ドル円 レンジは継続か、ただそのなかで乱高下も(週報12月第2週)

先週のドル/円相場はドルが底堅い。ザラ場ベースでは一時148円台まで値を下げたものの、週足は陽線で大引けている。

ドル円 レンジは継続か、ただそのなかで乱高下も(週報12月第2週)

レンジは継続か、ただそのなかで乱高下も

〇先週のドル円、一時148円台まで値を下げるも、週足は陽線で大引けと底堅い
〇週末12/6の米雇用統計はNFP改善するも、失業率悪化が懸念されドル売りに寄与する内容
〇今週も、149-151円を中心としたレンジからの脱却に注目
〇150円台から151円台へと達する先行帯の雲上限を日足が下回ると、強気派にとってはマイナスか
〇市場は12月日米金融政策に注目、韓国やシリア情勢も波乱要因
〇ドル高円安方向、150.70-80あたりが短期的な抵抗、抜ければ先週高値151.23、152円目指す
〇ドル安円高方向、先週末安値149.37がサポート、下回ると90日線近付く先週安値148.65ターゲット
〇今週のドル円予想レンジ:148.50-152.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが底堅い。ザラ場ベースでは一時148円台まで値を下げたものの、週足は陽線で大引けている。

前週末は、ロシア国防相が訪朝し、金総書記らと会談を行ったことが明らかに。一方、台湾総統が外遊のなかでハワイに立ち寄ったことが伝えられ、中国がそれにクレームをつけたと報じられている。
そうした状況下、ドル/円は149円半ばで寄り付いたものの、しばらくは方向性が乏しく揉み合い。150円を挟んだ1.5円ほどの値動きをたどるなか、底割れし約1ヵ月半ぶりの148円台を示現。しかし、目先の底値を確認した格好でドルは反発に転じると、一転して週間高値の151.23円まで右肩上がり。ただドルは高値も維持できず、発表される米雇用統計などを受け乱高下のすえ結局週末NYは150円前後で推移し取引を終えていた。
なお、それとは別に、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは史上初の10万ドル台を達成している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「仏韓政治情勢」と「米金融政策」について。
前者は、週明け早々の2日にフランス首相が「予算案の議会通過へ強硬手段を発動」させたことに野党サイドが反発。最終的には、野党を中心とした不信任決議案が可決され、バルニエ首相が辞任を表明している。同時に内閣も総辞職となり、近く新首相が指名されることになったが、マクロン大統領は辞任を否定。続投する方針を明らかにしていたが、それに不満を抱く向きも多く、今週も火種はくすぶりそうだ。一方、それとは別に韓国政治情勢も大混乱。きっかけとなったのは、3日に尹大統領が発した「緊急の『戒厳令』宣言」。わずか2時間半ほどで戒厳令そのものは解除されたが、政治的な混乱は収まらず。「韓国大統領府の首席秘書官らが一斉に辞意を表明」したうえ、韓国最大野党が尹大統領に退陣要求を行い、「応じなければ弾劾手続きに入る」との宣言も聞かれていた。なお、後者の大統領の弾劾訴追案の可否が7日に行われたが、不成立で目先の危機はなんとか乗り切ったようだ。

対して後者は、先週も米金融政策をにらみ右往左往。週明けにウォラーFRB理事が「12月のFOMCは利下げに傾く」と発言し為替市場もドル売りに傾斜したが、翌3日にはサンフランシスコ連銀総裁が「12月の利下げは確実ではないが、政策当局者の選択肢としては残っている」と発言。内容的に一歩後退したとの見方も少なくなく、逆にドル買戻しの一因になるなど、方向性がコロコロ変わる猫の目相場の様相だった。さらに、4日にはパウエルFRB議長から追加利下げのペースを慎重に判断するとの考えが示唆されるなか、週末6日には注目の米雇用統計の発表が。非農業部門雇用者数は改善したものの、失業率の悪化が懸念され、トータルとすればドル売りに寄与する内容となっていた。

<< 今週の見通し >>

米サンクスギビングデーも終わり、市場はいよいよクリスマスそして年末年始モードへと入ってきたようだ。そのため、「薄商い=荒っぽい値動き」となっているようだ。今週も乱高下には注意を払いたい。しかし、値動きそのものは確かに荒っぽく、なかなか激しい上下動をたどっているが、しっかりとした方向性にはやや欠ける。実際、先週は週の半ばにかけて形成した148.65-151.23円という3円にも満たないレンジ取引で、週末の米雇用統計発表後も、同レンジを抜けていくことは出来なかった。今週もまずは149-151円を中心としたレンジからの脱却に注目だろう。

12月の日米金融政策発表が注目されているものの、市場の見方は二転三転しており、多くの参加者が予想する「確定した見通し」にはなっていないようだ。米国については前述したとおりであるし、日本についても植田日銀総裁や中村日銀審議委員の発言を受け、思惑が変化し一喜一憂するという展開になっている。よって、今週も引き続き発表される指標や、中銀関係者などによる要人発言にしっかりと注意しておきたい。また「尹大統領の弾劾」こそ免れたが、まだまだ予断を許さない韓国情勢や、週末に急展開のあったシリア情勢なども、場合によっては波乱要因となりかねない気がしている。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は移動平均の21日線や200日線が抵抗として寄与している反面、90日線がサポートとして下値を支えている感もある。ちなみに200日線は週間を通して152円前後で推移する反面、90日線は週明けの148.30円台から週末には148円半ばへと達する公算が大きい。果たしてどちらを抜けるのか注目だ。

一方、一目均衡表ではこれまでドルの下値を支えてきた先行帯の雲の上限が150円台から151円台へと達することになる。したがって、さすがに日足が同上限を下回ってきそうで、強気派にとっては若干イヤな雰囲気か。

そうしたなか今週は、11月の消費者物価指数などの米経済指標が発表される予定だ。また日本の7-9月期GDP統計改定値、中国の11月消費者物価指数など米国以外でも重要とされる指標発表は少なくない。さらに、豪州やECBによる政策金利の発表も実施される予定となっている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.50-152.00円。ドル高・円安については、150.70-80円あたりが短期的な抵抗となりつつある。まずは同レベルの攻防に注目だ。抜ければ先週高値の151.23円、そして152円を目指す。
対してドル安・円高方向は、先週末安値の149.37円が最初のサポートか。しっかり下回ると週末には90日線も接近する先週安値の148.65円がターゲットに。

レンジは継続か、ただそのなかで乱高下も

ドル円日足


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