米重要イベント続き、荒っぽい変動も
〇先週のドル円、週初に高値153.88示現するも以降は逆に下値を探る展開、週間安値151.79示現
〇最終盤に再びドルが買われ、153円台回復、週末NYは153円前後キープし越週
〇10/31植田日銀総裁の発言が予想よりもタカ派と見る向き多く、円の支援要因に
〇米雇用統計の弱い結果がドル売り支援するも、ISM製造業景況指数の支払価格上昇で「行って来い」
〇今週、11/5米大統領選、11/7米FOMCの結果発表に要注意
〇ドル高円安方向、週間高値153.88めぐる攻防に注目、抜ければ155円も視界内
〇ドル安円高方向、200日線も近い151.79が最初のサポート、しっかり割り込むと21日線がターゲットに
〇今週のドル円予想レンジ:151.00-155.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小じっかり。上値は重く上げ渋ったが、下値も堅いなか最終的にはドル買いがやや優勢だった。
前週末は、北朝鮮からの派遣兵が10月27日にも戦闘に参加する可能性が取り沙汰されるなど、引き続き思惑を呼ぶ。一方、それとは別に日本で実施された総選挙は与党の自民党が大敗。自公あわせても過半数にとどかないなど、与党が想像以上の惨敗を喫していた。
そうした状況下、ドル/円は前述した総選挙の結果を受けてか下方向にギャップを空けて高寄り。153円台で寄り付いたのち、週間高値となる153.88円を示現。これは7月末以来の高値だったが上値追いもそこまで。以降は逆に下値を探る展開をたどるなか、前記した週初のギャップを埋める格好で2円以上も下落。週間安値151.79円を示現するも、最終盤にドルは再び買われ153円台を回復している。結局、週末NYは153円前後をキープし越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日銀金融政策」と「米金融政策など」について。
前者は、前日にブルームバーグが「総選挙の与党大敗や足もとの円安進行を受け、金融政策正常化路線に不透明感が増している」−−などと報じていた日銀会合だったが、10月31日に会合の結果として「金利の据え置き」を正式に発表していた。ただ、この結果は予想通りで大勢に影響なし。しかし、同日夕方に植田日銀総裁から「見通しを実現していけば政策金利引き上げ緩和度合いを調整」、「米経済にもう少しいい動きが続けば『時間的余裕』との表現不要に」との発言が聞かれていた。追加利上げ余地を残しただけでなく、予想よりもタカ派などと、やや強気の見方をする向きが少なくなく円の支援要因となっていたようだ。153円台で推移していたドル/円相場が、152円を割り込むまで下落した一助になっていたことは間違いない。
対して後者は、週明けから重要とされる米指標が相次ぎ発表されたものの、おおむね良好な内容が多い。たとえば、10月31日に発表されたPCEコアデフレーターや新規失業保険申請件数はやや強めの数値を記録していた。ドルの支援要因に。しかし、もっとも注目されていた週末の米雇用統計は逆に想定外に悪い内容。プラス10万人程度が見込まれていた非農業部門雇用者数は、なんとたったのプラス1.2万人に。もちろん、市場の失望を誘いドル売りを支援したが、そののち発表されたISM製造業景況指数、なかでも支払価格の上昇が好感され、結果的に「行って来い」。1円を超えるドルの下落がすべて帳消しになるという荒っぽい価格変動だった。
<< 今週の見通し >>
足もとのドル/円相場は気迷いか。やや方向性を欠いているようだ。実際、先週末に掛けては「153.62→151.93→153.05→151.79→152.85→151.80→153.09」−−といった1円を超えるなかなか激しい上下動が、わずか2日のあいだに観測されていた。今週もまずは、そんな気迷い相場から脱却できるかが最初のミッションとなるが、幸か不幸か注目材料は週間を通して目白押しだ。荒い値動きにも一応要注意。なお、おそらく抜けるとすれば上方向という気がしているものの、いずれにしても次なる方向性が示される重要な1週間となりかねないだろう。
依然として日米金融政策への関心が高いなか、日本については前述したとおり、先週一応の見方が示された。そして、それを受ける格好で今週はFOMCにおいて、米国の金融政策が発表される見込み。ちなみに、市場では「0.25%利下げ」の見通しが優勢だが、すでにほぼ織り込まれているうえ、もうひとつのビッグイベントである米大統領選がドル売りの影響を軽減させるといった声も聞かれていた。むしろ、「トランプ大統領」観測が強まれば、ドル買い圧力が強まるといった見方さえ一部で取り沙汰されているようだ。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円は153.88円で目先高値、151.79円で同安値を付けた感もある。それからすると、短期的には151.80-153.90円といった2.1円ほどのレンジ取引をたどる可能性も否定できない。
ただ、材料的にはむしろ週間を通して波乱含みで予断を許さず。上方向に抜ければ155円が名実ともに視界内に捉えられる反面、底割れすれば150円台後半の移動平均21日線トライから場合によっては150円割れをうかがう局面も。
そうしたなか今週は、10月のISM非製造業総合指数や11月のミシガン大消費者信頼感指数速報値などの米経済指標が発表されるものの、今週はそれ以外でもともかく注目材料が多い。まずはなんと言っても5日の米大統領選に要注意で、また米FOMCの結果発表ももちろん注意する必要がありそうだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、151.00-155.00円。ドル高・円安については、週間高値にあたる153.88円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ155円も視界内に。
対してドル安・円高方向は、移動平均の200日線もさほど遠くない位置にある先週安値151.79円が最初のサポートか。しっかり割り込むと、21日線がターゲットとして意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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