米大統領選を巡る思惑でドル円が下落、トルコリラ円も30日以降の反落傾向続く
〇昨日のトルコ円、午前に4.41へ失速後は下げ渋り、本日早朝4.43台へ戻す
〇米大統領選挙前に市場は調整局面、トルコ円はドル円を追いかける展開を継続
〇対ドル、11/4は概ね34.36から34.13の取引レンジ、2日連続終値最安値を更新
〇S&Pがトルコ格付けを引き上げ、格付け見通しは「ポジティブ」から「安定的」に
〇4.41割れからは4.40、4.39を順次試す下落を想定
〇4.44超えからは4.45、4.46手前への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月1日は概ね4.46円から4.41円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.45円で前日終値の4.44円から0.01円の円安リラ高となり、週間では10月25日終値4.44円から0.01円の円安リラ高だった。
11月4日は概ね4.46円から4.40円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.43円で先週末終値からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル円は10月28日に153.87円を付けて9月16日安値139.57円以降の最高値とした後を、153円割れを買われつつ高値更新へ進めない三角持ち合いの様相とし、31日の日銀金融政策決定会合と植田総裁会見での追加利上げへ向けたタカ派姿勢で152円割れへ失速して持ち合いから下放れた。11月1日夜の米雇用統計後も152円割れから153円台到達まで切り返す乱高下となり、4日は米大統領選を巡り激戦州のアイオワでハリス氏優勢との報道をきっかけにドル安が進んで4日夜には151.51円まで下げたが、目先の売り一巡で5日午前は152円台序盤へ戻している。
トルコリラ円も28日午前と29日夜に4.49円を付けて9月16日の史上最安値4.11円(ベンダーによっては4.05円や4.10円など)以降の最高値を更新したが、11月1日早朝に4.41円台へ下落し、1日夜の乱高下を挟んで4日午前に4.41円へ失速し、その後は下げ渋って5日早朝には4.43円台へ戻した。
ドル円を含め、金融市場全般は11月5日の米大統領選挙(日本時間6日午前から開票速報開始)、6日から7日にかけて開催されるFOMC(8日早朝に政策金利発表、議長会見)と重要イベントを控えて持ち高調整局面にある。米大統領選ではトランプ氏優勢との見方でドルの買いポジションを増やす流れがみられていたが、4日午前は再びドル売りへ風向きが変わるなど思惑が錯綜している。結果を見て年末へ円安基調が続くのか、9月16日からの上昇一巡により円高期に入るのかを見定め、トルコリラ円はドル円を追いかけてゆく展開を続けると思われる。
【ドル/トルコリラは1日に取引時間中の史上最安値更新、4日へ2日連続終値最安値を更新】
ドル/トルコリラの11月1日は概ね34.42リラから34.02リラの取引レンジ、2日早朝の終値は34.30リラで前日終値の34.25リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
11月4日は概ね34.36リラから34.13リラの取引レンジ、5日早朝の終値は34.33リラで先週末終値から0.03リラのドル高リラ安だった。
8月28日に付けた取引時間中の史上最安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ戻した後は、この高安レンジ内の持ち合いを続けてきたが、終値ベースでは10月25日終値34.28リラで史上最安値を更新し、11月1日は34.42リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値34.30リラで10月25日終値を抜いて最安値を更新した。4日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは2営業日連続で最安値を更新した。
11月1日のトルコ製造業PMIが若干改善したことやS&Pによるトルコ格上げ、4日のトルコ10月CPI上昇率が鈍化したことに対する市場の反応は鈍かった。8月後半からの持ち合いから下放れし始めているが、トルコ中銀による直近の月次ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップに対する市況予想調査)における年末の予想レートは1ドル36.6347リラ(9月調査では37.1599リラ)であり、年初の1ドル40リラからはかなりリラ安レベルが改善されているものの、現状の34リラ台からさらにリラ安が進むとのコンセンサスは変わらない。
【S&Pがトルコ格付けを引き上げ】
米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは11月1日にトルコの長期ソブリン債格付けを「B+」から「BB―」に引き上げた。同社は今年5月3日に「B」から「B+」へ引き上げており、格上げは今年2回目となる。トルコ中銀の金融引き締めとインフレ抑制及び外貨準備の積み上げに対する高評価が格上げの背景であり、格付け見通しは従来の「ポジティブ」から「安定的」とした。
大手格付け機関においては、フィッチ・ レーティングスが今年3月8日に「B」から「B+」に格付けを引き上げて見通しを「安定的」から「ポジティブ」とし、9月6日に「B+」から「BB−」へ格上げして見通しを「安定的」とした。
【10月のトルコCPIは鈍化するも予想を上回る】
4日夕にトルコ統計局が発表した10月のトルコCPI(消費者物価指数)上昇率は、全体の前月比が2.88%となり9月の2.97%から鈍化したものの予想の2.61%を上回り、前年同月比は48.58%で9月の49.38%から鈍化したものの予想の48.20%を上回った。コアCPI(食品エネルギー等除く)の上昇率は前月比2.8%で9月の3.6%から鈍化し、前年同月比は47.8%で9月49.1%から鈍化した。
10月のPPI(生産者物価指数)は前月比1.29%となり9月の1.37%から鈍化し、前年同月比は32.24%で9月の33.09%から鈍化した。
中銀の金融引き締め(政策金利50%での据え置きを続けている)と欧米等のインフレ鈍化傾向を反映して順調に低下してきているものの、それでも依然として高インフレ水準であり、簡単に引き締めを緩めるのも難しい印象だ。トルコ統計局の公式統計は実勢を反映していないとして独立系調査団体「ENAグループ」は4日に10月のCPIは89.77%(9月は88.63%)だったとしている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月29日夜への上昇で28日午前高値とダブルトップ型を形成したため、29日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして30日午後から11月1日午後にかけての間への下落を想定した。
1日早朝安値から2日早朝へいったん戻してから一段安しているため、1日早朝安値を直近のサイクルボトム、2日早朝高値を同サイクルトップとしてすでに新たな弱気サイクル入りしていると仮定し、2日早朝高値を超えないうちは6日早朝から8日早朝にかけての間への下落を想定する。強気転換は2日早朝高値超えからとし、その際は5日夜から7日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では4日午前の一段安で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後の持ち直しで遅行スパンは好転しつつあるものの先行スパンからの転落状態が続いているため、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日午前に30ポイント台前半へ低下してから50ポイント台へ戻しているので、60ポイント超えからは70ポイント前後への続伸を想定するが、45ポイント割れからは下落再開として30ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.41円を下値支持線、4.44円を上値抵抗線とする。
(2)4.44円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.41円割れからは4.40円、4.39円を順次試す下落を想定する。4.40円以下は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は4.38円台へ下値目途を引き下げる。
(3)4.44円超えからは4.45円、4.46円手前への上昇を想定するが、4.46円手前は反落警戒とし、その後に4.43円を割り込むところからは下落再開とみる。強気転換には2日早朝高値4.46円を上抜く必要がある。
【当面の主な予定】
11月7日
20:30 週次 外貨準備高 11/1時点
11月8日
16:30 トルコ中銀四半期インフレ報告
11月11日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.6%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.3%)
16:00 9月 失業率 (8月 8.5%)
11月12日
16:00 9月 経常収支 (8月 +43.24億ドル)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 2.2%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 13.3%)
注:ポイント要約は編集部
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