米大統領選後の円安一巡でドル円と共に下落
〇昨日のトルコ円、ドル円追いかけ早朝に4.52へ急伸するも、ドル円反落で11/8早朝4.45へ失速
〇対ドル、11/7は概ね34.27から34.00の取引レンジ、11/1最安値以降の下げ渋り続く
〇トランプ政権誕生、今のところトルコと米国関係改善への期待がやや優勢の印象
〇4.44割れからは4.42前後への下落を想定
〇4.49超えを強気転換注意とし、4.50超えからは4.52を試す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月7日は概ね4.52円から4.45円の取引レンジ、8日早朝の終値4.46円で前日終値の4.52円から0.06円の円高リラ安だった。
米大統領選挙でのトランプ氏圧勝によりドル円は6日午前安値151.28円から急伸し、7日午前には154.71円まで高値を伸ばしたが、大統領選に絡んだ円売り一巡で7日夕刻に154円を割り込んでから154円を挟んだ揉み合いとなり、米国市場時間に入ると8日早朝のFOMCを控えたドル売りにより153円割れへ失速し、FOMCが0.25%利下げを決定した後に152.69円まで安値を切り下げた。
トルコリラ円はドル円を追いかけて6日午前安値4.41円から7日早朝高値4.52円へ急伸したが、ドル円の反落により8日早朝に4.45円へ失速した。
トランプ氏圧勝と与党共和党による上下院制圧見通しにより、大規模減税、対外関税引き上げ、国債大量発行等を懸念して米長期債利回りが急伸してドル全面高となり、ドル円も大幅上昇してトルコリラ円も大上昇したのだが、やや過剰反応だったとして揺れ返しのドル安となり、8日早朝のFOMCが利下げを決定して追加利下げにも含みを持たせたことでドル円と共にトルコリラ円も失速した。
前日の急騰幅の過半を削ったわけだが、来年1月のトランプ政権発足へ向けてFRBも追加利下げに対して徐々に消極姿勢となる可能性もあり、米長期債利回りの上昇トレンドが継続しやすいとすれば、急騰後の反動安を消化してドル円と共にトルコリラ円も安値の落ち着き処を探りながら上昇再開のきっかけをつかもうとするのではないかと考える。
【ドル/トルコリラは11月1日最安値以降の下げ渋り続く】
ドル/トルコリラの11月7日は概ね34.27リラから34.00リラの取引レンジ、8日早朝の終値は34.22リラで前日終値の34.19リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
8月28日安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ戻してからこの高安レンジ内の持ち合いを続けてきたが、11月1日に34.42リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新したが、その後はリラ売り一服で下げ渋りが続いている。
11月6日の米大統領選でのトランプ氏圧勝で為替市場はドル全面高となったもののトルコリラへの影響は鈍く、ドル高一巡で8日早朝のFOMC後へドル安となった動きにも反応は鈍かった。
11月8日午前序盤は安値で34.36リラをつけるなど最安値更新へ再び挑戦する動きも見られる。
トルコの政府系銀行が米大統領選挙結果の公式発表前にアジア市場で約5億ドルのドル買いを実施してリラを支えたとの報道もある。
トランプ政権誕生については、前政権時代にトルコのロシア製ミサイル導入に対して制裁を科したこともあるが、エルドアン大統領とトランプ氏の関係は良好ともいわれている。トルコのオメル・ボラト貿易相は7日に、トランプ政権誕生後にトルコの鉄鋼・繊維輸出に対する関税が引き下げられることを期待しているとし、トルコの防衛・金融部門も恩恵を受ける可能性があると述べており、今のところは両国関係の改善への期待がやや優勢の印象だ。
イスタンブール100株価指数は米国主要株価の大上昇により6日に前日比2.83%高、7日も同0.95%高と続伸している。
11月7日に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は11月1日時点のグロスで930.1億ドルとなり10月25日時点の935.1億ドルから若干減少したが、ネットでは611.6億ドルとなり10月25日時点の608.9億ドルから増加して2023年6月のマイナス57億ドル以降の最高とした。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月6日午前安値からの急伸で強気転換目安とした4.44円を超えて4.52円まで大上昇したため、6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を7日早朝から9日早朝にかけての間と想定したが、急騰後の修正安や乱調な展開も警戒されるので4.48円割れからは弱気転換注意とした。
8日早朝への下落で4.48円を割り込み4.45円へ続落したため、7日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は9日早朝から13日午前にかけての間とし、4.49円を超えないうちは一段安余地ありとするが、4.49円超えを強気転換注意とし、4.50円超えからは強気サイクル入りの可能性を優先して7日午前高値超えを試す上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では8日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は8日早朝への下落で30ポイント割れへ低下してからも40ポイント以下にとどまっているのでまだ下落余地ありとするが、相場が小反発後に一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えから続伸に入る場合は上昇再開とみて60ポイント台を試す流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.44円を下値支持線、4.49円を上値抵抗線とする。
(2)4.49円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.44円割れからは4.42円前後への下落を想定する。4.42円前後は買われやすい水準とみるが、4.46円以下で週を終える場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.49円超えを強気転換注意とし、4.50円超えからは7日午前高値4.52円を試す上昇を想定する。4.51円以上は反落注意とするが、4.48円を上回って週を終える場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月8日
16:30 トルコ中銀四半期インフレ報告
11月11日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.6%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.3%)
16:00 9月 失業率 (8月 8.5%)
11月12日
16:00 9月 経常収支 (8月 +43.24億ドル)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 2.2%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 13.3%)
11月14日
20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 グロス(11/1時点 930.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 ネット(11/1時点 611.6億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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