トルコリラ円見通し 米大統領選のトランプ氏勝利でドル円と共に急伸(24/11/7)

トルコリラ円の11月6日は概ね4.52円から4.41円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.52円で前日終値の4.42円から0.10円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 米大統領選のトランプ氏勝利でドル円と共に急伸(24/11/7)

米大統領選のトランプ氏勝利でドル円と共に急伸

〇トルコ円、ドル円追いかけ11/6午前安値4.41から本日早朝高値4.52へ急伸
〇明朝のFOMC結果を受け、ドル円が一段高へ進むか要注目
〇対ドル、11/6は概ね34.39から34.00の取引レンジ、最安値更新後の下げ渋り続く
〇トランプ政権の外交・経済政策による地政学的リスク、トルコ経済への影響に注目
〇4.52超えからは4.53、4.54を順次試す上昇を想定
〇4.48割れからは4.46前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の11月6日は概ね4.52円から4.41円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.52円で前日終値の4.42円から0.10円の円安リラ高だった。
6日午前からの米大統領選挙開票速報でトランプ氏優勢が報じられたことで、ドル円は午前安値151.28円まで下げていたところから154円台へ急伸し、トランプ氏の勝利確定と共和党が上院を制して下院も優勢となる「トリプル・レッド」見通しとなったことで7日未明に154.69円へ高値を伸ばしたが、トルコリラ円もドル円を追いかけて6日午前安値4.41円から7日早朝高値4.52円へ急伸した。
トランプ政権誕生で共和党が上下院を制する「トリプル・レッド」となれば、大型減税と財政拡大・国債増発及び対外関税強化によるインフレ再燃懸念が高まるとして米長期債利回りが急伸して為替市場はドル全面高となった。一方で規制緩和や減税を歓迎してNYダウやナスダック、S&P500指数は揃って史上最高値を更新する大幅高となった。日経平均も大上昇しており、米長期債利回り上昇と共に株高によるリスク選好感がドル円を押し上げている。

ドル円は9月16日安値からの上昇が9月27日までを一段目とし、石破ショックからの一段高で10月28日高値までを二段目とすれば、11月6日の急伸により三段目の上昇に入った。トルコリラ円も9月16日の史上最安値を起点とした上昇がドル円と同様に三段目に入っており、4.50円を超えたことで4.60円台を目指す可能性も高まり始めたと思われる。
明朝のFOMCが追加利下げを決定して12月会合での利下げ期待を維持するなら米長期債利回りとドル円の上昇にブレーキがかかる可能性もあるが、インフレ再燃への警戒感を示すようだと利下げ休止や来年の追加利下げペースがさらに緩み、利下げサイクルが短期間に終わる可能性も浮上する。その辺りを見定めてドル円が一段高へ進むようなら、トルコリラ円としては市場介入への警戒感を持ちつつドル円を追いかける展開で進むのではないかと考える。

【ドル/トルコリラは最安値更新後の下げ渋り続く】

ドル/トルコリラの11月6日は概ね34.39リラから34.00リラの取引レンジ、7日早朝の終値は34.19リラで前日終値の34.31リラから0.12リラのドル安リラ高だった。
8月28日安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ戻してからこの高安レンジ内の持ち合いを続けてきたが、終値ベースでは10月25日終値34.28リラで史上最安値を更新してリラ安優勢の流れとなり、11月1日に34.42リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新した。
11月5日はリラ売り一服戻し、6日は米大統領選でのトランプ氏圧勝の流れでドル全面高となったものの、トルコリラへの影響はさほど見られず、2営業日連続でドル安リラ高での推移とした。

エルドアン大統領はトランプ氏に祝電をかけて両国の関係改善を期待する姿勢を示した。2017年からの前トランプ政権時代はトルコがロシア製ミサイルシステムを導入したことに対して米欧が制裁するなど関係は良好と言えず、トランプ氏の掲げる関税強化と保護主義政策がトルコ経済への圧力になる可能性もある。
トランプ政権発足後にウクライナ問題やパレスチナ問題での泥沼化にブレーキがかかるようだとトルコの地政学的リスクが緩みトルコ経済にプラスとなる可能性もある。当面はトランプ政権の外交・経済政策がどうなるか見定めてゆく必要がありそうだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月2日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6日早朝から8日早朝にかけての間への下落を想定し、5日午後高値4.44円超えからは強気サイクル入りとした。
6日午前安値からの急伸で4.44円を超えてから4.52円まで大上昇したため、6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は7日早朝から9日早朝にかけての間とされるのでまだ上昇余地ありとするが、急騰後の修正安や乱調な展開も警戒されるので4.48円割れからは弱気転換注意とする。

60分足の一目均衡表では6日午前安値からの急騰で遅行スパンが好転して先行スパンを大きく上抜いた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とする。ただし、4.48円割れからは反動安が長引く可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試しへ切り替え、先行スパンからの転落を回避できるか試す流れと考える。

60分足の相対力指数は7日早朝に80ポイントに到達してから低下したものの60ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは40ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.48円を下値支持線、4.52円を上値抵抗線とする。
(2)4.48円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.52円超えからは4.53円、4.54円を順次試す上昇を想定する。4.53円以上は反落注意とするが、4.48円を上回っての推移なら8日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.48円割れからは4.46円前後への下落を想定する。4.46円以下は反騰注意とするが、4.48円を下回っての推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月7日
 20:30 週次 外貨準備高 11/1時点
11月8日
 16:30 トルコ中銀四半期インフレ報告
11月11日
 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.6%)
 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.3%)
 16:00 9月 失業率 (8月 8.5%)
11月12日
 16:00 9月 経常収支 (8月 +43.24億ドル)
 16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 2.2%)
 16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 13.3%)


注:ポイント要約は編集部

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