ユーロドル引き続き下落傾向(週報2017年1月第二週)

先週ユーロドルは、年始に週安値の1.0339を付けた後、徐々に高値・安値を切り上げる形で、週末6日に 週高値の1.0622まで戻しました。

ユーロドル引き続き下落傾向(週報2017年1月第二週)

ユーロドル:1月2日からの先週

先週ユーロドルは、年始に週安値の1.0339を付けた後、徐々に高値・安値を切り上げる形で、週末6日に
週高値の1.0622まで戻しました。ただ、その後の12月米雇用統計の結果1.05台へ下押して引けています。

3日は、2016年年末を1.0518水準で引けたユーロドルは、年始3日を1.0450水準でギャップダウンで取引を開始し、アジア時間では1.0454から3日高値の1.0490の間で上下し、欧米時間に入り、3日安値の1.0339まで下落後、1.0434まで上昇し1.0403で引けました。この日は英国の駐欧州連合(EU)大使の辞任を受けて、ユーロ売り優勢でした。

4日は、東京時間は4日安値の1.0390から1.0424の間でもみ合い。海外時間に入り4日高値の1.0500まで上昇して1.0490で引けました。米国債利回りの低下によるドル売りがユーロのショートカバーを誘発している模様で、終日じりじりとユーロは値を切り上げていく一日でした。

5日は、前日の引け1.0490で始まり1.0575まで上昇するも、欧州時間に入り5日の安値1.0483まで下押しました。NY時間に入り5日の高値1.0615まで上昇して1.0606で引けました。年初の1.03台から見て1.06台を回復と300bpの値幅です。

6日は、前日引けの1.0606の水準で始まり、その後はじりじりと高値・安値を切り下げ、6日安値の1.0524を付けて1.0532で引けています。NY時間に入って注目の米雇用統計前に一時6日高値の1.0622まで上げましたが米長期金利の上昇とともにドル買いが加速すると1.05台へ下押しました。

ユーロドル:1月9日からの今週

ポイント:ECBの金融政策の見極めをする時間

CME通貨先物ポジション状況:1月3日時点
   (1月3日)   (12月27日)   (12月20日)
円     ▲86764   ▲87009   ▲75449 
ユーロ  ▲70056  ▲69408   ▲78045 
ポンド  ▲64742   ▲57099   ▲59350 

シカゴIMM:短期投機・投資家によるユーロの売り持ち高は前週からやや増加。
過去最高の買い持ち高は、2007年5月15日 +119,538、
過去最高の売り持ち高は、2010年2月9日 -57,152

シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
11.28(-0.39)VIX指数は下落しての引け。米株の底固さからリスク志向の動きが意識されました。
2016年最大は32.09、過去最大は2014年の31.06、過去最安は1993年の8.89、直近では2006年の9.39

中長期的にはユーロドルは引き続き下落傾向の流れに変わりは無いと想定します。
その根拠は、FRBが金融引き締めを始動している一方で、ECBが金融緩和スタンスを継続すると予想されるからです。明らかに欧米の金融政策の方向が反対であるので、ユーロ売り・ドル買いの傾向は継続と想定します。
しかもユーロ自身に多くのリスク材料を抱えており、ECBは引き締めには動けないであろうという読みもあります。

中長期的にはユーロドルは引き続き下落傾向と見るものの、足元では方向感がハッキリしません。
今はそのECBの金融政策を見極めてゆく時間と想定します。
結論として今年は暫らく間、ECBは緩和的な政策を維持するでしょう。

大きな理由は、本年2017年は欧州での政治日程が多い事です。
今、予定されているだけでも
3月 オランダ総選挙
4月 フランス大統領選挙
6月 フランス国民議会選挙
8〜10月 ドイツ連邦議会選挙
2018年5月 イタリア総選挙
昨年のブレグジット、トランプ米次期大統領と、政治イベントが市場に与える影響は大きく、
昨年からの流れで、特にポピュリズムへの傾斜と、保護主義貿易への傾斜がリスクです。
つまり、政治日程が多いだけ、欧州のポピュリズム化へのリスクが高い訳です。

加えてのイタリア懸念です。
イタリアは今、政治が不安定な上に、金融機関が混迷しています。この状況が好転してゆかなければ、市場へ動揺をもたらしユーロの売り圧力が強まることが予想されます。

予想レンジは、1.0300~1.0700

以上の様にユーロ圏が不安定な状況下で、ECBは量的緩和縮小(テーパリング)はしたくてもできないと想定します。もし可能であるとすればそれは、トランプ新政権が減税と公共投資という景気刺激のアクセルを目いっぱい踏み込んで、米国景気が上ぶれし、その勢いがユーロ圏にも波及する場合で、ユーロ圏の市場金利がECBに先行して上昇して行く場合です。
そうなればECBは市場の動きに追随する格好での量的緩和縮小(テーパリング)が出来るでしょう。
とすれば、まだ数年は待たねばならず、ここ足元、今年2017年ECBの金融政策は良くて現状維持、ユーロは引き続き下落傾向と見るべきでしょう。

予想レンジは、1.0300~1.0700 と見ます。

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