利下げ観測強まりランド上昇、経済復調や政治安定化などへの期待感が追い風に
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、9月の消費者物価指数(CPI)でディスインフレが確認できたことから、利下げ観測が強まりランド上昇の材料となった。
23日に南アフリカ統計局が発表した9月CPIは、前年同月比3.8%増と前月の同4.4%増から大幅に減速した。市場予想の同3.9%増も下回り、3年ぶりの低水準を記録。南ア中銀が目標とする3−6%の中間値を大幅に下回ったことなどから、南アのインフレは十分抑制されていると見られており、南アフリカ準備銀行(南ア中銀)が11月に追加利下げを行うとの観測が強まった。
市場では来年半ばに向けて、政策金利を8%から7%水準まで利下げを実施すると見られており、ディスインフレが確認できたことで利下げ実施に伴う経済期待がランド買いの材料となった。また、日米金利差拡大などを背景に円キャリートレードも再開したとの観測で、円が主要通貨に対して売られる展開となったことも追い風となり、一時、7月17日以来の8.7円台まで買われた。
ランド・円(東京時間:10月21日―10月25日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.4987円
高値:8.7044円
安値:8.4612円
終値:8.6175円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
10月23日
17時00分、9月消費者物価指数(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.1%、結果:0.1%
17時00分、9月消費者物価指数(前年比)、前回:4.4%、市場予想:3.9%、結果:3.8%
10月29日
15時00分、9月マネーサプライM3、前回:6.11%
10月31日
19時30分、9月生産者物価指数(前年比)、前回:2.8%
19時30分、9月生産者物価指数(前月比)、前回:−0.3%
21時00分、9月貿易収支、前回:56億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、円やドルなど他の主要通貨の影響を受けそうだが、経済復調や政治安定化などへの期待感が強いことから堅調推移となりそうだ。
27日に行われる日本の衆議院選挙の投開票の結果次第で、週明け28日は円を中心に為替が乱高下する可能性はある。ただ、仮に政権与党が過半数割れとなっても、事前に伝わっている想定線の範囲内であるほか、日本の政治が混乱すると日銀による段階的な利上げ実施も不透明になるため、円は主要通貨に対して売られやすくなる可能性がある。一方、政権与党が過半数超えとなっても日本株高、リスクオンの円売りドル買いが強まる可能性があるため、どちらに転んでも円安の展開か。
円の動向を見極める必要はあるが、順調なディスインフレの流れが確認できたことから、南ア政治の安定化や経済復調への期待感は非常に強い。本来、利下げ観測が強まると、通貨は弱くなる傾向はあるが、ランドなど新興国通貨は比較的、利下げによって経済情勢が改善されるなどポジティブに捉えられる傾向がある。31日の9月生産者物価指数(PPI)も順調な低下傾向が確認できた場合、ランド上昇の材料となろう。
日足の一目均衡表では、転換線をサポートに強いトレンドが続いている。23日にやや長い上影(上ヒゲ)を形成したが、週末に陽線を残していることから上値抵抗として、さほど意識はされないだろう。じり高で7月15日以来となる8.8円台を目指した展開を想定する。
なお、先週22日に開催されたBRICS首脳会議の際、ラマポーザ大統領はプーチン大統領と会談し「ロシアは価値ある友人だ」と述べた。プーチン氏も「アフリカとの関係強化には特別な重要性がある」と協力促進に意欲を示すなど、南アとロシアとの良好な関係を世界に発信した。市場はさほどネガティブに捉えなかったが、欧米資本とのつながりを強化する南アとしては売り圧力が強まってもおかしくはない話だったと考えるので、ロシアや中東諸国との外交面は気にしたいところ。
南アフリカランド円日足
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