『CPI鈍化を好感する形で約3ヵ月半ぶり高値圏へと急上昇』
〇今週の南ア円、ドル円急伸、金・プラチナ価格の堅調推移等に週央にかけ8.70まで上昇
〇買い一巡後はドル円の反落、南アのロシア接近等が重石となり、8.60前後で越週
〇南ア円3カ月半ぶり高値を更新、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも継続、地合い強い
〇南ア経済復調期待、政治安定化期待、中国の景気回復期待、ドル円の先高観等も南ア円をサポート
〇引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.45ー8.75
今週のレビュー(10/21−10/25)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は週初8.49円で寄り付いた後、早々に週間安値8.46円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)円キャリートレードの再開期待(ドル円急伸→南アランド円連れ高)や、(2)金・プラチナ価格の堅調推移(金価格は史上最高値更新。プラチナ価格は6/3以来の高値圏へと急上昇→南アフリカの交易条件改善期待)、(3)南ア9月消費者物価指数(結果+3.8%、予想+3.9%、前回+4.4%)の伸び率鈍化、(4)上記3を背景とした南ア中銀による追加利下げ観測(南ア経済の復調期待)、(5)直近高値突破に伴う仕掛け的な南アランド買い・円売りが支えとなり、週央にかけて、週間高値8.70円(7/17以来の高値圏)まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)急ピッチな上昇に対する反動売り(利食い売り)や、(7)加藤財務相による「投機的な動向も含め為替市場の動向を緊張感をさらに高めて注視する」との円安牽制発言(政府・日銀による為替介入警戒感の再燃)、(8)本邦衆議院議員総選挙を控えたポジション調整、(9)西側諸国との関係悪化懸念(南アフリカのラマポーザ大統領はBRICS首脳会議が開かれるロシア中部カザンでプーチン大統領と会談し「ロシアは価値ある友人」「われわれは今後もロシアを大切な同盟国と見なす」と発言)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間10/26午前1時15分現在)では、8.60円前後まで値を崩す動きとなっております。
来週の見通し(10/28−11/1)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、一時8.70円まで上昇するなど、約3カ月半ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表基準線、転換線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の復調期待(今週発表された南アCPIは約3年ぶり低水準を記録→南ア中銀が設定しているインフレ目標レンジ3ー6%の中央値である4.5%を大幅に下回ったことで、次回11/21会合での追加利下げ観測再浮上→南アフリカ経済を下支え)や、(2)南アフリカ政治の安定化期待(親ビジネス路線の連立政権を好感する形で外国人投資家からの資金流入が増加傾向)、(3)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の堅調推移(交易条件改善期待)、(4)経済的な結びつきの強い中国の景気回復期待(中国政府・当局による大規模景気対策が中国経済を下支え→南アフリカ経済にも良好な影響)、(5)日銀による過度な利上げ期待の剥落とそれに伴う円キャリートレードの再開期待(ドル円上昇→南アランド円連れ高)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
来週10/30に予定されているゴドンワナ財務相による中期財政政策(Medium Term Budget Policy Statement)にて、財政健全化を意識しつつも、景気刺激的な予算提示がなされれば、南アランドにもう一段強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は上記以外に、南ア9月貿易収支や、南ア9月生産者物価指数なども予定されております。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.45ー8.75
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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