ランドじり高継続、米大統領選によるドル乱高下には警戒
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、9月生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回る結果となったことで、ディスインフレに伴う段階的な利下げ実施で、景気回復につながるとの期待感が先行し、一時3カ月ぶりの水準まで上昇した。
10月31日に発表された9月PPIは前年同月比1.0%増と市場予想(同1.3%増)を下回る結果となった。先日発表された消費者物価指数に続いてPPIでもディスインフレの流れが確認できたことを市場は好感。7月17日以来となる8.72円台まで上昇した。
ただ、同日に行われた日銀金融政策決定会合後の植田日銀総裁の記者会見で、追加利上げ実施への当面の慎重姿勢を示すものと理解されていた「時間的余裕はある」という表現をやめたと説明。植田日銀総裁のスタンスが、事前の市場予想よりもややタカ派な発言となったことから、追加の利上げに前向きと市場は判断し、円は主要通貨に対して上昇する展開となり、ランドの上値は重くなった。
ランド・円(東京時間:10月28日―11月1日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.6272円
高値:8.7296円
安値:8.5620円
終値:8.6539円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
10月29日
15時00分、9月マネーサプライM3、前回:6.11%、結果:7.25%
10月31日
19時30分、9月生産者物価指数(前年比)、前回:2.8%、市場予想:1.3%、結果:1.0%
19時30分、9月生産者物価指数(前月比)、前回:−0.3%、市場予想:−0.2%、結果:−0.3%
21時00分、9月貿易収支、前回:51億ランド、市場予想:70億ランド、結果:128億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、国内で目立った経済指標の発表などが予定されていないことから外部環境を睨んだ展開となりそうだ。とりわけ米大統領選挙の投開票や米連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)を控えていることからドルの動向には警戒だ。
5日に米大統領選挙の投開票、6−7日にFRBによるFOMCと重要イベントを控えていることから、ドルは神経質な展開となろう。FOMCは、市場想定通り「0.25%の利下げ」に留まる公算が大きく、市場は無風での通過を想定している。一方、米大統領選挙は、世界のあらゆる市場に与える影響が大きい。
10月31日時点の世論調査では、激戦州と言われる7つの州において、5州でトランプ氏が支持率優位となっている。仮にこの世論調査通りの結果となった場合、トランプ氏の選挙人獲得数は287、ハリス氏は241となる。金利市場では、こうした世論調査の結果を織り込む「トランプトレード」が入っており、米10年債利回りは4.38%水準まで上昇している。
一方、債券版VIX指数であるMOVE指数は昨年10月以来の130水準を超えている。大統領選及び利下げ実施への不透明感が意識されて、債券市場での警戒感は非常に強まっていることから、米金利の動向は注意したい。日米金利差縮小となれば、ドル売り円買いにつながり、結果としてランド売り円買いとなるかもしれない。
日足の一目均衡表では、転換線をサポートに強いトレンドが続いている。10月23日にやや長い上影(上ヒゲ)を形成したが、あっという間に吸収。ドルの乱高下には警戒だが、ランドは引き続き7月15日以来となる8.8円台を目指した強い展開を想定する。
南アフリカランド日足
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