米大統領選挙への思惑で下落、日本時間明日午前の開票速報から波乱含みへ
〇昨日のドル円、早朝からドル安で夜に151.51まで下落、その後152円台序盤へ買い戻される
〇激戦区アイオワ州での民主党ハリス氏優勢報道が背景
〇日本時間11/6午前から米大統領選挙開票速報、乱高下に注意
〇11/1夜発表の米雇用統計、就業者増加数の大幅減少は一時的との見方
〇11/4夜安値151.51割れからは150.0円台後半試しとする
〇152.60超えからは153円手前を試す上昇を想定
【概況】
ドル円は10月31日の日銀・植田総裁会見が追加利上げへ向けてタカ派姿勢だったとして152円割れへ下落し、1日午前には151.78円まで安値を切り下げたが、1日夜の米雇用統計発表後に151.80円まで反落したものの2日早朝に153.08円まで戻すなど、152円割れを買われて153円台到達で売られる乱調な騰落を繰り返しながら152.93円で週を終えた。
11月4日は米大統領選の激戦区アイオワ州で地元紙が民主党ハリス氏優勢と報じたことをきっかけに早朝からドル安となり、夜に151.51円まで安値を切り下げてから152円台序盤へ買い戻された。
米大統領選挙は5日に投開票され、日本時間6日午前から開票速報で賑わうこととなる。接戦で早々に勝敗が見えない場合には為替市場が乱高下する可能性もあり、トランプ氏勝利なら株高ドル高、ハリス氏勝利なら株安ドル安と指摘する声もあるが、いずれが勝利しても財政拡大懸念が続くとして米長期債利回り上昇基調が続くならドル円は10月28日以降の調整から抜け出して上昇再開としやすく、その後にFOMCが年内2回の会合でいずれか利下げを見送る可能性が高まる場合には上昇が勢いを増すことも考えられる。逆にハリス氏勝利ならドル円は下落しやすく、FOMCが年末へ連続利下げする可能性が高まる一方で日銀の追加利上げへ向けたタカ派姿勢も続けば9月16日以降の上昇一巡による下落期入りとして下落規模が大きくなることも懸念される。
【米雇用統計、就業者増加数の大幅減少は一時的との見方】
11月1日夜に労働省が発表した10月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比1万2000人増にとどまり9月の22万3000人(速報の25万4000人から下方修正)から急激に減速して市場予想の11万3000人増も大幅に下回り2020年12月以来最低とした。米ボーイングのストライキや相次いだ大型ハリケーン被害による一時的な影響とみられ、発表直後にドル安反応を見せてからドル高へ切り返された。
失業率は予想通りの4.1%で9月と変わらず、インフレ指標の平均時給伸び率は前月比0.4%で9月及び市場予想の0.3%を上回り、前年同月比は4.0%で9月の3.9%を上回ったが予想と一致した。
S&Pグローバルによる10月米製造業PMI確報値は48.5となり速報の47.8から上方修正されて9月確報の47.3から改善した。
米サプライ管理協会(ISM)による10月の米製造業景況指数は46.5となり9月の47.2から低下して市場予想の47.6を下回った。景気拡大・縮小の分岐点とされる50を7か月連続で下回った。
【米長期債利回りは週明けに低下、米国主要株価指数は下落】
11月4日の長期債利回りは、アイオワ州でのハリス氏優勢報道をきっかけに総じて低下した。
米長期金利指標の10年債利回りは11月1日に前日比0.10%上昇の4.39%となり、9月16日に付けた3.60%以降の最高を更新し、週間では10月25日の4.23%から0.16%上昇していたが、4日は先週末比0.10%安の4.29%に終わった。
30年債利回りは1日に前日比0.10%上昇の4.58%となり、9月16日に付けた3.90%以降の最高とし、週間では10月25日の4.50%から0.08%上昇したが、4日は先週末比0.11%低下の4.47%とした。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは1日に前日比0.04%上昇の4.21%となり、一時4.25%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高とし、週間では10月25日の4.10%から0.11%上昇したが、4日は先週末比0.05%低下の4.16%とした。
一方でNYダウは11月1日に前日比288.73ドル高と4日ぶりに反騰したものの4日は先週末比257.59ドル安と失速し、ナスダック総合株価指数は1日に前日比144.77ポイント高と3日ぶりに反発したものの4日は先週末比59.94ポイント安と下落、S&P500指数も1日に前日比23.35ポイント高と3日ぶりに反発したものの4日は先週末比16.11ポイント安と下落した。
トランプ氏勝利なら対中関係の悪化や関税強化等が問題となるものの全般的には規制緩和により金融関連株にはプラスとされるが、ハリス氏勝利なら株高には貢献せずに財政拡大での米長期債利回り上昇と株安を招きやすいという受け止め方のようだ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月28日午前高値153.87円と29日夜高値153.86円をフラットな抵抗線とし、28日夜安値152.40円から30日夜安値152.77円への底上げラインを下値支持線として三角持ち合い型を形成していたが、31日の日銀・植田総裁会見からの下落で持ち合いから下放れた。
1日夜の米雇用統計後に乱高下してから4日夜へ一段安したため、現状は2日早朝高値を起点に下落期入りしたところと思われる。目先の安値形成期は6日午前から8日午前にかけての間と想定されるが、米大統領選への思惑での波乱に注意し、2日早朝高値を上抜く場合は5日夜から7日の日中にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では11月4日午前からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。4日夜安値からの反発で遅行スパンは好転しつつあるものの先行スパンから転落したままのため、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4日午前と夜に30ポイント台へ低下したが、5日午前序盤に50ポイントを超えている。60ポイント超えからは上昇継続として70ポイントを試すとみるが、60ポイントに届かずに45ポイントを割り込む場合は下落再開として30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月4日夜安値151.51円を下値支持線、152.60円を上値抵抗線とする。
(2)152.60円以下での推移中は一段安余地ありとし、4日夜安値151.51円割れからは150.0円台後半試しとする。151円以下は買い戻されやすいとみるが、152.60円以下での推移か、直前安値から1円を大きく超える反騰がみられない場合は6日の日中も続落しやすいとみる。
(3)152.40円から152.60円手前は売られやすいとみるが、152.60円超えからは153円手前を試す上昇を想定するが、153円手前から反落して152.30円を割り込むところからは下落再開とみる。中勢の強気転換は2日早朝高値153.08円超えからとする。
【当面の予定】
11/5(火)
米大統領選挙・議会選挙、中国全人代常務委員会(11/8まで)
10:45 (中) 10月 財新サービス業PMI (9月 50.3、予想 50.5)
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 4.35%、予想 4.35%)
18:30 (英) 10月 S&PGサービス業PMI改定値 (速報 51.8、予想 51.8)
22:30 (米) 9月 貿易収支 (8月 -704億ドル、予想 -841億ドル)
23:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
23:45 (米) 10月 S&PGサービス業PMI・改定値 (速報 55.3、予想 55.3)
24:00 (米) 10月 ISMサービス業景況指数 (9月 54.9、予想 53.8)
27:00 (米) 財務省四半期定例入札(10年債、420億ドル)
11/6(水)
米大統領選挙開票、FOMC(米連邦公開市場委員会初日)、中国全人代常務委員会(11/8まで)
06:45 (NZ) 7-9月期 就業者数 前期比 (4‐6月 0.4%、予想 -0.4%)
06:45 (NZ) 7-9月期 就業者数 前年同期比 (4‐6月 0.6%、予想 0.1%)
06:45 (NZ) 7-9月期 失業率 (4‐6月 4.6%、予想 5.0%)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合・議事要旨(9月19-20日分)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 -5.8%、予想 1.5%)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 -3.9%、予想 -2.6%)
17:55 (独) 10月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 51.4、予想 51.4)
18:00 (欧) 10月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 0.6%、予想 -0.6%)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 -2.3%、予想 -3.4%)
23:45 (米) 10月 S&PGサービス業PMI・改定値 (速報 55.3)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省四半期定例入札(30年債、250億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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