換注意として4日夜高値4.35円試しとする。
60分足の一目均衡表では4日夜高値以降を三角持ち合いの様相で推移しているため、6日夜高値4.33円超えからは反騰継続の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、4.29円割れからは持ち合い下放れに入るため下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日夜の上昇時に70ポイントへ到達してから6日午前に30ポイント台序盤へ低下し、その後は50ポイントを挟んで方向感を欠いている。60ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント前後試しとするが、次の40ポイント割れからは下向きとし、30ポイント割れからは10ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.29円を下値支持線、4.33円を上値抵抗線とする。
(2)4.29円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.33円超えからは4.35円前後への上昇を想定する。4.35円前後は反落警戒とするが、4.32円を上回っての推移なら10日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.29円割れからは4.27円前後への下落を想定する。4.27円以下は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は4.26円から4.25円を順次試す下落を想定し、10日も続落しやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月10日
16:00 10月 失業率 (9月 8.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 1.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -2.4%)
12月11日
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 2.3%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
12月12日
16:00 10月 経常収支 (9月 +29.88億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月6日時点
12月16日
17:00 11月 財政収支 (10月 −1862.7億リラ)
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.12
東京市場のドルは152円台半ばまで値を戻す、日銀利上げ観測後退で円安推移か(24/12/12)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本銀行による12月の金融政策決定会合での利上げ観測が後退したことからドルは152円台半ばまで値を戻した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.12.12
ドル円 ドルの上値展望拡大か、米指標に本日も注目(12/12夕)
東京市場は行って来い。一時ドル安が進行するも、元のレベルへと持ち直している。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.12.12
ドル円152円台前半、151円台は買い支えられ底堅い動き (12/12午前)
12日午前の東京市場でドル円は下落後に小幅反発。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.09
トルコリラWeekly 11月CPI強く利下げ観測後退、トルコリラは売り一服(24/12/9)
先週のトルコリラは、日銀による利上げ観測で円買いが強まる一方、良好な経済指標を材料に下げ止まる展開となった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
トルコリラ円週報:『リセッションと高インフレの二重苦で弱含み。来週も続落リスクに要警戒』(12/7朝)
トルコリラの対円相場は、今週前半にかけて、約2ヵ月ぶり安値となる4.27円(10/4以来の安値圏)まで急落しました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。