トルコリラ円見通し 円高とリラ安で11月15日早朝以降の安値更新(24/12/3)

トルコリラ円の12月2日は概ね4.34円から4.29円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.31円で先週末終値の4.32円から0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高とリラ安で11月15日早朝以降の安値更新(24/12/3)

円高とリラ安で11月15日早朝以降の安値更新

〇昨日のトルコ円、ドル円追いかけ午後に4.34まで戻してから本日未明に4.29へ一段安
〇ドル円の下落基調、対ドルでのリラ安、貿易赤字拡大、製造業PMI不冴え等がリラ安要因に
〇対ドル、12/2は概ね34.74から34.51の取引レンジ、終値の史上最安値を2日連続更新
〇本日発表のトルコ11月CPI、鈍化が顕著なら中銀利下げに寄与
〇4.29割れからは4.27前後への下落を想定
〇4.32超えから続伸の場合は4.34前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の12月2日は概ね4.34円から4.29円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.31円で先週末終値の4.32円から0.01円の円高リラ安だった。
ドル円が11月15日午前高値156.74円から下落に転じ、28日未明に150.46円へ続落してから152円手前までいったん戻したものの29日午前から一段安に入り、30日未明に149.46円まで安値を切り下げたため、トルコリラ円もドル円の下落を追いかけて11月15日早朝高値4.56円から下落に転じ、28日未明に4.34円へ急落してから28日夜に4.39円までいったん戻したものの、30日未明安値4.30円へ一段安した。
週明けのドル円は午後にかけて150.74円まで戻してから3日未明に149.07円へ下落して11月15日以降の安値を更新し、トルコリラ円も午後に4.34円まで戻してから3日未明に4.29円へ一段安となった。

ドル円は再来週の日銀追加利上げへの警戒感と共に、トランプ次期大統領の保護主義・関税強化姿勢に対するリスク回避感から円高ドル安優勢の流れを続けており、3日未明にかけて仏政局不安や米ISM製造業景況指数の改善等によりユーロやポンドが下落してドルストレートではドル高優勢の流れとなったものの、ドル円は円高が勝ったことで下落基調を続けている。
トルコリラ円はドル円の下落基調を追いかけつつ、ドル/トルコリラでも2営業日連続で終値ベースの史上最安値を更新してリラ安が加速していることも重石となっている。ドル円と共にトルコリラ円は9月16日以降の上昇トレンドから転落しているため、当面は戻り売り有利の展開で安値試しを続けやすい状況と思われる。

【ドル/トルコリラは終値の史上最安値を2日連続で更新】

ドル/トルコリラの12月2日は概ね34.74リラから34.51リラの取引レンジ、3日早朝の終値は34.70リラで先週末終値の34.69リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
11月27日に34.76リラへ取引時間中の史上最安値を大幅に更新し、日足終値ベースでも22日から27日へ4営業日連続で最安値を更新し、28日は下落一服としていたものの、先週末の29日から週明けの2日へ2営業日連続で終値最安値を更新した。

トランプ次期米大統領がBRICSの脱ドル化が進むなら100%関税を課すと自身のSNSに投稿しており、すでに表明しているメキシコ・カナダへの25%関税や中国への10%関税等による保護主義・貿易戦争化への懸念拡大に加え、フランス政局不安等によりユーロやポンド等が下落してドル高が進んだことにトルコリラも圧迫されている。
先週の7‐9月期GDPが前期比0.2%減となり4‐6月期の0.2%減から2四半期連続のマイナス成長=リセッション入りとなった事に加え、2日発表の貿易赤字の拡大やイスタンブール製造業PMIが冴えない数字だったこともリラ売り要因だった。

12月2日にトルコ貿易省が発表した11月貿易速報では、貿易収支が74億ドルの赤字となり赤字額は10月の57.5億ドルから拡大した。輸出は223.0億ドルで10月の236.0億ドルから減少、輸入は296.0億ドルで10月の294.0億ドルから減少した。
11月のイスタンブール製造業PMIは48.3となり10月の45.8を上回り9月から2か月連続で改善したが、4月以降は強弱分岐点の50を下回っている。

【トルコ11月CPI、鈍化が顕著なら中銀利下げに寄与】

12月3日16時にトルコ統計局が11月のインフレ指標を発表する。
11月のCPI(消費者物価指数)上昇率についての事前予想は前月比1.91%(予想レンジは1.70%〜2.30%)で10月の2.88%から鈍化すると見込まれ、前年同月比も46.60%と予想されて10月の48.58%から鈍化すると見込まれている。
インフレの鈍化が顕著にならないうちはトルコ中銀の金融引き締め=50%での政策金利据え置きが続くと予想されるが、11月のCPIが予想よりも鈍化する場合には早期利下げ開始への期待感が増すと思われる。
特にコアCPI(10月の前月比1.29%、前年同月比47.8%)が顕著に鈍化するか注目される。

【60分足サイクル、一目均衡表分析】

【60分足サイクル、一目均衡表分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月28日未明安値から28日夜へいったん戻してから29日午前の下落で28日未明安値へ迫ったため、29日午前時点では28日未明安値を直近のサイクルボトム、28日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクルとして12月3日未明から5日未明にかけての間への下落を想定した。
3日未明へ一段安してからも下げ渋り程度のためまだ下落余地ありとするが、2日午後高値4.34円超えからは強気サイクル入りとして3日午後から5日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2日午後の反発時には先行スパン下限に届かずに一段安しているため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。先行スパンへ潜り込むところから反騰継続の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2日午後に60ポイントへせまってから30ポイント近辺へ低下したため50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとして30ポイント割れからは10ポイント台後半への低下を想定するが、55ポイントを超えるところからは反騰継続とみて60ポイント台前半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.29円を下値支持線、4.33円を上値抵抗線とする。
(2)4.33円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.29円割れからは4.27円前後への下落を想定する。4.27円以下は反騰注意とするが、4.33円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.32円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、4.32円超えから続伸の場合は4.34円前後への上昇を想定し、4.34円に到達した後も4.32円を上回っての推移なら4日は高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月3日
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 2.88%、予想 1.91%)
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 48.58%、予想 46.60%)
 16:00 11月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前月比 (10月 1.29%)
 16:00 11月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (10月 47.8%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.29%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 32.24%)
12月5日
 20:30 外貨準備高 グロス 11月29日時点 (11月22日時点 907.4億ドル)
 20:30 外貨準備高 ネット 11月29日時点 (11月22日時点 608.8億ドル)
12月10日
 16:00 10月 失業率 (9月 8.6%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 1.6%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -2.4%)


注:ポイント要約は編集部

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