南アランド円週報:『約3カ月半ぶり高値圏で堅調推移。上昇トレンドの継続を想定』(11/2朝)

南アランドの対円相場(ZARJPY)は、一時8.72円まで上昇するなど、約3カ月半ぶり高値を更新しました。

南アランド円週報:『約3カ月半ぶり高値圏で堅調推移。上昇トレンドの継続を想定』(11/2朝)

『約3カ月半ぶり高値圏で堅調推移。上昇トレンドの継続を想定』

〇今週の南ア円、南ア格上げ観測、南ア指標好調、ドル円上昇等に週央にかけ8.72まで上昇
〇買い一巡後は南ア財政収支悪化、ドル円急落に週後半にかけ8.56まで反落
〇週末にかけては南ア指標の好調に8.7付近で越週
〇南ア円3カ月半ぶり高値を更新、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも継続、地合い強い
〇南ア経済復調期待、政治安定化期待、金・プラチナ価格堅調推移、中国の景気回復期待等もサポート
〇引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.50ー8.80

今週のレビュー(10/28−11/1)

今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は週初8.62円で寄り付いた後、(1)米モルガン・スタンレー社による「南アフリカ国債はまもなくジャンク債から格上げされる可能性がある」との発表や、(2)南ア9月民間部門信用(結果+4.63%、予想+4.02%)の市場予想を上回る結果、(3)ドル円相場の堅調推移(週末に実施された衆院選で与党大敗→日銀による追加利上げ観測後退→ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)が支えとなり、週央にかけて、週間高値8.72円(7/17以来の高値圏)まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)南ア9月財政収支(結果44億ZAR赤字、予想4億ZAR赤字)の市場予想を上回る赤字幅拡大や、(5)南アフリカ政府による中期財政政策(Medium Term Budget Policy Statement)の冴えない見通し(今年度の財政赤字がGDP比5.0%と前回2月時点で予測された4.5%を大幅に上回る結果となった他、来年度の見通しも前回予想の3.7%を上回る4.3%に急拡大。また、2024年のGDP成長率も前回予想の1.2%から1.1%へ下方修正)、(6)ゴドングワナ財務相による「成長が加速せず対外リスクにも直面しているため、税収は圧迫され続け、我々は難しい決定を迫られる」とのネガティブ発言、(7)植田日銀総裁によるタカ派的な記者会見(ドル円急落→南アランド円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.56円まで反落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)南ア9月生産者物価指数(結果+1.0%、予想+1.2%)の市場予想を下回る結果(南アフリカのインフレ鈍化は「南ア中銀の追加利下げ観測→南ア経済下支え」の経路で南アランドに上昇圧力)や、(9)南ア9月貿易収支(結果128億ZAR黒字、予想50億ZAR黒字)の市場予想を上回る結果、(10)南ア10月製造業PMI(結果52.6、予想50.8)の市場予想を上回る結果(好不況の分岐点となる50を2ヵ月連続で上回る結果)、(11)南ア10月Naamsa自動車販売(結果+5.5%、前回▲4.1%)の力強い結果が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間11/2午前1時15分現在)では、8.70円前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(11/4−11/8)

南アランドの対円相場(ZARJPY)は、一時8.72円まで上昇するなど、約3カ月半ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表基準線、転換線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の復調期待(今週発表された南ア10月製造業PMIは2ヵ月連続で好不況の分岐点50を上回る結果)や、(2)南ア中銀の追加利下げ観測(先週発表された南アCPIが約3年ぶり低水準を記録し、南ア中銀が設定するインフレ目標レンジ3ー6%の中央値4.5%を下回ったことから、次回11/21会合での追加利下げ観測再燃→南ア経済の更なる下支えに繋がるとの期待感から南アランド買い要因)、(3)国民統一政府(GNU、Government of National Unit)に対する期待感を背景とした外国人投資家による資金流入期待、(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善)、(5)経済的な結びつきの強い中国経済の復調期待(11/4ー11/8の日程で開催される全国人民代表大会常務委員会で大規模景気刺激策が承認される可能性あり)、(6)円キャリートレードの再開期待(南アランドと日本円の金利差に着目した構造的な南アランド買い・円売り)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

西側諸国との対立懸念(ラマポーザ大統領が10/22にプーチン大統領と会談した上で「われわれは今後もロシアを大切な同盟国と見なしアパルトヘイトとの闘いの時代からわれわれを支えてくれた大切な友人と見なす」と表明→トランプ氏が大統領選で勝利すれば、南アフリカと西側諸国との関係性がもう一段悪化する恐れあり)が波乱要素として燻っているものの、当面は外交リスク顕在化の蓋然性は低いと見られることから、当方では引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベントに乏しいため、「米ドル」や「日本円」の動きに振り回される神経質な値動きが続きそうです。

来週の予想レンジ(ZARJPY):8.50ー8.80

注:ポイント要約は編集部

『約3カ月半ぶり高値圏で堅調推移。上昇トレンドの継続を想定』

南アフリカランド円日足

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